MIX師のなりたちって知ってる?

MIX師なるものが増えてきる
狭い界隈ではあるがその中でちょっとずつ認知されてきている

しかし、MIX師がどのようにあらわれてきたか知る人が少なくなってきたので
ここでまとめておこうと思う

まず、なぜそのなりたちを知る人が少ないのか?
それはそのムーブメントを作り出す中心になっていたSNSが消滅したからだ
昔、シングリンクという「歌ってみた」界隈専用のSNSがあった
その中で「歌ってみた」「歌い手」「MIX師」などの文化が発展していったのだが
色々なことがあってそのSNSは現在閉鎖されていて
そこで行われていたことを閲覧することは出来なくなっている
そしてシングリンクで活動していたMIX師も
今ではほとんど見かけなくなってきた
MIX師のなりたちを多くの人が知らないまま
現在のムーブメントはどんどん進んできている

そのためMIX師という言葉だけが残り一人歩きしている
そんな気がしてきた
言葉というものは日々変化していくもので
今一般的に使われているMIX師が当初の意味合いと変わることが間違っているわけではない
これはMIX師だけに限らずすべての言葉に言えることで当然のことである
なにも「わしが若かった頃はのう」と自慢げに話すことではない
ただ、このまま風化する前に書き留めておきたかっただけである

「MIX師」という言葉について
「歌ってみた」文化が生まれたときそのパフォーマーは自らを
「歌い手」と名乗った
これは現在も続いているがなぜ「歌い手」と名乗るかというと
「俺たちは好きで歌っているだけだから歌手、シンガー、ボーカリストと自分たちを呼ぶのはおこがましい。だから「歌い手」と名乗ることにしよう」
そんな理由から「歌い手」と言うようになったのだが
実は「MIX師」も同様である
「俺たちは好きで歌い手のMIXをしているだけだからミキシングエンジニアと自分たちを呼ぶのはおこがましい。だから「MIX師」と名乗ることにしよう」
ということで始まった
「えっへん、MIX師様だぞ!」
というニュアンスはそこにはない
むしろ謙遜や自分を卑下するニュアンスがある
本来はアマチュアのミキシングエンジニアのことをMIX師と呼ぶのである
現在は「有償MIX師」というプロのMIX師も現れている
古参MIX師にとってはなんともおかしな言葉に聞こえるが
アマチュアプロレスラーというものも存在するのでそれは受け入れていかなければならない事に思える

ボーカルエディットはミキシングになるのか?
そんな論争をSNSで目にした
ボーカルエディットとはボーカルのピッチやタイミングなどをパソコンで加工修正する工程のことである
プロの現場ではボーカルエディットはミキシングには入らない
というのが一般的なのだが
歌ってみた界隈、MIX師界隈では
ボーカルエディットはMIX師の仕事とされる
なぜか?

これはMIX師をはじめた最初の人間が元々歌い手で
「ピッチ補正ソフトという結構高額なアプリを購入したが
一人で使うのはもったいない
素晴らしいアプリなのでみんなの歌にも使ってあげるよ」
といって始めたからである
今でこそ多くのボーカリストが使用する当たり前の技術だが
当時はプロですら使わないこともあり
ましてやアマチュアシンガーが趣味でアップロードする歌に使うなんてありえない時代だった
結果、ボーカルエディットはMIX師をやるうえで不可欠な技術になっていった

最後に
「歌ってみた」という文化は誰でも簡単に歌によって自己表現ができる素晴らしい文化だと思う
文明の発達によって、スマホ片手に誰でも歌をレコーディングできて
プロと同じレベルの機材やプラグインをアマチュアが使用できるまで価格が下がり
レーベルを通さなくても楽曲を簡単に配信できて
広告代理店を通さなくてもSNSで自ら広く発信できる
アマチュアがプロと同じ土俵に建てるのである
未成年のうちから活動する歌い手も多い
これからもどんどんこの文化は発展するだろう
この文化の黎明期を駆け抜けてきた一人として
とても誇らしく思う

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