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守神マドンナ

ボローニャ市内に総延長38Kmに渡って張り巡らされているポルティコは、街を一望する丘の上のサンルカ教会へ続く中世から続く柱廊。屋根付きアーケードの歩道だ。

ボローニャFCのホームスタジアムは、メインスタンド側の外壁がポルティコになっていて、そこからはかなり急な勾配と階段を2Km登ればサンルカにたどり着く。

楽しみにしていた富安選手は負傷欠場になってしまったけど、サンルカに祀られているこの街の守神マドンナに勝利祈願すべく、パブや広場に集まりつつあるサポーターたちを横目に試合前の時間を使って往復してきた。
場所によっては息を切らして昇るようなところもあって、時間の限られた観光客などは敬遠するのだとか。教会入口の脇に年間20万人のビジターの国別表があって日本人は220人と書かれていた。

サンプドリアとの試合は2−1の辛勝といったところ。
富安に代わって右サイドバックでプレーした15番の選手が頼りないのは、初観戦の目にも明らかで、試合中15番の不甲斐ないプレーにスタンドから何度か「トミー」のフレーズが聞こえた。口さがない人たちが「富安だったらあんなプレーしないぞ!」と野次っているのはほぼ間違いないと思う。
というのも試合前に日本人の僕に「トミー」と嬉しそうに声をかける人は何人もいたし、ファンゾーンの試合に出ない選手のサイン会での富安人気にはちょっとびっくりした。笑顔を絶やさず撮影に応じる彼の姿に嬉しい気持ちにもなった。

Jリーグに比べてスピード感があって楽しかったのに、試合後シーズンシートホルダーの地元の人が言うには「下位チームとの試合はもたもたしている。ユベントス戦になればもっと速い」とのこと。
汗かき汗かきサンルカを往復したから、マドンナのおかげでなんとか勝ち点3を得られたというわけらしい。 

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