谷渕一仁

脚本や戯曲等、文字媒体の過去作品を置いていく予定です。読んだら感想ください。

谷渕一仁

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ラスト

登場人物 ・金沢ーーーー大学三年生女 ・長谷川ーーー大学一年生男 ・アランーーー留学生 ・客 舞台明点。 25時で閉店するタイプのコンビニにて。 23時00分。カウンターで二人。 舞台下手側、金沢はパイプ椅子に座っている。 その横、舞台上手側長谷川、机に手をついてだるそうに立っている。 長谷川の胸には研修のバッジ。 金 沢「あーあの駅前の看板にさ、焼肉バルってあんじゃん。あれめっちゃ美味しそうじゃない?」 長谷川 「わかります」 金 沢「あ、あと鉄板バ(ル)」 舞台下手

    • 面白え女

      登場人物 いかつい格好の男―――伊地知 気の強い女――――――神谷 伊地知の彼女―――――中島ひな 舞台明点。 カフェにて。 テーブルに座る伊地知と中島。 横の席に座りパソコンで作業する神谷。 中 島「だから、なんでわかってくれないの?」 伊地知「いや、それは…」 中島、持っていた飲み物を伊地知にぶちまける。 中 島「最っ低!」 と、舞台下手に早足で去っていく。 脱力した伊地知。 シャツの襟に欠けていたサングラスをかけ、椅子に深く座り足を組むと、 伊地知「(ため息)

      • 東京の吐瀉物

        足音。 嗚咽が聞こえ、東京の喧騒が止む。 恋人が吐いた。 電柱の影とかでなく、飲屋街道のど真ん中で。 吐いた。 さっき居酒屋で食べた料理たちが、健気に再登場した。 もちろん熱烈なアンコールをした覚えはない。 僕はすぐさま彼女の背中をさする。 男「大丈夫?」 が、僕の視線は吐瀉物にしか向いていない。 彼女の口から出た料理たち。一つ一つを観察して、 ああ、さっきの店のだし巻き卵、値段が安い割に出汁がしっかりきいてておいしかったなあ。なんて思う。 あれ?ダメだ。何考えてるんだ