趣味人として死んでいる


一時的ではあるが、自分はすでに生物を趣味とする者として死んでいる。

ちょうどこの時期は、一年の中で一番死んでいる。仮死状態に近い。

越冬個体が目覚めている訳でもなく、加温している個体はそもそも世話をほとんど必要としない種類ばかり。

花粉の飛び交う外界にわざわざ出向こうとも思えないので、仕事や予定が無ければ数日間引き篭もりっぱなしな事も多い。
というかそれを一つのシーズン的娯楽として楽しんでいる節がある。
春眠はどれだけ貪っても足りず、満たされない。

そして花粉が収まり始めた辺りで少しずつ、越冬を終えた虫のように這い出て活動をする。




今日は自宅にトコジラミが持ち込まれる夢を見た。
今では都市圏のあちこちで見られるらしい。

片目を失ったり血を吐く夢は頻繁に見るが、トコジラミの夢はそれよりも遥かに恐ろしいものだった。

就寝中、いつ何時トコジラミに刺されて起こされるのか分からない。
本来は安住の地であるはずの寝床が最も安心できない場所になる。
それがどれだけ人を蝕むのかを、夢想世界で体験した。
多分、現実はもっと恐ろしいはずだ。

自宅にトコジラミが発生すれば駆除業者による強力な殺虫剤の使用は避けられない。
趣味人としてのトモロウを殺すのは、確実にトコジラミなのだと思う。

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