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道端は誰かの終わりで満ちている/全自動採点型女子高生無敵式



道端に落ちている軍手。
ドカタ同士の闘いの痕跡。


道端に落ちているヘアピン。
女子高生同士の闘いの痕跡。


きっとそこにはかつてドカタだったもの、かつて女子高生だったものが冷たくなって転がっていたのだろう。
片付けられて見えないだけで。


道端は誰かの終わりで満ちている。












全自動採点型女子高生無敵式



何割かの女子高生は、若さ故の無知と若さ故の全能感が奇跡的な高度で交差している。(その黄金比は男子高生のそれを凌駕し、一部の男性は主に大学生がそれに該当する。)
故に、「ウチら無敵」感が生まれる。
故に、彼女らの中には「人を採点する者」も生まれる。


かつてショッピングモールにて、女子高生達に「採点」された。


すれ違い様に会話は聞こえた。



「今のスーツの人は?」
「85点」
「90点」
「わかる」


少し遅れた昼休憩。
人も疎らで、スーツで歩く人間は自分しかいなかった。
採点された?
ここで、今?
恐ろしかった。
そんなヒソカみたいな。
い、いや、でも、結構高い、な?…点数が。
今日はコンタクトだからかな。
っていうか、怖すぎないか?
「評価」してきたのか?彼女らは。
一瞬遅れて、寒気がした。
今日メガネで歩いていたら?
ゆるい服で歩いていたら?
あと数年歳をとっていたら?
少しでも猫背になっていたら?
身長が少しでも低かったら?
そうだ、マスク。マスクだ。
マスクをしていたから今助かったんだ。
そうでなければ、きっと…。


様々な感想が矢継ぎ早に、しかし一つ一つハッキリと湧いてきた。

振り返る事はできなかった。


殺されていた。少し何かが違えば。


通り魔から与えられたのは、試験ならば満足できるくらいの点数だった。
だからこの程度の恐怖で済んでいるが、少しのボタンの掛け違いで自分はもっと低く評価され、残酷に殺されていた。
きっと立っていることができなかった。
女子高生の、いや、女性の笑い声を聞くだけで震える一生になっていた。

同じように人を採点をして傷付ける男子学生もいるだろう。
そして彼ら、彼女らには自分の行いを悔いる日が、いつかやってくるだろう。

しかし、一方的に評価された者には、昨日までのような恐怖を知らぬ日々は二度とやってこない。
自分よりも明確に傷付けられた者は、俗に言う「無敵の人」となっていつか誰かに牙を剥くだろう。

学生時代は、そこに至るのが怖くて、一定の余裕を常に保って上手く生きていたように思う。
今はどうだろうか、なんとか余裕を持って上手く生きている気がするが、薄氷の上を歩いている気もする。


せめて自分だけは通り魔行為を行わないで、いつか静かに朽ち果てよう。そう心に決めた。





逃げ込むようにベンチに座った。


震える指で、調べ物をした。


検索結果はすぐに出た。











「あっ」
























「カンザイやギンタと、同じ点数なんだ」


















お死枚♠︎

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