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穴馬ギャンブラーともよ 第5話「穴馬なんている訳ねえですわ #秋華賞 予想」

 居る訳無いです。

 といってもオッズというのは変動するので、例えばリバティアイランドは単勝支持率70%とか行きそうですし、仮に飛べば全馬フィーバーな配当に跳ね上がります。こういう時に狙うのが穴党となので、ここは逆張りも視野に入れつつ狙っていきますわ。

リバティアイランド

逆張りなんてする訳ねえですわ〜〜

 桜花賞とオークスは、歴代でも最高クラスのパフォーマンスです。3歳春時点では、アーモンドアイ、ジェンティルドンナ、デアリングタクトより上、桜花賞単体でもソダシやグランアレグリアより上、オークス単体でもラヴズオンリーユーやシーザリオより上、日本競馬史上最強牝馬になる可能性が現実的なレベルの競走馬です。

 この馬と張り合えるのは同世代だと凱旋門賞馬エースインパクトのみです。今の時点だとパディントン、オーギュストロダンでも力不足です。それぐらいの圧倒的な力を持っています。

 この馬自身は圧倒的な余力量を武器に爆発的な末脚を繰り出すタイプで、余力を確保できる追走さえできれば、先行だろうが追込だろうが所構わずぶち抜いてきます。想像ではありますが、折り合いさえ付けば逃げでも問題無いタイプです。

 三冠目は勝ちに行くので積極的に位置を取りに行くでしょうけど、前半位置を取った消耗分を加味しても、正直最後方から追い込む馬より余力があるってレベルです。文字通り力が違う。他馬より速く走る能力が圧倒的に抜けています。限定戦出禁です。

 負けるパターンとしては2通りあります。包囲網を敷かれて動けない時と、超を超える究極スローペースになった時です。前者は正直知らんというレベルで、川田騎手は基本的に不利が無いように乗っており、それが抜群に上手い騎手なので運レベルの話になります。

 後者は結構あり得そうな形で、分かりやすい逃げ馬不在で、かつレースラップが逃げ馬基準で後傾3秒とかになれば、例えば勝ちタイムが1:58.0の場合だと、後半1000mが57.5秒になるので、割と前でやれる馬が出ていてもおかしくないという印象です。

 そもそもこの馬は阪神JFを45.9-47.2で走破しているように、別に前傾1秒程度の先行差しなら普通に凌ぎ切れるので、うーんまあ隙が無い。気性面はさておき、このレベルの追走ができて余力とスピードレンジにある馬は、それこそナリタブライアンしか思い浮かびません。

 秋華賞最大着差はファインモーションが出した3.1/2馬身差ですが、200m辺り0.6秒前後速い形。直線半ばで先頭に立つと考えると、ラスト1Fか他馬より1秒速ければ、4馬身以上の着差になると考えています。現実的ではなさそうですが、それができるのがこの馬だと思います。

 これ以上分析するより、他馬を分析する方が有意義なので。

評価:100点(SSS)

モリアーナ

 今回の予想は、末脚レンジの高い馬で4頭。追走レンジの高い馬を4頭挙げます。あと面白そうなのを1頭で。

 まずこの馬から。

トップスピードはリバティアイランドを除けば単独1位です。この馬は余力量を武器にスピードで差していくタイプの馬なのですが、春は末脚が不発に終わるシーンも多く、不甲斐無い結果になっていました。夏を越した紫苑Sは爆発的な末脚を発揮し、1.5秒ぐらいの差を直線だけで差し切りました。

 春が不振に終わった要因には、この馬が持つ末脚の特性が挙げられます。この馬はスパートを一気に使ってしまう特性があり、クイーンC、NZT共に最後に差し返されています。トップスピードは高いので、なるだけゴール寄りのスパートになるのが理想なのですが、前走の中山2000mはうってつけのコースだった訳ですね。

 近年では紫苑SがローズSを差し置いて、秋華賞の好走に結び付くステップレースとして機能していますが、これはコース形態の類似性が高い点が挙げられます。直線短いですから。せめてローズSが阪神2000mになれば色々変わりそうな部分はありますが、コースが似ている→好走した内容で走りやすい、という利点があるのも事実です。

 モリアーナが横山典弘騎手に代わって、絶対に位置は取らないぞという強い意志を感じますし、この馬の直線性能の高さを考えれば、まあコーナーから踏むようなレースはしなさそうな雰囲気を感じ取れます。京都内2000mは直線が短いので、この馬の末脚が発揮できる内容で好走できるのではないかと思います。

 調教からも前走以上の状態に映りますし、打倒リバティアイランドに関しては、割と文句無しに1番手評価を与えたいです。マイラーっぽい印象はありますが、秋華賞以後も割と面白い所で穴を開けそうです。直線が短いコースになれば尚の事。

 比較的ハイペースのマイルを力で何とかできそうな辺りまでは走れるので、前走の内容に関しては、展開利云々より余力量の絶対値での勝利だと思います。

評価:85点(S)

