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【アーセナル】23ー24シーズン前半戦振り返り(珍しくまじめな記事です)

 まじめに記事を書きます。今回は、本当にまじめに記事を書きます。いつもふざけてばかりの記事ですが、今回は英国SkySportsのプレミアリーグ番記者になったつもりで、まじめに、そしてどこよりも細かく記事を書きます。今回のテーマはアーセナルの前半戦振り返りです。クリスマス時点で辛くも首位に立っていたアーセナル、クリスマスを首位で過ごしたチームがそのまま優勝するなんていう通説もあるが、去年それが覆されてしまったので、あまり期待しない方が幸せかもですね。実際に年末に連敗し4位まで転落してしまいました。。とほほ。。
とりあえず、Here we go!!

1.現在のベスト布陣は?

 まずは現時点でのベスト布陣は、以下ではないだろうか。うーん、アルテタの采配に一部納得いかない部分もあるが、事実ベースでのベストメンバーはこちらでしょう。↓

CF:ガブリエル・ジェズス (エディ・エンケティア)
右WG:
ブカヨ・サカ
左WG:
ガブリエル・マルティネッリ (レアンドロ・トロサール)

右IH:
マルティン・ウーデゴール
左IH:
カイ・ハフェルツ
DM:
デクラン・ライス (トーマス・パーティー、ジョルジーニョ)

左SB:冨安健洋 (オレクサンドル・ジンチェンコ、ユリアン・ティンバー)
CB:
ガブリエル・マガリャンイス
CB:
ウィリアム・サリバ
右SB:
ベン・ホワイト (冨安健洋)

GK:ダビド・ラヤ (アーロン・ラムズデール)

7年ぶりにCLアンセムが流れたエミレーツの雰囲気は最高潮に達した

(前線について)
 まずは前線について、良い時と悪い時の落差こそ大きいものの、異次元のキープ力で前線の起点となるジェズスが前線の核となっている。ジェズスが不在時は、10月のシェフィールドユナイテッド戦では初のハットトリックを決め随所に良い働きを魅せるエンケティアがCFに入る形だ。トロサールやハフェルツもCFでプレー可能ではあるが、今季はジェズスとエンケティアのプレータイムが多い印象だ。

林陵平「そうなんです!!」

 両ワイドはサカとマルティネッリが不動の地位を築き、今やプレミアリーグでも並のDFではなかなか止められない破壊力を見せている。彼らを警戒した相手チームはサカやマルティネッリに対し、基本的に2対1(DF2枚)の数的有利を作って対策を講じるが、ホワイトやジンチェンコらが機転を利かせてオーバーラップをすることでDFを1枚釣り出し、サカとマルティネッリが1対1で仕掛けられる状況を作ることが多い。もはや1対1の状況なら有利な状況と言えるほど彼らの突破力は凄まじいものだ。マルティネッリについては、縦への突破は良いもののカットインからシュートに持って行くシーンがそれほど多くないため、今後カットインを更に磨き選択肢を増やすことで縦にも中にも行ける怖い選手となることができるでしょう、アントニー(130億円)と違って。あ、一言余計でしたね、すいませんでした。

(中盤について)
 シーズン序盤はハフェルツの最適解がなかなか見つからず、それによりライスが左IH、パーティーまたはジョルジーニョが中盤の底という布陣が多かった印象だが、ハフェルツが10月後半辺りから徐々にフィットしてきたこともあり、左IHに入るようになった。逆にライスが左IHでプレーしていた際に、最終ラインまでボールを受けにズルズル落ちてきてしまう癖があり、それにより後ろがかなり重くなることで全体のビルドアップが上手くいっていなかったこともあり、ライスが中盤の底へポジションを移した。  

ゴール量産体制に入っているカイ・ワカワカ・ハバーツ

 中盤から前線に掛け、今までのアーセナルには無かった高さという新たな武器もたらしたハフェルツ、とんでもないボール奪取能力と運動量、そして勝負強さを発揮するライス、相も変わらずスペシャルな前プレ(林陵平さんの言葉を借りると「背中で相手を消しながら前プレを掛ける」)からチーム全体の守備のスイッチを入れ、そして最近はそのクリエイティビティに更なる磨きを掛けている主将ウーデゴール、という最強の中盤トリオが誕生した。

(バックラインについて)
 DFラインについては、良くも悪くも、鉄壁で替えの利かない歴代最強のディフェンスラインが構築されている。ここ最近は少し調子を落としているが、サカとの相性も良くオーバーラップのタイミングも徐々に掴めてきているホワイト、スピードに足元の技術の高さを兼ね備えハーランドをいとも簡単に吹っ飛ばすサリバ、何年にも渡り故障らしい故障もしない鉄人ガブリエル、DFラインならどこでも対応可能で、対人に高さにビルドアップ、最近は攻撃センスも高まってきた冨安、この4人が現時点のベストメンバーであり、恐らくアーセナル史上最も固いディフェンスラインといえるだろう。開幕当初はパーティーが右SBに入ることもあったが、正直あまりハマっていなかった印象だ。

