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冒険は新たな世界へ「デジモンアドベンチャー:」第1話 感想

率直な感想としては、「けっこういいやん…」という感じ。こないだの映画最終作を踏まえると、その存在自体に疑問を持たざるを得なかったテレビアニメ新シリーズ「デジモンアドベンチャー:」(以下、新シリーズ)がようやく放送されたので、いろいろと思うところをまとめた。

ラスエボでのメッセージはどこいった

僕みたいな昔からデジモンが好きなファンたちは、こないだの2月に公開された映画「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」(以下、ラスエボ)を観たと思うけど、この映画のメッセージは「デジモンとの別れを乗り越えて前に進む」というものだったはず(詳しくは下記過去記事参照)。

それなのになんなん、アニメ新シリーズって。これが太一とアグモンたちの物語じゃなく、まったく新しいキャラクターでのスタートなら文句なかったのに…。しかもパートナーデジモンの声優は続投(子どもたちは当時と総入れ替えとはいえ)。いつまでもエオスモンの偽りの理想郷から抜け出せない…。ラスエボを観た人たちの多くは僕と同じような不満をこの新シリーズを放送すること自体に対して持っていたと思う。

今回の新シリーズは1999年に放送された「デジモンアドベンチャー」(以下、無印)の完全リブート作品。インターネット黎明期だったときに放送された無印とちがって、スマホをはじめデジタルテクノロジーが当たり前となった2020年を舞台に描かれている――。というふうに制作側は違いを強調していたけど、キャラクターは一緒なわけだし、無印の二番煎じで中途半端なものをつくるのはやめてくれ~~~と思っていた。なのでデジモンがめっちゃ好きなぶん、今回の新シリーズに対する不安は大きかったのだけど、いざ第1話を観たらその心配は杞憂だったことがわかりひと安心した。なんだかんだアグモンがしゃべってるの聞くと「アグモン~~~~かわいい~~~~~」ってなるし自分本当にチョロい…。

Butter-Flyを使わない英断

まずオープニング前の野沢雅子のナレーションでテンションあがったよね。デジモンテイマーズ(以下、テイマーズ)を観ていた人なら「デュークモンじゃん…」って思ったはず。悟空の声優でおなじみの野沢さんだけど、テイマーズでは主人公松田啓人(タカト)のパートナーのギルモン(とその進化系)を演じていました。同じ枠で放送されていた「ドラゴンボール超(スーパー)」や「ゲゲゲの鬼太郎」第6期の目玉おやじに続いて、日曜朝9時のアニメ枠では3作品連続での登場。

オープニングはテイマーズでも挿入歌を担当していた谷本貴義の「未確認飛行船」。エンディングは藤川千愛の「悔しさは種」。この人知らなかったんですが、もともとまねきケチャのメンバーだった人なんですね。まねきケチャは鬼太郎でもエンディングやってたし、この枠は日本コロムビア所属のアーティストがメインで担当するきまりなんですかね。アニメーションはオープニングが太一、エンディングがヤマトを主軸においたもので、とくにオープニングについては無印のオマージュっぽい部分もあったのがよかった。そしてオメガモンがちらっと出てきていたので、アニメシリーズ本編での登場に期待(無印時代は映画のみだったので)。

古参ファンは「Butter-Fly使わないのかよ」って思った人も多いんじゃないかと思うけど、逆にここは新しい主題歌でよかったんじゃないかと思う。ラスエボのことを考えるとButter-Flyを使うのはやっぱり違うし、和田さんも亡くなっているのでね…。キャラが無印の使いまわしなのは置いとくとして、Butter-Flyを使わずに新しい主題歌で勝負に出る姿勢には好感を覚えました。

アグモンに驚かない太一

第1話で一番注目していたのが、子どもたちとデジモンとの出会い。無印の時はサマーキャンプに来ていた子どもたちが突如デジタルワールドに飛ばされ、そこで各パートナーデジモンと出会っていたけど、今回は太一とアグモンの出会いしか描かれていなかった。残りはそれぞれ別個に描かれるのかな…。光子郎もデジヴァイスは受け取っていたのにテントモン出てこなかったし。

印象的だったのが、アグモンと出会った時の太一の反応。ヒカリと母親を助けようと駅の改札内に入ったところ、デジタルワールドに迷い込んでしまい、そこでアグモンと出会うんだけど、そんなに驚いてなかったんですよね。いきなり知らないところに飛ばされて、よくわからない生き物が登場したのに、太一はちょっととまどいはあったけど状況をすんなり受け入れている。無印の時はもっと盛大にびっくりしていた気がする。

最初はこのシーン、ちょっとドライだなって思ったんだけど、時代設定を考えると納得できる。前述したように、今回は2020年が舞台。デジタルテクノロジーが当たり前の時代なんです。次から次へと新しい技術が登場し、目新しいものに慣れてしまっている。20年前ってやっぱり新しい技術への驚きがすごかったんだと思います。それに対して現代では技術革新の頻度がすさまじくて、そのそれぞれのインパクトは小さくなってきているんです。つまり、未知なるものに対する受容性が高くなっている。無印と今の新シリーズで、太一のアグモンに対する反応を変えることでそれを効果的に表している。光子郎もめっちゃ冷静に状況を分析しているし、新しいことに対する抵抗が今はあまりないんですよね。

挿入歌なしの進化バンク

ここが一番賛否両論分かれるところ。無印でおなじみのデジモンがクルクル回る演出ではなく、新シリーズ第1話ではアグモンが巨大化し、徐々にグレイモンへと姿を変えていくというふうに描かれていた。要はデジモンの怪獣っぽさが強調されたような演出だった。

もっと驚いたのは、進化シーンで挿入歌がなかったこと。Butter-Flyがオープニングで使われていない時点でbrave heartがないのは予想できたけど、歌ありの挿入歌がなかったのはちょっとものたりなかった。これが第1話特有の演出なのか今後もこんな感じで続くのかは2話以降を観ないとわからないけど、brave heartではなくなんらかの挿入歌を採用してほしいなというのが正直な気持ち。

今後に期待

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完全リブート作品と銘打っていたとおり、デジモンに対する捉え方が無印とはちがっていて面白かった。太一がただ突っ立ってるだけじゃなく、アグモンと一緒に動いて戦っているシーンが多かったのもよかった(まさかデジモンを投げるとは…笑)。山手線(劇中では環状線)の電車が暴走するとか、デジタルシステムの不具合(=デジモン)が現実世界に与える影響が無印より強く打ち出されているのが印象的だった。アグモンが自分たちのことを「デジタルのなかに生きているモンスター、デジモン」と発言していたり、光子郎の説明的なセリフは古参ファンにとっては若干冗長だけど、初めてデジモンシリーズに触れる子どもたちに設定を理解してもらうには必要な配慮だったと思う。太一がデジタルワールドに入るシーンはデジモンフロンティアのオマージュだったり、新規の視聴者にも古参ファンにも楽しんでもらえるようにつくっているのが伝わってくる第1話だった。まだ子どもたちとパートナーデジモンが全員出てきていないので断言するには時期尚早だけど、思ったより期待できるシリーズになりそう。結局僕みたいな古参ファンはどうしても思い出補正があるので制作陣にうまく踊らされているような気がするけど、まだまだ無限大な夢を見せてもらえそうな予感。今後も1カ月スパンくらいで感想記事を書こうと思う。

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