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過去作とは毛色の違う暗黒進化「デジモンアドベンチャー:」第23~24話感想

第23話「闇の使者デビモン」、第24話「終極 ダンデビモン」の感想です。ようやくデビモン編は終結ですかね。長く引っ張った割には結末が微妙で残念…。まだまだ回収されていない伏線もあるので、今後のストーリーに注目ですね。

全員協力しての勝利

すでにタケル以外の子供たち全員のパートナーデジモンが完全体になっているうえに、オメガモンまで登場させた後に満を持して来襲したデビモン。成熟期の段階でメタルグレイモン、ワーガルルモンを圧倒する強さでしたね。腕を一振りしただけの攻撃でダメージがすさまじい…。黒い瘴気の恩恵があるとはいえ、戦い序盤では無双状態。

デビモンに全く歯が立たない2体を見て、「いじめるな」と叫ぶタケル。今作のタケルはけっこう勇ましいですよね。ヤマトに頼りきりだった無印のタケルはいないようです。その行動にデジヴァイスが反応し、ポヨモンはトコモンへと進化。それを見たデビモンは、ネットワーク空間でカルマーラモンとアルゴモンに集めさせていた大量のデータを基にネオデビモンへと超進化し、さらに圧倒的な強さでメタルグレイモンとワーガルルモンに攻撃します。

戦いの最中に光子郎から太一に一瞬連絡がつながりますが、またすぐに途切れてしまいます。離れていてもそれぞれが戦っていることが分かった子供たちは、諦めずに敵に立ち向かう。ネットワーク組の4体は超進化してカルマーラモンを倒し、データを吸収していたオブジェを破壊。その影響でデータを吸収できなくなったネオデビモンは動きが鈍り、メタルグレイモンとワーガルルモンは無事にネオデビモンを倒す、という流れでした。直接的にネオデビモンを倒したのは太一とヤマトだけど、光子郎たちのアシストがあったからこその勝利であり、結果的に全員が協力したことで強敵を倒すことに成功するというきれいなストーリーでしたね。「離れていてもつながっている」って使い古された表現ではあるけれど、このくらいわかりやすいほうが子供たち1人1人が勝利に貢献しているって伝わるのでよかったかなと思います。

それにしても、デビモンはトコモンに向かって「古き友」と言っていました。もともとデビモンも天使型だったという設定があるのでその辺の話かなと思いましたが、24話まで見ても詳しい説明がなかったので、あとで掘り下げられるんですかね。気になる。

暗黒進化はムゲンドラモン?

ネオデビモンを倒したと思っていた矢先、スカルナイトモンが回収した謎のクリスタルの力で究極体のダンデビモンが登場。「倒したと思ったら倒せてなかった」っていうのはバトルアニメの定番だけど、今作でもアルゴモン、ニーズヘッグモンでやっているのでちょっとしつこい印象を受けた。まあ話を盛り上げる都合上仕方ないのかもしれないけど、意外性はないよね。

それにしてもダンデビモン怖すぎでしょ。表情もそうだし、心がぶっ壊れて笑いながら破壊の限りを尽くすところとかすごく不気味。四つん這いになってタケルを襲おうとするところとか気持ち悪すぎるわ。日曜朝にやるにはホラーが過ぎると思ったけど、全体的に24話は後述する暗黒進化の件もあって危機感がすごく詰め込まれた回だったよね。全体的な絶望感の表現としてはけっこう思い切った演出でよかった。

ヤマトと一緒にダンデビモンに立ち向かう太一は、タケルのことを考えてヤマトをかばい、メタルグレイモンとともに瘴気の攻撃を受けてしまう。さらにヤマトとタケルを襲うダンデビモンに対する怒りと、瘴気の影響もあって太一とメタルグレイモンは暴走。そしてダンデビモンに食われた太一を見たメタルグレイモンは怒りに我を忘れて暗黒進化してしまう。

24話の一番の争点は、暗黒進化の姿はムゲンドラモンなのかという点だと思います。見た目的にはまあムゲンドラモンの要素はあるんですがなんか中途半端でしたよね。名前のテロップも出なかったし。十中八九ムゲンドラモンだとは思うのですが、明言できるかというと微妙だった。

