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つぶやきたいことはネタにせよ

ジョジョの荒木先生と、ハガレンの荒川先生の対談でそんな話があった。

彼らはTwitterをやらないらしい、なぜなら漫画家たるもの、つぶやきたいことは漫画のネタにし、主張したいことは漫画のなかで主張する、そして炎上するなら漫画でしたほうがよい……からだそうだ。

ぼくは日々Twitterでふと思ったことを垂れ流している。もはや生理現象に近いので、実質ネットにうんちしているのと変わらない。
そのぼくのうんちに、たまにいいねが付くと、ちょっとした快便感を味わえる。

コピーライターという仕事をしているなかで、たまーに「あ、これ書いてる人が言いたいこと言ってる」と思うコピーと出会うときがある。いまはもうめっきり減っているが、はるか昔のコピー年鑑にはそういったものが多かったように思う。

それがいいか悪いかでいうと、わりといい気がする。企業が言うことより、人が言ってることの方が1mmくらい耳を傾けたくなるから。

MOTHERというゲームがある。超有名コピーライターの糸井さんがシナリオ監修をしたすげえゲームだ。キャッチコピーは「大人も子供もおねーさんも。」このおねーさんはなんと水商売のおねーさんを指しているらしい(出典不明の怪しいネット情報)。

このMOTHERはキャラのセリフひとつひとつも糸井さんが監修していて、さっきの話でいうところの全部書いてる人が言いたいこと言ってるものになっている。

15年ぶりにMOTHER2をプレイした。ぼくはコピーライターなので、すべてのセリフを読むごとに「ぜんぶちょっとずつずらしててコピーライターが書いた文章っぽいな」と思っていた。15年前はそんな余計なこと1mmも感じてなかったのに。

記憶にある道、ない道をつらつら進む中で、こんなセリフに出会った。主人公ネスが幼い頃に、父と母が語りかけた言葉だった。

えらいひとや おかねもちに ならなくてもいいけど‥‥ おもいやりのある つよいこに そだってほしいわ。

まだ高校生だったころ、ぼくはこのセリフになにも感じることがなかった。むしろ今回再プレイするまで覚えてすらいなかった。
けれども、コピーライターになった今、ぼくはこの言葉だけが、糸井さんのMOTHERというゲームづくりの仕事ではない、本人の言葉に聞こえてならない。

企業の言葉よりも耳を傾けやすい誰かの言葉よりもさらに心を傾けやすい誰かの言葉だった。

こういうメタ的な楽しみ方はまったく生産的ではないからやめたいのだけれど、なんとなくつぶやきたくなった。

きょう書くコピーは、ちょっとだけぼくの言いたいことを入れてみよう。

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