百人一首恋の巻 冬

手袋を外してカイロ持つ君に 北風吹いて身体を寄せる

寒い中、一人で歩くのは、寂しいものでございます。
そんな時、隣に誰かがいるだけで、見えない温もりというものが感じられるのです。
手袋を外し、ポケットに入れていたカイロをそっと握りしめる。
本来ならそれだけでも暖かいものですが、
そうしている方をそっと見つめるだけでも効果があります。
そこの空間には、言葉というものはいらないのかもしれません。
そういう時に限って、嫉妬する北風が意地悪く吹いてきます。
ただ二人には、どこ吹く風。
寄り添えば良いのです。
乾きがちな唇は、口下手でも許してくれそうです。
いっそうのこと、そのまま黙っているのも面白いかと思います。
ただ寄り添い、静かな時間が流れ、言葉のいらない場所には、
風の音だけが不規則に通り過ぎていきます。
そうだ、温かいココアでも飲もうかと、
横目でカフェを探してみるのもいいかもしれません。
お気に入りのお店を見つけてみましょう。
きっと、そこも暖かいです。