ムゲンドラモンはサイボーグ系デジモンのパーツをかき集めてできたデジモンだっていう設定があります。SNSでは24話までにアグモンが出会ったのがメタルティラノモン、メガドラモン、アンドロモンでメタルマメモンにはまだ出会ってなかったからキャノンの部分がなかったっていう指摘があり、本当にそういう裏設定を踏まえてあの姿にしていたのだとしたら相当芸が細かいですが、これまでのストーリーを見ている限り制作陣がそこまで意識しているとは思えないんですよね…。

個人的な考えとしては、あの姿は瘴気の影響で力が暴走したなれの果ての何者でもない姿っていうのが妥当かなと思います。色も薄いオレンジのままで、だから「まだ進化の途中=何者にもなりきれていない」ってことかと。

あと、今回の暗黒進化は過去作と毛色が違ってましたよね。無印のときは進化を焦った太一の無謀な行動がスカルグレイモンへの暗黒進化につながりましたが、今回はダンデビモンに対する怒りという要素もあったものの、瘴気という外的要因の影響が大きい。つまり太一自身の間違った行動というのがなかったんですよね。怒りというのももともとはヤマトとタケルを守りたいという一心からで、直接的な要因は太一が食われたというパートナーの絶体絶命な状況なので。そりゃ大事なパートナーが食われたら自分を制御するのなんて無理ですよね…。

エンジェモンのせいで子供たちが成長できていない

結果的に暴走したアグモンを助けたのはエンジェモンでした。エンジェモンの導きで今までの太一との絆を思い出したアグモンはウォーグレイモンに究極進化(シルエットだけなのでイレギュラーな進化だろうけど)。ダンデビモンを瞬殺して太一を無事に救出します。この展開もアグモンの太一への愛を感じたのでありっちゃありなのですが、不満な点がいくつか。

まずは結局エンジェモン頼りで子供たちの成長で強大な敵を倒せなかったこと。今作ではエンジェモンは無印のとき以上に特別な存在であることは間違いないので、彼のチート能力についてはまあしょうがないのですが。究極体のダンデビモンの攻撃を幼年期Ⅱのトコモンが防げるのは強すぎる。余談だけど、パタモンへの進化のタイミングも謎だったね。ふつうにダンデビモンの攻撃を防ぐときに進化すればよかったのでは?なぜ戦いが終わった後に…。まあかわいいからなんでもいいけど。

つまり、エンジェモンのせいで子供たちの成長が描かれていないんですよね。いや、別にエンジェモンを責めているわけではないのですが、ちょっと神格化しすぎかなと。自分たちで障害を乗り越えないとストーリーに深みがやっぱりでない…。むしろ逆に今回描かれたのはデジモン(アグモン)側の成長ですよね。太一を救い出したいというアグモンの気持ちとエンジェモンの力で一時的にウォーグレイモンになれたのであって、太一自身の成長は表現されていない。

2つめは、どうせなら太一(とアグモン)を助けるのはやっぱり妹のヒカリ(とエンジェウーモン)であってほしかったということ。エンジェモンのパートナーはタケルなので、デビモン編では兄であるヤマトに暗黒進化の役割を負わせた方がより納得感があったかなと(それにアグモンの暗黒進化は無印でやっているし、ガブモンの方が意外性がある)。これから登場するヒカリを絡めるときに太一とのエピソードを盛り込んだほうがスッキリするかなと思いました。

最後は、大ボス戦なのに光子郎たちが蚊帳の外だったこと。やっぱりみんなで協力してようやく倒すって流れのほうがいいよね。だからネオデビモン戦じゃなくてダンデビモンの時に光子郎たちとの絡みがあった方がよかった。

これでストーリーは一区切りなのですが、まだまだ謎は多い。22話ではデビモンのほうがスカルナイトモンより格上みたいな印象でしたが、ダンデビモンに進化させたのはスカルナイトモンだったので、実際は逆だったということですよね。結局はデビモンの後ろにまだ大きな敵がいるということ。そしてスカルナイトモンが持っていたクリスタルは何なのか。ムーン=ミレニアモンへの伏線だという意見もありますが果たして。

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