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ミイデラゴミムシの繁殖に関する考察となったボヤキ


ゴミムシ繁殖に関するボヤキを書いていたら、ミイデラゴミムシに関する話題だけで日記ノルマの1000文字に到達してしまった。
各論文を参考にしていない拙い妄想ではあるが、他人にも読んでもらうメモ代わりとしてここに記録する。




ミイデラゴミムシの幼虫は、成虫が湿地内に産み付けた卵から孵化した後に運良くケラの卵室に辿り着けた個体が卵を捕食して成長する生態を持ち、1齢幼虫は絶食試験において23日程度の生存が確認されている。(フォロワーは水分のみの条件下で10日程度の生存を確認)
非常に厳しい生存条件に思えるが、湿地内におけるケラとミイデラゴミムシの生息密度や、トンネル式の巣穴の中に作られる卵室の事を考慮すると、餌場に辿り着く事自体の難易度は思いの外低いのかもしれない。
一度トンネル内に入りそれを伝って進めば、いずれは卵室に辿り着く可能性は少なくないだろう。
ただし、それが雄の巣穴であれば別の巣穴に辿り着く必要がある上に、同所で孵化した幼虫が競合相手となる可能性は高いと思われるが。



ケラは自身を専食する天敵(キイロサシガメ、ケラトリバチ等)が多い弱者であり、その反面、地中における強力な捕食者としての側面も併せ持つ。
同所生息するゴミムシは地中における脱皮や蛹という無防備な期間にケラに襲われて捕食されるケースも多いものと思われる。
馬場金太郎氏が昭和14年3月に発表した「マヒマヒカブリ亞属の研究(I)生態について」では、野外で採取した土を用いてマイマイカブリ幼虫の飼育を行った際、土に混入したケラ幼虫が脱皮中のマイマイカブリ1齢幼虫を捕食した観察例が報告されており、野外においてもケラによる被害は大きいものと考察していた。

ミイデラゴミムシはケラの卵塊と卵室を利用しつつも、同時にケラの侵入という捕食リスクに晒され続けているように考えられるが、それと同時にケラに守られている可能性も考えられる。
そもそもケラの卵室自体が他のケラから見ると都合の良い餌の溜まり場になってしまっているように思えるが、卵室が比較的頑丈な土繭のように作られている事はその対策なのだろうか。
ケラの生息地は度々増水するため、卵室の水没対策も兼ねている可能性と卵室の素材には水分を通し難い分泌液を含んでいる可能性もある。
また、産卵した雌のケラは他個体から卵室を守るような生態があるのかもしれない。自分がかつて繁殖を行った雌のケラ(3例)は全て、自身の作った卵室を自ら破壊する事を行わなかった。

産卵した卵や幼虫が他生物に寄生されているにも関わらず、本能によって外敵からの防衛を行う生物の例は数えきれないほどに存在するので、ケラを利用したミイデラゴミムシの繁殖においてもそれが当て嵌まる可能性がある。
本来無防備となってしまう蛹の期間も、ケラによって常に外敵から守られているのかもしれない。

ケラは元々、縄張り意識の強い昆虫であるため、巣穴に侵入した同種との闘争が頻繁に確認される。
それらを利用して餌の生産と外敵からの防衛を宿主に任せる事、さらには増水時も水没し難い卵室を蛹室として利用する生態に進化した昆虫がミイデラゴミムシである可能性がここに浮上した…気がするが、既にそうした研究が存在するかもしれない。
ミイデラゴミムシ1齢幼虫は飼育ケース内にケラ卵をばら撒く給餌では捕食を開始せず、卵室への侵入を経て初めて捕食を行うという観察例もこの仮説を裏付けていると考えられる。

既知であれば、是非ご指摘いただきたい。




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