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こどもでいたい。ずっとトイザらスキッズ。大好きなおもちゃに囲まれて。





誰もが聴いたことがあるザ・クリスマスソング、マライア・キャリーの「All I Want for Christmas Is You」(邦題:恋人たちのクリスマス)を買った。
この世で1番好きなクリスマスソングだからだ。
自分は12月に入ると、メジャーなクリスマスソングを毎晩のように寝室で聴き漁り、眠りにつく。



購入して初めて、この曲は自分と同じ1994年に生まれたのだと知る。
この曲への愛が確固たるものとなった。
願わくば、この生涯はこの曲を愛したままに終えたい。




イエス様への信心が深いわけでもない。
以前も記事に書いたことがあるが、スーツのポケットに手を入れると、ロザリオと数珠が雑多に絡まっている。(以下リンク参照)



自分はたとえ恋人が居なかった時期でも、クリスマスシーズンに惨めさを感じたことは一切無かった。
寒空の下のベンチにて、1人孤独に迎える聖夜ですら、自分の意思でそこに居る事を、凍えている事を心の底から楽しんでいた。
自分の中の"人と違う部分"を誇りに思い、"人と同じ部分"で安心しているような生き方だった。(とはいえ論文査読のような自己批判の姿勢は常に維持していた)


クリスマスソングや空気感を楽しむ気持ちで望まなければ損とさえ思っていたのかもしれない。
今でもそう思えていることに対する理由は少しだけ後述するが、「クリスマスシーズンの空気が街を包むその感覚、そこに浸る感覚が好き。」
そうしたいかにも日本人らしいクリスマスの愛し方、上澄み部分を好んだ愛し方をしている。




基本的に商業施設では、12月に入ればクリスマスソングが常に流れ続ける。
そこで働いていればクリスマスソングへのアレルギーが起こるのは必然だと思う。
大抵のクリスマスソング嫌いは、幸福と資本主義の押し付けであるその曲たちに辟易すること。幸福論や世論、自身の現状を比較すること。自身の中で季節の曲が労働や失恋を想起させる"パブロフの犬"になってしまうことで起きる。



セブンイレブンの店員は「デイ・ドリーム・ビリーバー」の生涯摂取量を超えてアレルギーを起こす。
ファミリーマートの店員は「合宿免許WAO!!」「帝京平成大学」の生涯摂取量を超えてアレルギーを起こす。
自分はそれらが嫌で職業を選んだ節もある気がする。
代わりに菊や花束の香りが苦手になってしまったが。







トモロウという人間の精神は
今もトイザらスの中に
閉じ込められている。


それも今は亡きトイザらス荒川沖店。日本におけるトイザらス1号店だ。
その中に閉じ込められている。
幾万とあの日を思い返している。
いや、外に出ようとしていないのかもしれない。
幸せの象徴であるかのように店内を思い返し続けた。数えきれぬほどに夢を見た。

この店は1991年12月20日に開店。
2008年8月31日に閉店している。




上記リンクは自分の思い出の店内とは年が異なるが、あの日、店ではトイザらスのcmソングや様々なクリスマスソングが流れていた。
冒頭で述べた「All I Want for Christmas Is You」はその代表だ。
典型的なコロコロキッズだった自分は店中を歩き、たくさんのおもちゃを眺めて心を躍らせた。
ゾイドを、ポケモンを、ベイブレードを、ロックマンエグゼを、眺めていた。
妹も生まれた頃だったから、子供ながらに兄として何か役立とうとして、ベビー用品も数多く眺めていたように思う。
売られているポケモンはルビーサファイアだったか。ちょうど20年前だ。
あの日のおもちゃの棚は天井にまで届きそうなほど、やけに高く大きく見えた。






・長らく付き合う恋人は職業上、クリスマスでの番組出演が多い。
そのため、クリスマスパーティは大抵前倒しして行う。
そしてイブかクリスマス当日の自分は大抵ブックオフに行く。

「クリスマスにブックオフ」一見、惨めの象徴かに思われるそれが、自分は堪らなく好きだった。
自分の中では揺るぎない多幸感で満ち溢れていた。


そして、その場所は多くの人が想像するブックオフとは異なり、特殊な大型店舗で家族連れが非常に多い。スーパーバザーと呼ばれる形態の店舗だ。
(以下リンクではまさにトモロウが通い詰めているその店舗の店内が事細かに紹介されている)


近年はこのような大型店舗なら新品トレカや新品ゲームも多く売っているので普通のおもちゃ屋と遜色ない扱われ方をしている。


「ブックオフなのに本ねぇじゃん」
かつてCMで寺田心氏が言っていたほどではないが、本以外の物の方が多い店舗だ。

この店はクリスマス当日でも老若男女で賑わう。
その明るさを求めて誘蛾の如く訪れる。








そして、これを書いていて初めて気付かされた事実に、たった今打ち震えた。
そのブックオフは、トイザらス日本1号店撤退後の居抜き店舗だった、ということに。


その事に気づいた日の帰宅時、たまらずブックオフに向かった。

厳密にはトイザらスの居抜き店舗である事自体は認識しながら訪れていたが、クリスマスシーズンのあの日のトイザらスをなぞるために訪れていたというのは全く意識の外だった。

自分はただブックオフに来ているつもりでいた。
その事にずっと気づけていなかった。



咄嗟に来てしまったものの、買う物は何も無い。クリスマスシーズンの空気を摂取できているとはいえ、当てもなく彷徨う。

しばらく店内を歩いている内に、子供の頃に見たアニメなどを懐古しようと思い、アニメや映画のコーナーに向かった。
懐かしいアニメばかりでノスタルジーに痺れてしまう。


その中でふと、目に止まったアニメ映画から目が離せなくなった。
頭の中で何らかの共通点を見出している。少し考えてようやく気づく。

あぁ、まさにこれだ。これが自分だ。



そう思いながら手に取ったのは
「火垂るの墓」だった。


自分は、清太と同じように
"あの日"をループし続けている。










子どもでいたい

ずっとトイザらスキッズ

大好きなおもちゃに囲まれて



ブックオフから出ようとした時に"その曲"、トイザらスのcmソングが頭から離れなくなった。
ただ、その先の歌詞をいまいち思い出せなかった。
店で流れているのは当然、ブックオフのテーマなので、待てど暮らせど答え合わせはできない。


今はすぐにスマホで検索できる。
ずいぶん便利になったと回顧する。
人類は何億回この回想をしただろうか。


検索結果が表示され、ようやく思い出せたその歌詞はストレートすぎて自分の心に深く突き刺さった。
抜いてしまえば血が止まらなくなるほどに。



大人になんか なりたくない

ぼくらはトイザらスキッズ


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