コナコースト

 桜花賞ではリバティアイランドをあと一歩の所まで追い込んだ馬です。追走レンジ1位。

 やはり内容としては桜花賞2着が印象深いでしょう。イン前有利のトラックバイアスでの好走も可能性としては挙げられますが、46.2-46.1で走破したスピードの高さと持続性能、追走力の高さが本質なのは言うまでもありません。

 桜花賞のラップ推移でマイルを走破した馬にはジャックドールが居ます。安田記念と大阪杯は同程度の馬場差なので、坂とコーナーの補正を加味しても1F辺り0.25〜0.3秒の短縮に成功しています。コナコーストは桜花賞を1F辺り11.53秒で走破しているので、秋華賞では1F辺り概ね11.8秒で走破できる可能性が考えられます。

 末脚質が高いタイプの馬ではないため、オークスではスタート後に挟まれてしまった時点でゲームオーバー。あとシンプルに距離が長かったですね。

 スピードを活かせる流れがベストで、強気に逃げるのが理想です。超スローで逃げても、まあスピードレンジ的に後方から差せる馬も居ないので、逃げるか番手なら、非常に面白い存在だと思います。デアリングタクトの秋華賞でレイパパレが出走していたら、三冠もあり得なかった可能性はありますが、そういうレースに出来れば。

 調教評価では2番手に推奨しています。時計を見る限りだと、1400〜1600mの馬に見えて仕方無いのですが、追走レンジが要求されるような2000m戦にも対応できるようであれば、今後の路線的にも面白い1頭になると思います。

評価:80点(A++)

ドゥーラ

 末脚の火力はリバティアイランドを除いて単独1位です。前走のクイーンSは圧倒的な斤量優位があったものの、スローペースの札幌芝を捲りながら3F34.5秒は普通に優秀です。状態も前走はあまり良くなかったですし、着差以上に内容を褒めてあげたいレースでした。

 見るからに1周の1800m以上から、という馬で、持続性能に優れた末脚が武器になります。また、追走レンジも1800m以上に向くので、1600mのレースでは大敗を繰り返しましたが、2400mのオークスではしっかりと挽回。内回り2000mを力で捲るのは得意なタイプで、スピードの天井がこの中だと最低ラインなのを加味しても、比較的強気にレースを進められそうなのは魅力です。鞍上との手も合っています。

 懸念点は追走力でしょうか。恐らくまだ2000mをスピードで追走する能力には乏しいと考えられます。脚が止まるレベルのオーバーペースで進むなら無問題ですが、イーブンペースの2000mを先行するのは荷が重いです。どちらにせよ後方からだと思いますので、心配はそこまでですが、スローペースで内枠から動けない状態だと、これも中々厳しそうです。

 とはいえ、能力自体はこの世代でも二番手クラス。リバティアイランドが止まることは考えにくいので、出し抜くレースが出来れば理想ですね。

評価:85点(S)

ヒップホップソウル

 マイルのレンジにはありませんが、追走レンジはそれなりのレベルです。リバティアイランドを抜いても3位ぐらいですが、前走紫苑Sは、前傾1秒前後を粘りに粘って2着を確保。成長が伺えます。

 別にトップスピードが高くないシャンパンカラーを捉えきれなかったように、マイルでは手も足も出ないですが、中距離カテゴリで持続性の高い脚を発揮して好走しています。オークスでも2着馬との着差を考えれば0.3秒ですし、能力的に劣っているという印象は受けません。

 とはいえ、近3走は全て勝ち馬に余力で負けており、これは早仕掛けの分や位置を取った分というロスを考慮しても揺るぎません。要は3戦とも力負けであり、このレースにおける協調材料はあまりありません。

 しかし、この馬の武器は追走力でも末脚でもなく、速いけど速くない脚にあります。上から数えた方が速い追走スピードで、上から数えた方が速い上がりを出せます。流れに乗るのが上手い、という事です。持ち時計の基準値はクリアしている訳ですし、そこそこの好位置を取ってさえしまえば、流れ込むレースが出来る可能性を感じます。

 流れに乗るのが上手い、という事は流れを作る馬が居ないと困る、という事です。明確な逃げ馬不在のレースな以上は強気に推せない、という訳ですね。ここでは述べませんがコンクシェルは逃げないと脆い馬なので、ミドルペースを上手く先行できれば楽しみが広がります。

評価:75点(A)

マスクトディーヴァ

 ワールドレコードを叩き出した超新星です。末脚はの強さはドゥーラに次ぐ2位だと思います。ローズSは前半4F45.7-後半4F45.7のイーブンペースを中団辺りから押し切り、非常に強い内容でした。

 ローズSがそこまで異常値という訳ではありませんが、この時計を桜花賞の馬場で直します。馬場差を戻すと1:44.0、斤量を桜花賞の55キロに補正すると1:44.2ぐらいだと思います。マスクドディーヴァ単体だと、35.9-34.7-33.6ぐらいかなと。1000m通過は概ね59.0。ラスト1000mは57秒フラットか切る辺り。普通に高水準ですし、多分これより0.2〜0.3秒速いと思います。

