『弱い自分を諦める話』

ある人に「選択肢がありすぎて迷っています。なんで、その道を選ぶことができたのですか。」と聞いた。「私の育ってきた環境は劣悪だったんだ。」「自分はこれしかないって思ったんだよね。」と答えてくれた。その時、だから、この人は、必死に努力して、しがみついて、ここまで来れたんだとわかった。劣悪な環境だったから、将来のこと考えている余裕などなくて、自分のバックに何も支えてくれるものがなくて、食べるために、その方法を選択するしかなかったんだ。と思った。
一方の私は、お金持ちではなかったが、小さい頃から食べるものにも困らなく、比較的高い教育を受けてきた。いつも自分の前には安全に進むべきレールが引かれていた。でもだからこそ、自分で選ぶことに慣れておらず、常に比べられてきたから自尊心が低く、悩む余裕があり、心が弱い。
自分はどうすればいいんだろう。
この人との会話を第三者に話した時、「じゃああなたも必死でしがみつけるような状態に自分もなったらいいじゃない。」と言われた。
私は「その人と同じ境遇になれば良いのか?」と単純に考えた。
でも、それは無理だと思った。生まれた環境は変えられない。両親が存在し、自分に優しくしてくれる限り、私は壁にぶち当たった時、彼らの元に帰ってしまうだろう。
多分、その人がこの世の中で生きていく術と私の術は違うのだと思った。
私はどうすれば良いのだろう。
もしかしたら、私は、私の中で一番問題である心が弱いこと、落ち込みやすいことに焦点を当てて、道を選んでいかなければいけないのではないかと思った。私が「将来やりたいことを仕事にすること」、「将来好きなことを仕事にすること」よりも優先すべきなのは、心が弱い自分が生きていける環境を選ぶことなのではないか。私には、やりたいことを選んでいる余裕などないのだ。いかに、心が弱くて、落ち込みやすい自分と共存していけるかなのだ。では、どうすれば良いのか。それは、自分より高いものに挑戦するのではなく、無理に心を強くしようとするのではなく、自分の心を超えないこと、自分が不安なくできることで勝負することなのではないか。

やりたいことをやれる自信よりも、やりたい空間で感じる不安が勝ってしまうんだ。本当は諦めきれない。今、私ができることは、外に出て、人と交流し、鬱々としないこと、でも、自分が安心してできることを選ぶ、これだと思うんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?