ハリーポッター

新宿駅を歩いていた日のこと。

小さな子が「ハリーポッターだ!」
と元気に話す声が聞こえた。

周りを見るとハリーポッターのコスプレをした人も、
ユニバ帰りの人も、呪いの子の舞台のポスターもない。
もちろんハリーポッターもいない。
え、いたかも?

きっと私のTシャツのことだ。
その日私はヴィレヴァンで買ったハリーポッターと賢者の石のポスターがプリントされたTシャツを着ていた。
控えめではなくまさにハリーポッターのTシャツと呼ぶべき服。

嬉しかった。
なんでだろう。

Tシャツが褒められたと思ったから。
あんな小さな子がハリーポッター知っているなんて
感動したから。
なんかちがう。

1週間ほど経ってようやくわかった。
人に認識してもらえたのが嬉しかったからだ。

大前提だけど私は幽霊ではまだない。

この広く狭い東京という地で暮らし、
自分は果たして生きてるのかと思う。
仕事に向かい帰る途中にある新宿駅を歩く私は
本当に新宿駅を歩いているのかとわからなくなる。

読み返すと訳が分からなくなりそうな文章だけど
まさにそんな気持ち。

そんな時小さな子が「ハリーポッターだ!」
と言っただけで私は嬉しくなった。
そこに存在しているんだと感じることができた。

因みに私は天界の王から褒美を貰い
地上で生活することを許された先祖ではないし、
ハリーポッターのTシャツ着て仕事に行っている。

嬉しさの謎を考え、答えが出たら
なぜか自信まで出てきた。
これは魔法か?と思いたいところだけど
たぶんきっと違いそうだな。

ありがとうハリーポッター
ありがとう新宿
ありがとうヴィレヴァン
ありがとう小さな子

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