14年前の話
小学3年の時の出来事です。
1月10日、祖父が亡くなりました。
喪主は伯父が務めました。
伯父は独り身で、本家で一人暮らしでした。
祖父の告別式の翌日の夜、僕は不意に伯父のいる家へ行こうと思いました。
父を連れて、歩いて伯父の家まで行くと
叔父が慌てた様子でこちらへ駆け寄ってきました。
「○○(伯父)が倒れた」
僕と父は急いで家に入りました。
親戚一同が伯父を介抱していました。
程なくして救急車が到着し、伯父は搬送されました。
翌日、搬送先の病院で診断された伯父の病名はくも膜下出血でした。
数年前に亡くなった祖母と同じ病でした。
1月29日、伯父は亡くなりました。
祖父の告別式からたった2週間後の出来事でした。
少し遡り、1月11日。
祖父の命日の翌日でした。
大叔母(祖父の妹)も亡くなっていたのです。
階段で足を踏み外し、頭を強く打つという事故死でした。
大叔母も独り身だったため、遺骨は祖父と伯父のものと共に本家で保管されました。
実質空き家と化してしまった本家の管理は、次男である父が行うことに。
2月末の祖父の四十九日までの間、本家と実家のアパートを行き来する毎日。
僕も学校がない日は、父と一緒にお線香をあげに行っていました。
休日、僕は父と2人で本家にいました。
夕方、父は別の仕事の現場に向かい
僕はそこで留守番することになりました。
ふと、トイレに行きたくなりました。
本家のトイレは、仏壇のある部屋を挟んだ先にありました。
何も考えず、トイレに行こうとしました。
3人の遺影と遺骨が目の前にありました。
何も考えないようにして、そこを横切りました。
トイレから戻り、また横切ろうとしました。
気にしないようにすればするほど、余計に仏壇が気になってしまいました。
3人分の遺骨が家にある、という状況。
何も知らない赤の他人が見たら
ひとつの核家族が不慮の事故に巻き込まれた
と勘違いしてもおかしくない…
そんな不謹慎な想像が頭をよぎる。
気づくと、僕は仏壇の前で合掌していました。
中央にあった伯父の遺影を、じっと見つめていました。
49歳の遺影にしては若々しい、ピース姿の写真でした。
何も悪くないのですが、当時の僕にとってはそれが妙に不気味でした。
免許証の写真だってあったはずなのに、何故この写真を遺影に採用したのか。
決して何も悪くないのに、そんなことを考えてしまっていました。
黒目に光がないだけなのに。
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