今や欧州一の鉄壁コンビを誇るサリバとガブリエル

 しかしこの強靭なDF陣は諸刃の剣でもあり、一人でも欠けたらチームの調子が一気に総崩れをしてしまう。特にガブリエルとサリバの替えは利かず、昨シーズン同様どちらかが欠けたら一気に負けこむという問題は未だに解決されていない。夏の補強でティンバーを補強したが、開幕戦で膝の靭帯を損傷しシーズンの半分以上を欠場中だ。そして相変わらず冨安は怪我が多く、1月はアジアカップでチームを離脱することが確定している。まあそれはそれで事実であり今更どうすることもできないが、アルテタが普段からローテーションを増やし誰が欠けても影響を最小限に留めるようにする努力はできただろう。少なくともキヴィオルの適正ポジションは左SBではなく、CBだ。そして能力に対して明らかに与えられるべき出場機会が少なく、プレミアリーグでやるだけの脳力は充分に備えているように思う。ティンバーは開幕戦の前半で膝に違和感を抱えており、明らかにあそこは無理をさせる場面ではなかった。結果的に後半負傷してしまい、、まあたらればを今更言っても仕方ないが、アルテタにはもう少しローテーションを大胆に行って欲しい。

守備練習をしろ!ジンチェンコ

2.前半戦で印象に残った試合(良くも悪くも)

・第4節 VS マンチェスターU 3-1(○) エミレーツスタジアム
 デクラン・ライス、移籍金180億が高い?いやいやむしろ安いくらいだ。この1試合で180億の移籍金を回収したと言っても過言ではない。開幕からどの試合もパフォーマンスを落とさない鉄人ぶりだけでもありがたい話だが、なんとこの男、勝負強さまで兼ね備えているときた。1-1で迎えた後半、VARで取り消しはされたものの(ちなみにこのシーンのガブリエルのラインコントロールは天才的だった)ガルナチョにネットを揺らされユナイテッドペースになっていた後半ロスタイム、CKでファーで待っていたライスがネットを揺らし、勝利を決定付けた。


・第5節 VS エヴァートン 1-0(○) グディソンパーク
 グディソン・パーク、少なくとも私はここ数年勝った記憶が全くない、アーセナルにとっては鬼門中の鬼門のスタジアムだ。しかも相手はショーン・ダイシ監督で、相性は最悪ではあるが、ついに、ついに鬼門を攻略した。下位に低迷するエヴァートンではあったが、この勝利はアーセナルにとっては今後のシーズンにおいて弾みとなる一勝となったことだろる。


・CLグループステージ第1節 VS PSV 4-0(○)エミレーツスタジアム
 遂に、遂にアーセナルがチャンピオンズリーグに帰ってきた。この時はどれくらい待っていただろうか。7年ぶりにCLアンセムが流れた瞬間、エミレーツスタジアムには「オオオォォォ!!!」の歓声が流れた。7年ぶりの想いを晴らすかのように、試合は4-0の大勝でアーセナルがスタートを切った。


第8節 VS マンチェスターC 1-0(〇) エミレーツスタジアム
 こちらもまたまた何年待ったことか、ペップグアルディオラ就任以降リーグ戦で全く勝てていなかったマンチェスターシティを、8年ぶりに遂に撃破した。鬼門グディソンパーク攻略、CL復帰と念願がかなったグーナーではあるが、この勝利は特にここ数年のグーナーの苦労が報われた瞬間だった。試合については以下記事で過去取り上げているため、ぜひご覧頂きたい。


・第9節 VS チェルシー 2-2(△) スタンフォードブリッジ
 格下チェルシーに2点をリードされ、シティ撃破も無駄になるほどの痛い痛い取りこぼしとなるところであったが、またしてもこの男がチームを救った。70億の相手キーパーのクリアミスを見逃さず、デクランライスがダイレクトでゴールへ蹴りこんだ。トラップでもパスでもなく、まさにあのタイミング、あの瞬間のシュートだった。このゴールを皮切りにアーセナルが同点に追いつき、なんとか勝ち点1を持ち帰った。


・第11節 VS ニューカッスル 0-1(●) セントジェームズパーク
 
敵はマンチェスターシティでも、リヴァプールでも、強敵ニューカッスルでもない。俺たちの敵は「FA」、この試合でそうはっきり確信した。「ファールかもしれないがそれを証明できる映像を用意できないからノーファールとする」こんな馬鹿らしい話がまかり通っていいのだろうか。今季から審判に対する抗議への罰則が厳しくなった。自分たちの権利を主張するなら、まずはレフェリングの質を上げろ、それに尽きる。レフェリングの質が低いから抗議をする、それだけだ。何度でも言う、自分たちの権利を主張するなら、まずは自分たちの仕事力を上げろ、以上だ。


3.シーズン前半のMVP

デクラン・ライス

Rice ! Rice ! Baby !!

