お互い様

カチンコチン頭

ある日、職場の友人に声をかけられた。
「こーしんさん!お願いがあります!」
「え?なに?」
「今度渋谷のオフィスで、情報の共有について20分程、話をしてもらえませんか?」
「え。。今忙しくて。。何名?」
「10名なんですけど、みんな情報の共有で困っている人で現場が動いてくれないらしいんですよ。」
「うん。。それは僕も困っているところだけど。。中々コンピュータって難しいって言われる事多いからな。。特に年配の人の理解を得るのは難しいよね。」
「今は特に震災直後だから、電気が止まったりしてて、投資モードにはなってないでしょ。」
「そこをなんとか、こうしんさんトークで皆をやる気にさせてほしいんですよ」
「えー。。そんな元々ネガティブな先入観を持っている人を説得するのは難しいよ。。それに20分でしょ。初対面でしょ」
「こうしんさんならできますよ。資料なくていいですから、信じてますよ!」


彼は、僕の尊敬する営業マンで、いつも業績はトップで、お客様からの信頼も厚く、会話も私よりも数段うまく、相手の気持ちを汲んで適切な会話をするのは、天才としかいいようのない人でした。

「自分でやれば、僕よりうまいだろうに」
と思いつつ彼の頼みはいつも断れないので、分かったと言って受ける事にした。この様に人前で話をする機会は、それなりにあるので、いくらでも一般的な話はできるが、具体的に情報共有で困ってて、現場を説得したいと言っているお客様に突破口を作ってあげる話となると、手は抜けないなあ。。と困っていました。
「うん。。どうしたものだろう」
悩んだまま、当日を迎え、一人で考えていた。

「ここまで来たら、腹をくくるしかない。どうするか。」
「よし、10名だったら、みんなの課題をぶつけ合う会議にしよう。」
「そのあとで、どうすればいいか。今、何故、情報共有なのか、そして先入観を持っている人をどう説得するか。答えをだせばいい」
そして、渋谷オフィスで10名の会議が始まった。
ある人はいいました。
「うちの会社は、文章の管理がバラバラで、整理されていないので、既に作ってあるはずの資料を、何人も平行して作っていたり、ファイルサーバーにおいているけど、個人別にファイルがあって、誰も他の人のフォルダーを見に行かないから、同じものを作ってしまう。それに、新しい情報の更新が必要な時には、作った人は、自分がやらなくちゃいけないのか?との議論になるんですよ。」
又ある人は
「ファイルサーバーで、整理整頓するルールを作っても、みんな守らないんですよね。特に年配の人にそういう傾向があるのですが、欲しい情報は、みんなが見れる形で、おいてあるからみんな僕のフォルダーを身に来ればいいし、なければ、他を探せばいい。難しく考えなくていいんじゃない?
どうも、ITの人は頭がカチンコチンで、システムも、使いづらくて仕方ない。オープンなのが一番いいでしょ。」
「って言われちゃうんですよね。でも、その部門でも若手や、新米の人とか、仕事の流れについていけなかったり、その人が持っていない情報の方が多いので、結局営業部門が誰に聞いたらいいのかわからないとクレームが来て困っているんですよ。」
情報を欲しいと思っている人は困っているんですよね。
決済権限を持った人は、どう思っているんでしょうね。
「はい。その声の大きな人の言う事を聞いて納得しているのですが、全体としてクレームが出ている事も問題としていて、ITの問題だと言ってくるんですよ。でも震災の直後でお金もだしてくれるかどうかなんですよ。」
「はあ・・それは難しいですね。」
「皆さん、同じような感じですか?」
20分の会話の中で、10分以上、日頃の悩み相談議論になっており、頭カチンコチンとまで言われている現状が良く分かった。
「中村さん、他のお客様で同じような事でお悩みの方はいらっしゃいませんかね。。」
と聞かれたので
「勿論、皆さん同じ悩みをお持ちでいらっしゃいます。必要な人に必要な情報を届けるには、先ずは整理整頓して、そこでルールを作って、それをみんなに徹底してもらわないといけない。そんな事は誰もが分かっている。ですよね」
「そうなんですよ」
ここで、やっと今日の為に、用意していた話をした。

