修業日記4/23~29

◆4/23(日)

なぜか凄く早く目がさめ、洗濯などしてから、休日出勤。

休日出勤、も憧れの言葉だ。今の内に終わらせたい事務作業などを中心に。

新宿に移動し、元々知り合いのプロデューサーとお茶。この方は、本業は何?、というくらい何でもやってて、今までの経歴もぶっ飛んでいて驚いた。全ては自分の意志次第だな。

夜はPさんのWSを見学。同じく見学に来てたI&参加してたMと軽く飲む。また調子に乗って楽しくぺらぺら喋ってしまった。ありがとう。

◆4/24(月)

午前中はベテランプロデューサーの所にお邪魔してご挨拶。お話を伺う。とても勉強になり、勇気を貰い、観たかった映画の試写状まで貰った。

午後は映画監督が来社されて打合せ。素敵な方だった。

夜は出張中の上司に代わり、俳優さんの誕生パーティーにケーキを届けるという、新人らしい、「魔女宅」的なミッション。

終えてトンカツを食べ、下北沢だったので調子に乗って本と漫画をたくさん買う。これは経費で落ちるかな。経費……その甘美な響き。

◆4/25(火)

上司不在の間に頼まれた仕事をひたすらと。勤務表を見たら21時半退社、と書いてあるので長いこと会社にいたようだが、こなした仕事量はまだまだ。仕事そのもの、環境、システム、あらゆることにもっと慣れねばなあ。

◆4/26(水)

出社後、午後は新宿に移動してミュージックビデオ(俺の初現場)の演出をして下さる映画監督と打合せ。

夜は出張から帰国した上司と、映画館の編成担当さん、映画会社の営業さんとの飲み会に同席。映画愛に溢れた先輩たちからあれやこれやの裏話を聴きめちゃくちゃ面白かった。会社に入って、どちらかと言うとメジャー志向な話が多かった中で(それももちろん面白い)、いわゆるミニシアター規模、インディーズ志向の話が多くて、やっぱり面白い。こういう方々とお会いすると、素直にこの業界に入って良かったと思う。

そして俺が今の会社に(職歴ゼロで)入れたのはかなり奇跡的な縁だったと改めて思い知る。精進します。

環境が変わって、演劇のことも俯瞰して見るようになった。

「半年後が暇だからギャラリー借りて公演打とう」みたいなことができて、作家や演出家のやりたいことが(基本的には)思い切りやれて、台本がギリギリでも良くて(良くはない)、そういう演劇の、創作の直接さ、距離の近さ、ダイナミックさというのは、物造りの醍醐味に溢れているように思う。経済的なことを除くと。経済的なことが大事なんだけど。

というような話をしたら上司に「それは映画と演劇の違いというより、メジャーとインディーズの違いじゃない?」と言われ、そうかもと思った。

とにかく、小劇場演劇やるのって、大変だけどメチャクチャ面白いことじゃない?YOUたち楽しみなよ!と、過去に悩んでばかりいた自分にも言いたい。

なんか、将来的にやりたいことだけ言うと、超メジャーな映画なりドラマなりを創って成功させて、一方で劇団では20人くらいしか入らない会場でやったりもしてみたい。

◆4/27(木)

朝一で会社が持っている稽古場を見学。遠いけど良いスタジオ。稽古場探してたらご相談下さい。

一度会社に戻ってから、下北で先輩舞台監督さんと(映画の仕事で)打合せ。たまに演劇畑の人と話せるとホッとするな。

夜は神楽坂で焼鳥。

◆4/28(金)

いつもの時間に出社したら会社がガラガラ。

どうやら今日は、グループ企業全体で出来るだけ休みましょう、という日らしい。うちの部署の人たちは結構きてた。広告会社の中の映像部門なので、会社全体とは流れてる空気がちょっと違う。

午前中、Jマネージャーが来社。Jさんとこういう形でもお会いすることになるとはなあ。不思議。

上司二人と進行中の案件についてフィードバック。

その後はミュージックビデオの為のキャスティング。思った以上に時間がかかる。知り合いの小劇場周りの人たちをひたすらリストアップ。皆、できればWEBに写真とプロフィール載せておいて……。

しかしキャスティングは会社に入って一番やりたかったことの一つ。自分の舞台へのキャスティングは、少なくとも誰に何をやって欲しいかの決定権が自分にあるけど、会社の場合は上司や監督やクライアントへの提案になる。キャスティングという仕事の肝の部分をもっと学びたい。

この日は22時まで会社にいた。会社のビルは22時になると明かりが消える。広告業界なので、労働環境とか残業時間とかコンプライアンスにはとても気を使っているようです。

◆4/29(土)

渋谷でミュージックビデオの撮影をして下さる方と打合せ。

夜はクロムモリブデン観劇。終わって武子電話+観に来てた今村君という、ありそうでなかったメンツで少し飲めて楽しかった。

更に新宿に移動して今日も三丁目で飲んだ。

就職して二週間。いやー、働くのって大変だけど楽しいものだな。まだ本当に辛い部分に触れていないからだろうか。前に知り合い(会社員)がどこかに、

「一生懸命働いた記憶は美しい」

と書いていた意味がよくわかる。

のだが、じゃあ今までの演劇活動は働いてはいなかったのか?そういうわけではないだろう。経済的なことを言えば今の会社員の仕事に比べるとかなり怪しいが。メジャーとインディーズの違いにも関係あるのか。

劇団主宰とかフリーランスというのは、自分で決めなきゃいけないこと、自分でやらなきゃいけないことが無限にあって、でもずっと不安定で、そういうキツさはある。俺は駄目駄目だったけど、ようやったな、と思う部分もある。

せっかく映画の会社に入ったのに観たい映画を観れてない、読みたい本を読めてないのは辛いとこ。でも先輩たちは俺よりずっと忙しくて俺よりずっとインプットしてる。

全然関係ないんだけど、ロバート・ハリスさんがラジオで、

「スカーレット・ヨハンソンは映画は良いのにテレビCMだとブス」って言ってて超同意。

「マッチポイント」のスカヨハなんて、世界中の色気退廃ビッチ美貌を凝縮したような強烈な魅力だったもんなあ。当時、映画館で観た時はマジでムラムラした。さすがウディ・アレン。

いやでも真面目な話、ウディ・アレンの演出ってどうやってるんだろう……一度でいいから近くで観てみたい。ほとんど演出つけない、俳優と喋らない、とも言われている。

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