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国境

インターステート405号線から5号線に乗り換えて南へ走った。
ハンドルを握り乾いた風を浴びれば、「オレは自由だぜ、どこでも行けるぜ」という高揚感を味わう。

ロサンゼルスを出てわずか2時間半で現れるINTARNATIONAL BORDERのサイン。
国境を越えてメキシコへ走り抜けるレンタカードライバーは少ない。上り線イミグレーションは、家財道具を積んだ“飽食の北”へ向かう渋滞が慢性化しているから。

僕も他の旅行者と同じく徒歩で国境を越えた。
金網の向こうはメキシコ・ティファナ。
週末家族サービスと安い酒を求めるアメリカ人も徒歩で越境する。
鉄の回転扉を抜けて激変する空気に少しひるんでしまった。
路上生活者とあちこちから聞こえる「アミーゴ!」とすえた臭い。
生々しい生(せい)と汚れたコンクリート色の街。
メキシコ国旗とすぐ先に星条旗もはためいていた。

国境は言葉も文化も無視して引かれていた。
この理不尽さはいったい・・・。

※2015年1月

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