「じゃあ、こう言ってみたらどうでしょう。実際に私が経験した話です」
私の近所のお婆さんと会話してて聞いたのですが、東北の復興支援の話があったらしいんですよ。。その時、おばあさんは
「新聞に小さく復興支援品の募集が書いてあったんだけど、それが、役所がやる事だから、細かくて、先ずは洗濯してある靴下、未使用の下着、クリーニング済の上着、タオルは箱から出して、大、中、小に分別して出してくださいと書いてあるんだよね。でも、実際に市役所に言ったら、あんなに小さな広告だったのに、昼過ぎにいったにもかかわらず、ごった返してて、こっちは、両手に一杯の荷物持ってて、お店も閉めてきているから、早く帰りたいのに、分別しろだの、名前かけだの、手続きばっかりやっているからいつまでたっても、持ってったもの渡せなくてさ。イライラしてたんだよね。
しかたなく、みんな誰も文句言わずにやっててさ、こっちは急いでいるからさ、自分の番が回ってきた時に市役所の人に文句言ってやったんだよ。
「あのね。あんまり言いたくないけど、手続きなんかどうでもいいでしょ。東北の人は困っているんだから、とにかくなんでもいいから送ってあげればもあとはあっちでなんとかするでしょう。こんなところで時間をかけているうちに東北の人は凍えているんだよ。分別なんてどうでもいいでしょう」
と言うと市役所の人はこういったらしいです。
「本当にすいません、東北の方からリクエストがあって、大型トラックでものすごい数の物資が今運ばれているらしいいのですが、向こうで欲しい人に欲しいものを届ける事ができなくて、ある町では小学校の体育館が、配れない物資でパンパンになっちゃっているみたいなんです。そこにも入りきれず、大型トラックが何台も、荷物を下ろせなくて、立往生しているみたいなんです。でも、被災者の方々には、全然物資がいきわたらなくて、どうしようもない状況になってしまっているので、皆様にお願いして、向こうについたらすぐに、必要な人に必要な物資、後、男性、女性、大人、子供と分けて渡さなくてはならず、市役所の人間も総出で今支援していますが、何せ手がたりなくて、皆様にお願いしているところなのです。

