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嫌いだけど好きかもしれない

ここ最近、毎日娘が夕飯の準備を手伝ってくれる。

「てつだいます!」
しゃきんと背筋と右手を上に伸ばして、
にこにことキッチンに入ってくるパジャマ姿のかわいいことよ…。

レタスをちぎる、ブロッコリーを並べる、
電子レンジであたためる、
などささいなことだけど、少しでも手伝ってくれるのが本当にうれしい。


もともと私は料理が嫌いだ。

「嫌いって言葉よりも苦手って言うほうが、同じ意味でも優しく伝わるよ」
なんて娘には言葉遣いのレクチャーしてるくせに、
あえてわざわざこの言葉を使いたいと思うくらい。
ほんと嫌い。

火加減、温度、栄養や盛り付けのバランス、出来上がりのタイミング、
大人も子供もOKな味付け、アレルギー対応…
気を付けることも多すぎる。
頑張って作っても、食べられちゃえば形も残らない。
後片付けもしなきゃいけない。
「美味しい、お腹いっぱい」の瞬間のために
私が浪費する精神的なコストが大きすぎるのだ。

ところが、娘が手伝ってくれるようになってから様子が変わった。
大人がやらないような不格好な盛り付けも面白い。
私がハンバーグをひっくり返しただけで、娘はめちゃくちゃ褒めてくれる。
電子レンジで、私がお願いしたワット数と時間を上手に合わせてから、
「あたため」ボタンを押して、誇らしげに小躍りしながら中を眺める様子も愛らしい。
子供包丁は卒業、普通の包丁の使い方を教えたら、
毎日トマトを切って並べてくれる。

出来上がった料理を並べ、
これはお母さんがはじめて作ってみたやつ、
これは私が洗って切ったやつ、
と振り返りながら食べるのも楽しい。

食育がなんたるかは詳しくないし、
そもそも娘にどうとかよりも、単純に私がすごく救われている。
苦行に感じていたキッチンでの立ち仕事の時間が、
娘がいるおかげでわくわくタイムになった。

私、結構料理好きかも。
娘と一緒に作る料理が。

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