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シン・仮面ライダー(ネタバレが広まる前に)

「いやー、めっちゃ仮面ライダーでしたね」
「言いたい事が山ほどあり過ぎる」

これは3月18日、映画「シン・仮面ライダー」先行公開から1日経った所謂公開初日に僕の友人と僕の映画鑑賞後のやり取りである。

大学時代から20年来の付き合い僕の友人はこの映画の監督である庵野秀明(敬称略)が手掛けた「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビ本放送時代からのファンである。
なお彼の仮面ライダー原体験は大学時代に僕に勧められてみた「アギト」と「龍騎」のみで、SNSは僕の知る限りやってないし、何より既婚者である。

彼と一緒に「シン・ウルトラマン」を観た時は「最高でした」だったのだが、今回の感想は正直驚いた。
しかしその後の感想戦(という名の飲み会)で聞いたところ、エヴァを含む過去の庵野作品っぽさをさほど感じなかったというものであった。

たしかに予告編では庵野監督が手掛けたようなカットが差し込まれていたが、今回は「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン」「シン・ウルトラマン」のような大々的な組織が活躍するという描写が見られなかったかもしれない。

さて自分はというと、観賞後1日弱経過しているのだが、漸く文章化する事ができる。それは大いなる「既視感」である。

僕は仮面ライダーが大好きな人間だ。

小さい頃親に買って貰った仮面ライダースーパー1の変身ベルトで遊んでいたし、リアルタイムで仮面ライダーBlackを見ていた小学生時代。高校の頃仮面ライダーZOとJのノベルズを購入した。そして大学生の時に仮面ライダークウガが始まると現在まで最新作まで劇場版まで見に行っている。

だからこそ、あの庵野秀明が仮面ライダーを撮るというのを聞いただけで高揚感があった。

しかしながら観賞後自分が友人に言った第一声が冒頭のそれであった。

それはエンドロールで長澤まさみや松坂桃李などの著名な役者が載っていてどこに出ていたか分からなかったというパンフを見れば分かるような薄いものではない。

これは本郷猛役の藤岡弘、が降板する前の初期の「仮面ライダー」1話〜13話を見ていたのと、石森章太郎原作萬画の「仮面ライダー」を読んでいたことによって、様々なシーンで踏襲されていた事によるものだった。そしてそれを繋ぎ合わせてCGなどの最新のテクノロジーと豪華キャストで紡いだ映画だったのだ。

言ってみればこの映画は入り口はテレビ版で出口が萬画版のような作品だった。

だからこそこの映画は所々庵野監督の絵なのだが、全体を見ると仮面ライダー(石ノ森章太郎)の掌で踊らされているようにしか見えなかったのかもしれない。

その一方で掌の上で抗う庵野秀明も垣間見れた。コウモリオーグ戦で原作同様バットヴィールスを撒く敵に対しての互いの科白が現在のコロナ禍での彼の考えに見えた。ただこれは作品全体に言える事だが説明台詞が多く長く、さらに(これはあくまで個人主観だが)早口だったため頭の中に全て入って来なかったのでこれは次回観に行ったときにあらためて聞き直したい。

ただこれはあくまで僕自信の初見の感想である。観終わった後見たSNSでは賛否両論。どちらかというと否が多い印象がある。ただそれは僕同様ライダーを数多く観ているもの意見もあるし、原作漫画を読まずテレビ版しか知らない者もいるだろうし、平成ライダーしか観ていない、さらには友人のようにほとんど観ていない者もいるかもしれない。言ってみれば観ているライダー作品の量で印象が変わる映画であるだろう。
だからこそこの映画は友人と一緒に観に行ったのだ。

友人の意見は新鮮かつ参考になるものだった。その中でも特筆すべきはこの映画は他の作品との比較対象で見るべきではないという発言があった。これは他の仮面ライダー作品という意味だけではなく、過去の庵野秀明作品も含まれている。

現在のSNS社会は自分の好きなものを己の物差しで比較し、優劣を判断する傾向にあるのは間違いない。
前述の通りこの映画は自身のライダー原体験の深さによって印象が変わる。
それを観ていない第3者に押し付けたり、己の考えが間違ってないことを証明したいが為に観た者に共感を求めたりするような事はしてはいけないと僕は思う。

友人と話している中で好きな怪人デザインと戦闘シーンの話になり、彼はハチオーグのデザイン及び戦闘シーンが好きだと言っていたのに対し、僕はKKオーグのデザインと偽ライダー戦が好きであるというのを話した。
お酒を飲みながらではあるが、それは互いに否定も貶しもせず尊重し検算を深める行為だった。
少なくともSNSが隆盛になる前はこういう事をやってたんだと思う。
しかし承認欲求が増幅した現在、周りから見ると僕ら2人のやり取りは古めかしく蔑む人もいるかもしれないが僕はそれで良いと思う。

こうして僕がnoteを書いているのは隠れキャラ的に出ていた豪華役者陣でも、人によっては小ネタと言うかもしれない仮面ライダーのオマージュを吐き出したいからでもない。ちょっとでも触れるとネタバレと揶揄されるSNSでそれを気にせず今の気持ちを書いてみたかったからである。

また僕の心の師匠が感想を述べる前に今の気持ちを記したかった。

ただこうして書いてもモヤモヤは収まっていない。前述したが設定台詞のスピードに付いていきたいし、パンフにどんな役か記載されていなかった仲村トオルさんと安田顕さんがどこにいるのかも確認しないと気が済まない。
故に解消するにはあらためて劇場に行って観ることをその後原作を見直す事だと思う。実際初見観賞後テレビ版を見直したのだが再度見直す必要があると思っている。原作コミックを読み直したい気持ちもあるが、如何せん実家に置いているから買い直すかも悩みどころだ。

ともあれ初見は通常スクリーンだったので、2回目以降は違う形で近いうちに観に行くだろう。

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