特に今、足りていないのは、靴下なんです。3月で雨が降っていますので、被災者の皆様は、着の身着のままで逃げていますので、靴を履いていても、足が濡れてしまい、暖を取るにも、先ずは足元からですので。。それで先ずは靴下を優先して、送るようにしてはおります。そんな訳ですので、なんとか分別にご協力ください」
「と、市役所の人がいってて、だったら仕方がないねえ。。と思って時計見ながら分別して渡してきたんだよね。。確かにそうだなと思って。怒っちゃてごめんね、とその若い人に謝ってきたよ」
と言っていました。これは私が家の近くの酒屋さんで直接聞いた話なので作り話ではないのですが、情報の共有も同じ事が言えると思うんですよね。
必要な人に必要な情報をすぐに届けたいと思ったら、先ずは分類して、整理して、男性、女性、大人、子供に最低限、分けないといけないと思いますよね。おむつとか。体育館に押し込まれた物資はどうするんでしょうかね。分るしている暇があったら、向こうは人命救助の方が優先ですから、ほとぼりが冷めたころに捨てるんでしょうね。勿体ないですが、それだったら初めから、整理整頓しておいて、初めはルールを作るのも、守るのも大変だけど、一回流れ始めれば、道が作られるので、どんどんと便利になりますよね。」
「はあ。。」お客様は唖然としていました。
「でも、先入観を持っている人をどう説得するかなんですよね。」
「そういう事こそ、年配の人だったら、震災で実は靴下が足りてない事をしっていましたか?あなたは、靴下を必要な人にすぐに届ける方法をしっていますか?と聞いてみてくださいよ。体育館がパンパンな状況を私達はほっとけないし、勿体ないと思いますし、IT部門は全体をみてますので、全体に必要な情報をタイムリーに届ける必要があるんです。なんとか理解してもらえませんか?と聞いてみたらどうでしょう」
「なるほど。。そうですね。」
一定の理解はえられたようだった、もう20分はとうに過ぎてしまい、次の予約の人がドアの外で待っていました。
「一旦外に出て、ラウンジで話しましょう」
そう言って、ラウンジで個別にお客様との会話をさせていただき、無事役目を終わらせる事ができた。
「こうしさん、ありがとうございましたあ。」
とお礼の言葉をいただいた。苦労した割には、あっさりと帰っていった。
いつもの事だけど。。
流石、僕の尊敬するトップ営業マン。その日の縁でトップの法律事務所との商談をまとめ、その後、追加で2社の商談をまとめました。
私は、20分の話だけしに行ったけど、果たして役にたったのだろうか。。
情報を共有するときは、なんでも共有すればいいと言う問題ではない、ルールや、セキュリティーが存在しないと、人事部門の自分の人事評価の情報が他の人に見られてしまったら大変な事になる、又、物資がたまたま、ある人には渡って、ある人には渡らない。その人が本当に困っているとか、その為に病気になっているのであれば優先してあげる必要がある。そこには公平性を担保できる機関の踏ん張りが必要となる。情報も同じだと思う、ある人の言う事が無尽蔵に、拡散して、フェイクニュースになってしまうことがあるが、どこかで歯止めをかけられないものかと思う。その為には整理整頓して、且つ、鍵をかけておかなくてはならないと思います。
フェイクを止めるのは情報の制御になり、会社のように自身でガバナンスをかける事が出来ない場合、情報提供側が制限をかけるには、国民の知る権利との兼ね合いで難しいのかもしれませんね。あとは信頼関係しかないのかな・・
ここまでで、トップ営業マンの依頼に関する話は終わります
現在、インスタがブームになっていますね。他にも沢山SNSはあります。そこでも同じ問題があると思っています。
昨今の様に、SNSが時代を動かすようになってきている中で、問題を指摘するニュースが多くでており、特に年配の人がSNSの利用を嫌う傾向にある。スマホが出ていても使わず、ガラケーのままの人が多い、元々、文字の本格教育が始まったのが、年配の人が小学校の時なのでしかたないのかもしれないし、ITの技術が本格的にスマホとして、一般市民が使うようになって、また7年程度です。
そこであまり、厳しいルールを作ってしまうと、使う人がいなくなってしまうのが、現状なのかもしれません。でもなんらかの整理整頓をして、伝えられるような仕組みをなんとか作れないものかと考える毎日でもあります。SNSでは、情報のシェアが自由にできる事でタイムリーにその人が今、何をしているのか、海外に居ても日本の状況が立ちどころに分かる利便性があります。本当に便利になった世の中ではありますが、半面で、その人が発言した意見が、その先のシェアされた人、全てにプラスに受け取れているか。と考えると、そうでもないことがあります。
私は、人前で発言することが多かった立場で、常に自分の意見は、半分以下の人にしか合意してもらえないと思っています。残り半分の人に理解してもらうのには、本当に努力が必要です。相手を選ぶか、根拠を明確にするかしかないですね。
でも、考え方や思想のように、根拠のないものを伝えようとした際は、そこには、明確な答えはないように思います。
飛躍した例えになりますが、、


アダムとイブが、禁断のリンゴを食べてた事で、今の競争の原理が生まれたという、お話がありますが、アダムがリンゴに手をかけたとき、イブは「ダメ」と思ったでしょう。でも食べないと生きていけなかったのです。2つの意見は必ず存在します。そこを完全に一つにすることは不可能だと思います。二人は罪を背負って、二人でリンゴを食べたと思います。
海外企業では、現場の業務改善の事を、このことを、LOW HANGING FRUIT と言っています。手元にあり、今までの慣習からすると、NGかもしれない、お金がかかるかもしれない、しかし、それをやらないと、みんなが困ってしまう。それを気づいた人が、アダムとなって、ダメ、という人を説得して業務改善に取り組みましょう。という取組の総称です。外資系企業に居た際に、上司から貴方の LHF (low Hanging Fruit) は何ですか?、絶対に他言はしないし、文句もいいませんので、気づきを教えてくださいと、3か月に一度聞かれて、答えた事があります。又、一年に一度一づつが、自身のLFHの発表と、1年の取組を発表する場合はがありました。人によって、かっこよく、結果を出している人もいるし、全く答えがでず、これは自分では到底解決できないので、上層部で考えてほしいと言う人もいました。でも驚いたのは、そのVice President クラスの人のコメントがすごかった。くだらないと思っている発言に、びっくりするコメントをするのです。あなたの意見、気づきは、うちの会社の問題の根本を指摘している。指摘してくれてありがとう。皆様の意見もすばらしいけど、私はあなたの解決できないけど、努力してくれたことを心から感謝します。でも、私自身もすぐに答えがでません。本当にお詫び申します。と言ったのです。びっくりしました。あまりにも鮮烈で、今でもその場面を映像のように思い出します。会議が終わるとみんなで笑顔で会議室を出て、食事に行きました。それ程規模の大きくない会社だったので、できたのだと思います。 でも現場主導で業務改善を進める一つのヒントであることは確かだと思います。日本ではトヨタが世界に発信したカイゼン文化もそこにあると思います。