 ここまで全部の試合に出場し、しかもどの試合でも一定以上のハイパフォーマンスを披露するこの男、加入時の移籍金は180億円とクラブレコードではあったが、むしろすでにお釣りが来るほどの活躍を見せており、シーズン前半戦で一番存在感を発揮したのはこの男だ、逆に彼がいなかったら今シーズンのアーセナルは大惨事を招いていたことだろう。本職は守備的なMFで、元々CB出身だったこともあり、対人の守備やポジショニングの的確さが群を抜いている。若干24歳ながら昨季までウェストハムのキャプテンを務めており、チームに初のECL優勝をもたらした。その守備能力も去ることながら、中盤の底から相手ゴール前までとんでもない馬力でボールを運んでいく突破力も彼の魅力だ。おまけにここぞの場面での勝負強さも兼ね備えており、先にも紹介したマンチェスターユナイテッド戦での値千金の勝ち越し弾、チェルシー戦での反撃ののろしを上げるロングシュート、そして先日のルートン戦でのロスタイムの大逆転弾と、ここまで名実ともにチームを救ってきた。少しビルドアップ時に後ろに降りてきすぎて、組み立てが低迷することもある同選手だが、きっとその適応能力の高さで改善してくれることだろう。怪我に注意しながらシーズン後半戦もこのまま走り抜けて頂きたい。

4.シーズン後半の鍵を握るプレイヤーは?

・ユリアン・ティンバー

昨夏一番の補強はこの男だ

 後方からのビルドアップを重視し左サイドバックは昨季ジンチェンコがレギュラーを張っていたが、攻撃力が高い反面、守備の軽さを突かれる場面が幾度となくあった。今夏のアーセナルは大型補強を行い、ライス、ハフェルツ、ラヤと多くのビッグネームを獲得してきたが、プレシーズンマッチを見た人は既にお分かりの通り、実はティンバーこそが今夏の目玉の補強であり、彼の能力の高さに驚かされたグーナーは多くいることだろう。DFとしてのスピード、強さ、ポジショニングに長けているだけでなく、ドリブルでの推進力やビルドアップ能力の高さも兼ね備えており、ジンチェンコに守備のスペシャリストを掛け合わせたまさにハイブリッドな存在となっている。おまけに本職は右CBながら、両サイドバックもハイクオリティにこなすそのユーティリティさは、アルテタサッカーにおいて不可欠な存在となるだろう。開幕戦で負った膝の負傷も順調に回復しており、恐らくCLノックアウトステージが始まる2月から3月にかけての復帰が見込まれている。復帰すればスタメン入りすることはほぼ間違いなく、彼の復帰がチームの選手層を一気に厚くするだろう。

・アーロン・ラムズデール

ラム「Ohhhhh~!You are Shit aaaaaaaaaahaaaa!!😜」

 安定感と正確なキックが売りのラヤが現在は守護神を務めているが、好みの問題もあるが、恐らく多くのグーナーは、この熱い男がゴールマウスを守る姿を待ち望んでいるのではないだろうか。確かに安定感という面ではラヤに一理があるかもしれないが、ここぞという場面での魂のビッグセーブ、そしてチームを鼓舞し、グーナーの心を掴む熱い心こそラムズデールの人気の秘訣でもあり、彼にしかできない強みだ。そんなことは全くないが、例えばラムズデールを使うことで失点が数点増えるとしても、僕だったら彼にゴールマウスを守らせたい。安定感抜群のラヤ、熱さとここぞの勝負強さのラムズデール、親父世代のサッカーファンから言わせると楢崎正剛と川口能活、どちらが上かは決して決められない、好みの問題ではあるだろうが、ジャックウィルシャーに似た「お前グーナーの心分かってるなぁあ!」と感じさせてくれるラムズデール、なんとかレギュラーを奪い返して欲しい。まじめな話をすると、ハイボールの処理にやや難があるラヤであり、それにより少しチームとして失点が少し増えてしまっていると感じる。後半戦の両者の巻き返しに期待だ。


・ヘイルエンドの躍進
 過度な期待は彼らの重荷となってしまうため禁物ではあるが、やはりアーセナルがもう一つ上のレベルに行くには、彼らのレベルアップが不可欠だ。契約更新をした期待のネルソン、帰ってきた10番スミスロウ、そしてプレジデントことファビオ・ヴィエイラ。いちサッカーファンからしたら、彼らに見切りを付けて有望株を外から補強したほうが効率的だ、そう感じるかもしれない。だがしかし、親が子を甘やかさなくて誰が甘やかしてやるんだ。グーナーが信じてやらなくて誰がヘイルエンド達を信じてやるんだ。彼らを換金して大型補強の資金にするなんて話もあるが、そんなことしたらロンドンの青い10位が定位置のチームと同じになってしまう。なかなか思うような結果を出せない若手達に痺れを切らすグーナーも多いかと思うが、もう少し、もう少しだけでいいから彼らを信じてやってくれないか。

左から、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリス、リンゴ・スター

 

さいごに

 本記事執筆時(2024/1/7)には4位まで順位を落としてしまっているアーセナルだが、冬の補強やチーム編成で巻き返しを図り、なんとかタイトルを獲得して欲しいものだ。編集長たるもの、真面目に、そして公平な目線から記事を書くことを心掛けているが、やはり終わってみれば私情丸出しの記事となってしまった。まあそんなこんなで2024年の編集長、そしてトモナリFCもよろしく頼みます。

文/編集長(グーナー)

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