桜花賞水準だと、恐らくコナコーストと同レベルの走破に感じます。勿論マイルのスピードレンジではないですが。出してくるスピードレンジの観点では、ローズSは世界レコードが出ましたが、上位3頭とも中距離質の馬です。ここが秋華賞の予想を難解にしているポイントですね。出走していたらブレイディヴェーグとシランケドも評価しなければならないという。

 新馬戦の数字が物凄く良い馬で、この世代でもタスティエーラの新馬とかそのレベルです。ローズSは単なる新馬の数字の延長線にしか過ぎず、中距離が合わないなんて事は全く無いです。

 この馬は余力量を武器にスピードで差すタイプの馬で、忘れな草賞の敗戦は、そもそも全馬が余力を確保できる状態だった、という話。グランベルナデットは1600mのクイーンC5着ですからね。余力のキャパシティは大きいですが、一夏越してそれがより強くなった、という認識。

リバティアイランドが先行した場合、マーク戦法だけで唯一勝負できそうなのがこの馬です。後方から差すにはスローペースだと詰みますが、自力勝負ができるというのがポイント。望ましいのは後傾ラップなので、若干後方ないし真隣のリバティアイランドのマークが理想的です。

最小キャリアなのと、今回初めて中3週以内の競馬になるのは懸念点。調教から見る限り、デキはキープないし状態を上げているとまで思いますが、目に見えぬ疲労というのは、このキャリアから分かる要素が一切無いので、昨年のローズSの勝ち馬アートハウスみたく、詰めると良くないタイプだった際は文句が言えないです。

評価:90点(S+)

ハーパー

 世代2番手。トップスピードがマイルに無いので中距離が合っていそうです。ちょっと弱気なのはルメールの記者会見の影響ではなく、シンプルにどちらに適性があるか読みにくいという話。

 この戦績には2年前見覚えがありますね。秋華賞馬アカイトリノムスメです。ハーパーはどちらかというと中距離寄りで、それでも桜花賞は1:32.6の走破で優秀なスピードレンジにあります。

 普通に考えればヒップホップソウルの上位互換になります。ヴァレーデラルナの半妹というのもあって、スピードレンジを生かした余力勝負に強いです。オークスも、位置取りを考えれば立派な2着。レースが上手いというより鞍上が上手いのですが、流れに乗りつつ持続性のある脚を使えるのが魅力です。ただ、長さ的にはヒップホップソウルには劣る印象。最高速はこちらが上ですが。

 欲を言えば、負荷の掛かった追走力が欲しいという点があり、後傾ラップを差している印象が強いです。今も十分前半から頑張っていますが、大舞台で1枚抜けた存在になるには、もう1段階前半で頑張って欲しいと思います。

 総合力は高いので、2番人気も納得です。まあ、仕上げを見る限りでは秋華賞よりエリザベス女王杯にお釣りが残りそうな調整に映らない事もないですが。

評価:80点(A++)

予想

◎リバティアイランド
○モリアーナ
▲マスクトディーヴァ
△ドゥーラ
☆ハーパー

予想軸
能力40:TB20:展開40

 先行馬をリバティアイランドで補完するというトンデモ予想です。トラックバイアスと秋華賞傾向をガン無視するのには理由があります。

 この中で最も前半から負荷を掛けて好走したのはリバティアイランドの阪神JFです。前傾1.3秒を2.1/2馬身差で勝利しています。ヒップホップソウルの前傾1秒追走はあくまで2000m水準のものです。

 リバティアイランドの阪神JFを2000mの時計に直すと1:58.8で、これを阪神JFのラップバランスと同程度で比較すると57.8-61.0になります。化け物です。このメンバーなら余裕で逃げ切れます。

 当たり前ですがリバティアイランドは垂れません。この馬の真後ろを取る限り、追い付くことは無いですが詰まる事も無いです。つまり、リバティアイランドを中心として、「この馬より前に行きたい馬」と「この馬の後ろに付けたい馬」が交錯する訳です。

 直前まで動けない場合を除いて、後はリバティアイランドがどこで動くかの勝負。秋華賞は直線が短いので、よほどハイペースにならない限りは、早めに力押しになると思います。そうなるとリバティアイランドを中心としてかなり早い段階で前回スパート区間が出てくる訳です。

 今回は、我関せずを貫いた3人衆を用意しました。あと着狙いしそうなルメールと。いずれも末脚の質が非常に高く、武器を理解している鞍上です。先行馬とリバティアイランドの後ろの負荷を加味した結果、最早関係無い所が馬券になるのではと踏んでいます。ぶっちゃけ付いて行って馬券になるのもこの4頭とラヴェルぐらいですし…

 逃げ馬が居なくてペースが読めないからこそ、リバティアイランドに勝負を挑むという負荷を避ける馬が有利になると踏みました。懸念点は、誰も乗り方が読めない事。要するに、ただの博打です。川田将雅が直線で交わすだけの競馬をすれば当然前が残るので地獄です。

 ただそうなると、前の馬の上がりが速い状態になるので、今回の予想のような、早めに踏み合いになる展開の方が、可能性としては高いラインだと考えました。

 ハマるかどうかの勝負です。いざ尋常に。

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