話を元に戻しますが。
昨日 NHK で放送があったように、SNSでの犯罪もでてきています。SNSは怖いとの問題意識が出てきている中。
上手に使えばこれほど、便利なコミュニケーションツールはないので、仕組が今のままであれば、自己防衛策をしなくてはならないと思います。又、顕在化しつつあるので、そろそろ大きな問題かもしれませんが、手をつけなくてはいけないのかもしれませんね。
最後に。
今回ご指摘を受けた方は、飲食店を営むオーナー様からでした。
「なみへい」と言う、お店で、日本全国の都道府県を月に一度づつ、現地のお母さんに直接厨房に入ってもらい、食材も調達して、地域の食文化を東京の神田で知ってもらいたい。又故郷から東京の喧噪で働いている人が、同じ郷里の人と出会い、方言も交えて会話して、一時の故郷の思いにふけって美味しい料理と、お酒を飲んでもらいたいとの強い気持ちでお店を立ち上げております。私も、自身の企画していた山手線駅伝飲み歩きツアーと言う企画で、神田駅では、「なみへい」さんを利用させてもらいました。
その時、人数がうまく集まらず、当日ドタキャンせざる負えなくなり、オーバーさんに、本当にごめんなさいと何回も謝りました。
当日、せっかく、くまもんも用意して待っていたのに。。と言われました。


https://www.namihei5963.com/
そのオーナーさんはFacebookの友人でしたので、私のFaebookのSNSについての書込みを見て、人と人の繋がりを頭でっかちに考えるなんて馬鹿らしい。あんた、パソコンとか、携帯みながら心が通じあうとでも思っているの?そんな頭カチンコチンな事を考える人が日本をダメにするのよ。と言われている気がします。その通りです。私もやりかけた事なので、この記事を書きましたが、ネットでのコミュニケーションは程ほどにして、直接会話する方がどれだけ健全で楽しいか。そっちをみんなに伝える事の方が重要かと思います。そのお店は、お客様に喜んでもらう事が第一なので、都道府県毎に寄付金箱があって、そのお金が集まったら優先して、その地域の月を作るし、お酒の持ち込みが自由だったのです。
(採算が合わなくて、少しもらうようになったみたいですが)
そうゆう志を持って仕事をしている人に本当に感謝しているし、SNSよりもなみへいだと思っています。なにせ、ムチャクチャ料理が旨いです。
最近、早く帰宅するサラリーマンが増え、父親の存在価値を取り戻そうとしている人が増えているように見受けられます。でも、会社の仲間と、月に数回以上は、飲みに行って、お互いの気持ち、本音をぶつけ合ったり、「なみへい」の様な店で、日本は、東京だけではなく、色んな地域の人がいてそんな交流をリアルに味わう時間についての喜びの投稿をどんどんするべきだと思います。その時に、
本音で話せた―とか楽しかったーとか、美味しかったーとか、ここの経営者の人に、起業の苦労話を聞けて本当にためになったとか、コメントがあるといいですね。ただ、ここにいる。だけではつまらないですよね。
※なみへいは、予約するときに、経営者のお店立上げの経緯とかの話をしてほしいと言っておくと答えてくれます。元起業家を支援するNPOで寝食を忘れて、日本を元気にしようとしてくれた人で、自分なら何を実践できるかと立ち上げた店だからです。
僕も携帯は、おいといて、もっと人と直接コミュニケーションを取ろうと思います。
なみへいさん、僕を分かってください、日本はこうゆう事をキチンと整理して若いグローバル人材を育てないと、将来がないのです。
ここで踏ん張らないといけない重要な場面なのです。


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