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異空間に消えたマフラー

本当に好きだったわけじゃないのかもしれない。
頭で考える「おしゃれ」だったのかもしれない。
なんせ異空間に消えたわけだから…

本当に異空間に消えたかは分からないけれど
どこを探しても、ない、ない、ない。
あゝ、私のあの
パープルのチェックのウールのマフラーは
どこへ行ってしまったんだろう。

無くなってしまった、あの日は
(確か7年ほど前)
友人とランチをした、あの日。

無いことに気づいて
ランチをしたお店に電話をしたり
歩いた道を辿ったり
でも、ないのだ、どこを探しても。。。


あの時は今みたいにヌケヌケじゃなくて
意識気が、「ちゃんと」や「しっかり」
に向いていたから

そんなことが起こるのが
不思議なほどでけれど
数年経った今でも見つかってないし
どこで無くしたか分からないままだ。

でもなんか噛み合わない、というか
あれだけ探したし
ショックはショックだったのだろうけど
どこか、それは損得の話で
本当に心がダメージを受けたかというと
そうではないこと。


思うに、そこまで大切というわけではなかった。
「おしゃれ」というアイデンティティを
失う怖さみたいなものだったのかもしれない。

それを持っている
身に付けている私は「おしゃれ」
まあ、これは後々までずっと持っていたけど


あの時パープルのマフラーを無くした私に
声をかけるなら
「それ、好きだったの?」

さて、あの時の私はなんて答えただろうね。

「好きだと思っていた、けど」

「もしかして鎧の一つだったのかもなあ」。


これが私、と思っていたものが崩れた今
なんか、彷徨っている感じもする
でもそこには、悲壮感も焦りもない気がする。
戸惑いはある気がする。

どこにも留まっていないような

どこに向かうかは海の流れ次第なのか。


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