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僕らは罪人の運動を続けていく

2002年春。私達は行政に先駆けて「自立支援住宅」を開所させた。以下は、その時の記録である。

ホームレスのための自立支援住宅開設のニュースが流れて以来、数件であるがホームレスの方々が電話で、もしくは直接訪ねてこられて「施設に入りたい」という申し出が相次いでいる。
どの方も皆切羽詰っている。その気持ちは、察するに余りある。

しかし、自立のために確保されたアパートは、たったの5軒。
300名を超えるホームレスの方々からすれば焼け石に水の取り組みである。
支援住宅入居規定には、本人との面接・調査に一ヶ月を要し、運営委員会において入居を審査・決定することになっている。

現在既に二人のホームレスの方についての入居調査が始まっており、それぞれに三人のNPOのスタッフがついている。生活再建を望んでいる人々すべてを受け付けたいが、混乱は必至だしこちらの力量も追いつかない。

この間北九州ホームレス支援機構の会議では、「一体誰が入居できるのか。
一体誰がその人を選ぶのか」が議論されていた。それは、大変難しい問題だった。
ともかく前回の会議の結論は、「高齢ホームレスを先ず受付し、その中から優先順位を決める」ということだった。しかし、これとて何の客観的根拠があるわけではない。誰が一番困っているのか。誰を支援するのが一番効果的なのか。わからないのだ。

二五日の炊き出しの折、自立支援住宅開設の報告と実施については高齢者を優先することを炊き出しに集まった方々に伝えた。
「皆が入りたい気持ちでいるのは承知している。しかし、なにぶん五部屋しかない。ここは、年寄り優先で・・・理解してほしい」。反応は穏やかなものだった。報告の最後にホームレスの中から拍手が起こった。すこし赦された思いがした。

現在北九州のホームレスの約三五%が高齢である。その数約120名。
今から僕らは、この120名の内で順位を作り、選別をしなければならない。
それは、「恣意的で、差別的」と言われても仕方がない作業となる。この差別性については、自立支援住宅開設当初から問題とされてきた。
しかし、議論の末NPOの面々は、「差別者として立つ覚悟」を決めた。
決断の不完全さと不条理さの責任を負いつつ、出来ることをしていこうと思っている。これは、まぎれもなく罪人の運動なのだ。
だから僕らは、このように祈らざるを得ないのだ。
「神よ、どうかこの罪人たちをお赦しください。十字架を負う者たちと共にいて下さい。そして、入居できない人々をお守りください」。

祈りながら、僕らは罪人の運動を続けていく。 


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