喧嘩商売


喧嘩商売 - 木多康昭/ヤングマガジン/全24巻(2005-2010)

全巻読んだので感想というか思いついたことの殴り書きです。喧嘩家業はまだですが近いうちに読みます。面白すぎ。流石に大作。この漫画が一番好きって言ってる人結構見たことあるし、それもわかりすぎる。知人が貸してくれたんですが、序盤のしょうもないエロギャグ漫画路線合わないかもしれないんで読み飛ばしてください、て注釈を入れられるくらい序盤はしょうもないエロギャグ漫画路線なんだけど、ぶっちゃけその入り口のおかげでハマった。好きな漫画家を聞かれて五十嵐大介とか松本次郎とか言ってきてしまってるので仕方ないかもしれないが、それは絵とか、シナリオとか、ルーツとか、作品に内包された総合的な芸術作品として・・・みたいなこうややこしい要素があって、わかりやすくパッと出てくる好きな漫画家がその辺ってだけで、ぶっちゃけ"漫画を読む"という一点において難しい言葉何一つ使わず、純粋に体にしっくりくるのって今でもマジでしょうもないギャグ漫画だ。喧嘩商売はヤンマガで、今は休止してるけど、実際に自分はここ2年くらいヤンマガを愛読していてとくにこの1年は最も楽しんで読んでる雑誌と言っても過言ではないのでものすごく波長が合う。今はみょーちゃん先生を一番の楽しみとしている。喧嘩商売、今読むとちょっと怒られそうなえげつない平成初期のノリもあるんで渋い顔になる場面もあるけど、島袋ネタが面白すぎてギリギリどころか余裕でライン超えてるえげつないパロディのセンスに笑う。島田(しまぶーが元ネタの高校教師)の道場に「女子高生を買ってはいけない」「8万円で買ってはいけない」みたいな教えが貼ってあるの爆笑した。自分はトリコ世代でしまぶーのあれこれは後から知ったけど、当時のファンとか世間の目線考えたらえらくきついんだろうなって中~高生の頃なんとなく思って重い気持ちで読んでいた。読んでいたけど、でもこうやって同期の仲間が前線でネタにしていじり続けてくれたこと、怒られるだろとかそういうのではなくて、むしろ本人としてこれは救いだったんじゃないかなぁって思ってほっこりする。実際関係は良好で一緒にトークイベント出たりしてたらしい。あと急にライアーゲームが始まるくだり流石にもう古いけど当時リアタイだった自分的には超面白い。おっさんのハマり方だ。18巻前後の漫画史に名を遺すレベルの名勝負のVS金田は本当に全部面白いし、前哨戦とも言える千葉県栄町の飲食店を舞台に繰り広げられる頭脳戦も、積み上げてきたものが大きいからこそ十兵衛のかましが最高でカタルシスがある。異世界転生もので主人公が無双するときに発生するお手軽カタルシスをすごい丁寧に組み上げていった感じがする。イキリをボコすみたいなのでここまでかっこいいシーンを知らない。ちなみに一番好きな戦いは「白い三連星VSモエ」です。女子高生とVipperの熱い頭脳戦。あと芝原剛盛のナンバー3感が最高。戦いにきた島田を裏をかいて出し抜いたシーンも喧嘩商売屈指に好きな場面。戦ってないけどベストバトルの一つ。後半、修行編も実戦編もマジで面白くて師匠も敵も全部魅力的でとんでもない加速度でページが進んでいくけど、だからこそ無理矢理挿入される序盤のエロギャグ路線が確かにもったいないと思うことがある。金田戦、長いだけあって時事ネタバラエティ番組が入ってくるのもういいよ!て気持ちに少しなった。でも別で見たら間違いなく面白い。なんだかんだ序盤のエロギャグ路線と喧嘩がシームレスに、本当に切り替わるギャップが~みたいな切り口で話すのが野暮になるくらい、切り替わりなんて存在してないかの如く自然とエロギャグ路線すら戦略に組み込まれている不自然さが、崩壊しているようでそれが喧嘩商売そのものとも言えるような歪な形をしている。それでいてバトルもギャグも高水準なんで本当に大好きでした。高野戦までの流れとか超序盤だけどすごすぎて声出たし、あれがその後の喧嘩商売の常套句となる流れを担っていったと思う。あと完全に忘れられてしまうけどアホで純粋な正ヒロイン山田綾子が好きすぎるので出番をもっと増やしてほしい。あと当たり前すぎて最後に触れるけど「最強の格闘技とは何か」って各単行本の冒頭に挿入される短編、それぞれ毎回違う格闘家をフィーチャーして掘り下げていくんだけど全然その格闘家が本編に出てこなかったりする。なに?ていう感じでアニメでいうOPみたいな感じなんだけど、少しずつ作品内にその人物がチラホラ絡んだり、最終章のトーナメント出場者が序盤の頃そのOPで出てきた単発の謎格闘家が集結してくるっていうの素直にマジで熱いクロスオーバーで天才だと思う。五十嵐大介の海獣の子供と近い演出だなと思う(海にまつわるスピリチュアルな話が作中と関係ありそうで関係ない微妙なラインのやつがそこら中に点在してくやつ)。本当に面白い漫画だなと思いました。

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