20240621/雑記/デヴィッド・ボウイとか

最近はデヴィッド・ボウイのStation to Stationをよく聞いている。昔は1曲目のセルフタイトルがミニマルな雰囲気のある曲だなと思っていて、それはベルリン三部作直前ということでクラウトロックとのリンクなのかなと思っていたけど、アルバムのカラー的にはかなり前作Young Americansの流れを汲んだソウル色の強い作品だと最近になってようやくわかった感じがあり、ここ1~2年ファンクばかり聞いてたのが効いてきた感じがする。煌びやかすぎずメロウ過ぎずなブルーアイドソウルって感じでかなりハマってます。

その流れで前作Young Americansも今更聞いた。これは本当に初めて聞いた作品で、力強いのに風通しが良いボウイ版AORみたいなノリで聞けるのでかなり好きだし、実際に以前の自分だったらハマらなかったと思うのでレビューとか読んで飛ばしてたのも納得した。デヴィッド・ボウイはもう10年以上前に全アルバムまとめたディスコグラフィ記事とかを見たり、あとはローリングストーン誌の洋楽名盤選みたいなやつでハマりそうなやつ(もしくはジャケットにピンときたやつ)をTSUTAYAに行って掘っていた。アルバムも多いし地方のTSUTAYAでそもそも全アルバム置いてなかったので割と抜けがある。今になって参考になるかもと当時のサイト探したけど全く出てこないので消えた可能性が高く、ちょっと悲しい気持ちになった。元々はニルヴァーナの世界を売った男のカバーから辿ってちょうどそのアルバム前後の70s前半、有名なグラムロックって呼ばれてる頃とかちょっとハードロック色がある時期を聞くことが多かったと思う。

ボウイがソウル/ファンク路線からStation to Station経由してベルリン三部作でクラフトワークを参照したこと、そしてクラウトロックの大御所であるCANはJBや電化マイルスに影響されファンクに近づこうとしていたことから、自分が好きなOGRE YOU ASSHOLEを思い出してしまう。オウガはスタートこそUSインディーだったけど、後にAORを経由してクラウトロックとファンクをミニマルに収束させていった経歴があって、ファンクとクラウトロックを反復の美学という一点で紐づけて行ったという視点は昔からずっとあったのかもしれない。実際彼らは初期からCANへの敬愛を語り、Neu!やクラフトワークを引用ながらカーティス・メイフィールドの名前も上げているし、AOR期は実際スティーリー・ダンを参照している。ジャーマンロックの人脈が後のポストパンクと交錯することってニック・ケイヴは勿論CANのメンバーとP.i.L.の交流もあったりするし、ポストパンク自身もパンクからソウル/ファンクへの接合、そしてスカスカなアンサンブルという点でも一致する部分がある。かつて好きだった音楽、聴いてきた音楽が、辿ってきたものが積み重なってあとから見えていなかった糸、接合部が見えてくる現象ってのはいつだって楽しい。半分以上妄想でこじつけで自分の思い込みかもしれないけど、その思い込みから作られる自分の耳は音楽を更に豊かにしてくれるし、そういうのをメモするためにこういう記録をしている。

その流れで年代順で辿ってベルリン三部作を聞く。昔からLowが好きだ。続く2作を久しぶりに聴いて、今だったらStation to Station~Young Americansの方が好きかもなぁと思った。そしてブライアン・イーノ繋がりで90sを思い出し、Outsideを久しぶりに聴く。これがまためちゃくちゃかっこいいし、いつ聞いても発見がある作品だなと強く実感。

今回とくに思い出したのはプリンス。プリンスにハマってから聞くOutsideは初めてだけど、割と1999やパープルレインの頃と重ねて聞ける要素が強くあるように思える。グラムロック期でロックオペラ的な壮大な組曲としてのアルバムを作っただけあって、コンセプチュアルっていうより一つの映画作品のサントラみたいな雰囲気があるのもリンクする。プリンスとインダストリアルと、あと当時のマンチェスターのようなロックにおけるダンスビートの流れも汲んでるように思える。以前Outsideについてブログで書いたことがあるけど、そのときはトレント・レズナーとの共作について触れて、Tin MachineやPixiesのカバーの件もあり90sオルタナとの近さをピックアップした聞き方をしていた。また当時97年にロバート・スミスやビリー・コーガンと共演していることから、当時のThe CureやThe Smashing Pumpkinsとの距離の近さ、とくにOutsideをAdoreっぽいなと自分はちょっと思っていたし、ゴシックな世界観、セブンで有名なThe Hearts Filthy Lessonのトレント・レズナーMIX版が凄まじくかっこいいことなど、大げさに言うとオルタナとしてのデヴィッド・ボウイみたいなアルバムとして聞いていたんだと思う。でもトレント・レズナーはそれこそナインでプリンスをかなりリスペクトしていたらしいし、そういう視点も新しく得て、そして一年間プリンスを聞いた上で近いものを感じたのはあながち間違いではない気がする。ちなみに今回とくに好きな曲は「I Have Not Been to Oxford Town」「The Voyeur of Utter Destruction (as Beauty)」です。ずっと聞いてます。

あとさっき触れたThe Hearts Filthy Lessonのトレント・レズナー版がマジでNine Inch Nailsみたいで超かっこいいので聞いたことない人は是非聞いてみてください。

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