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出生前診断に悩んだことも、忘れたくない tsunaのきろく#4



tsunaのきろく#4
今回は出生前診断について。
検討している方は、ぜひ読んで欲しい。
ただ、デリケートな問題なので、
嫌な方は次回の記事をお待ちください。






30歳。

私のこの年齢は若いでしょうか、それとも、子どもを産むには遅いでしょうか。

平均の初婚年齢が遅くなり、初産年齢も遅くなっている現在。初産で35歳を過ぎると、さまざまなリスクがあがる「高齢出産」に分類されます。そのリスクの一つは、先天性異常のある子どもが生まれてくる可能性があがることです。30歳の私はまだ高齢出産ではありませんが、決して若いとは思いません。

出生前診断は、確定検査と非確定検査があります。
その中でも種類があり、検査方法・検査時期・調べることができる内容・費用など違いがあるので、具体的知りたい方は自身で調べてみてください。
近年、検査が簡単で、検査結果の精度が高く話題になっているのは「新型出生前診断(NIPT)」という非確定検査です。手軽さ故に、あと先のことを考えず、事前にカウンセリングも受けずに出生前診断を受けて、行き場を失う夫婦がいることが問題になっています。

また、出生前診断でよく言われるのは「命の選別」ですね。出生前診断では、先天性異常があることを事前に知ることで、出産方法や環境の準備が出来る点はメリットです。同時に、出産自体をリタイアする選択が取れる点が、産み分け(=命の選別) に相当するとも捉えられるため、タブー視をする意見も根強くあります。




当初、私は出生前診断を受けるつもりはありませんでした。私の年齢(30歳)の友人で受けているひとも、探してもいませんでした。ところが、義実家と夫からは強く受けてほしいと言われました。自分では受けるつもりがなくても、パートナーや家族に言われて受けることになって…というケースですね。
義理のお姉さんも受けたそうですが、35歳を過ぎてからの出産だったので勧められた、又、エコーの段階で障がいがある可能性があったので詳しく調べるために受けたそうです (義理姉は私に受けなくていいと言ってくれていました)。
義実家の考えとしては、夫自身が40歳近く高齢だからということ、夫は科学的に発達している技術は受け入れていくべきだという考えからの提案でした。確かに、海外では当たり前のように出生前診断が行われている国もあります。価値観とともに、日本は遅れていると言ったらそれまでかもしれません。

出生前診断の現状を知ろうと、学生ぶりに新書を読みました。

集英社新書 室月淳著『出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」』2020年2月出版


出生前診断を受けるからには、
その先の生活を想像できているか、夫がそこまで考えているか疑問
でした。
私は高校生のときに、特別支援学校の生徒の放課後支援のボランティアをしたことをきっかけに、障がい児に関わる勉強がしたいと思い、大学では障がい者・児福祉を専攻に学びます。曲がりなりにも学んできた身なので、一般的の人よりは障がいのある子どもについて知っていることが多いです。
障がいを持って生まれた子どもたちの可愛さを知っています。そして成長する喜びも。成長して成人したあと、そして親が亡くなったあとのゆく先も。子どもだけでなく、その家族の生きづらさも。特に負担を強いられるお母さんたちのことは、卒業論文のテーマにしたくらいです。
だからこそ私には、人工中絶する選択肢はありませんでした。

妊娠初期の段階のとき、
ある育児雑誌の、たった数ページの出生前診断の特集を見た夫が、当然に「受けなよ」と言った時、そこにある種の「気軽さ」を感じた私は「きちんと出生前診断について調べたのか」と責めてしまいます
調べるということは、単にどういう検査があるといったことではありません。障がいを持つ家族の生活や、何より人工中絶した後の妊婦の心身の状況も含まれています。ところが、責められた夫は「俺の家系は障がい者はいないし、不要」と言い放ちました。そのことが後々尾を引いて、私を苦しめていきます。

実際、出生前診断をするかしないかの選択を迫られた時期には「もし中絶の選択肢があって、そうなってしまった時に、私の精神が崩壊する」と伝え、号泣することになりました。夫はこんなに泣くとは思わなかったと驚いていました。

ちょうど数日前に拡散されていたTwitter。もっと拡散されていいと思う。知らないことのほうが圧倒的に多いから、私たちは知ろうとしないといけないと思う。


夫と話し合いをする中で、本当は子どもを作る前にしっかりとビジョンを話し合うべきところではあったよね、と2人で反省しました。
また夫は「俺の家系は〜」の件について、それは言い過ぎたと謝ってくれたのと、万が一のとき(先天性異常の診断があったとき)は、子どもを受け入れる準備をすればいい、そのための診断だと言ってくれました。

結果、私は夫と義実家の意向もあるので、出生前診断を受けることにしました。ですが、私が出生前診断を受けようと思えた1番の理由は、私の母が「もし義実家で育てないんだったら、戻ってきなさい。一緒に育てよう」と言ってくれたことでした。養育費はがっぽりもらうのよ!という本気の笑いつきで。

私が産科からもらった資料も、たった三つ折りの検査内容について軽くまとめられたもので、医師からの十分な説明もありませんでした。そして、受けたいと言った時に、事前カウンセリングについて記載があるにも関わらず、夫婦への事前カウンセリングの案内はありませんでした。同意書を書いて、さらっと問診で「身近な家族で障がいがある方はいませんか?」と遺伝的なところに問題がないかを聞かれただけでした。こんな簡単でいいのかと、憤りを感じたと共に、これが現実なんだなと落胆したことを憶えています。
※もちろん、きちんと対応している産科・専門施設あるので、よく調べてください。私が調べていなかった、準備不足だったところも反省点の一つです。

私の産院でできる検査は、非確定検査のクワトロテストというもので、血液から様々な障がいの可能性をパーセンテージで調べるものでした。
採血から2週間後の健診のときに結果を伝えられ、詳しい数値は省きますが、「21トリソミー・18トリソミー・奇形の確率は高くない」という結果でした。ひとまず安心しましたが、そのことを「良かったじゃん!」と軽く捉えられるのもなんか違うなぁと「もやもやとした気持ちになった」、それが正直なところです。
 


noteをはじめ、様々な出生前診断に関するブログを読んでいると「私は受けなかった」「受けた方がいい!」「受けて陽性だったけど、出産することにした」…など、様々な方がいらっしゃいます。みなさん、色々な事情や考えがあります。どれも間違ってなどいません。どれも現実です。

私が切実に願うことは、
出生前診断を考えている人たちが、受ける前に、自分たちが診断を受けることでこれからどのような状況に置かれるかを、想像できるような説明がなされる、そんな環境が整うようになることです。だからこそ「事前カウンセリング」は徹底するべきで、出生前診断と共に広がっていくべきワードだと思います。また、パートナーに提案する場合は「受けなよ」ではなく、「出生前診断を受けて欲しいと思っているから、事前カウンセリングに申し込まないか」であって欲しいです。

どんな診断結果であっても、子どもを育てていくのは自分、選択人工中絶を行った場合は、子どもを失くしたことを受け入れるのもまた自分なのです。そしてその負担は、妊娠している本人だけではなく、パートナーも同じ負担を背負うべきだと私は考えます。

それに、実際、生まれるまで、赤ちゃんに障害があるかないかなんてわからない。大きくなって、発達障害があるとわかる場合もありますから。


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