私的ベスト・ミュージック10枚(2020年6月編) by 高橋アフィ

Untitled (Black Is) / SAULT

バンド演奏の良さと実験性が自然に両立している素晴らしさ!しかもポストプロダクションというより、録音のノイズやヨレ(ローファイさ)に価値を見出しており、DAWだけでは作れない面白さを追求しています。今一番カッコ良い楽器の音ですね!
各曲の凄まじいこだわり&尖りがアルバム単位で聴くと調和する作りで、「アルバム」というフォーマットのパワーも改めて感じました。

PEACE / Spirit Fingers

うぉー、フュージョンだー!!ジャズロック感もあるオラオラな演奏がカッコ良いんですが、ドラムのMike Mitchellを筆頭にリズムの激しさでモダンにアップデートされています。暴れすぎの結果、エクスペリメンタルに聞こえる瞬間が面白く、かつてのクロスオーバー/フュージョンのワクワクはこういうところだったのではないかと勝手に思いました。
前作に引き続きMakaya McCravenがprod.で参加、Braxton Cookやスティールパン奏者のJonathan Scalesがそれぞれ1曲ずつ参加など、メンツが結構謎なんですが、そういうのを無理やり飲み込んでしまうパワーがSpirit Fingersの良さでしょう。

Earthbound / LCSM (Likwid Continual Space Motion)

うぉー、クラブジャズだー!!3枚組18曲のフル・アルバムということで壮大なスペーシーなジャズ作。音色は往年のエレクトロの良さを保ちつつ、ブロークン・ビーツ/(エレクトロ化した)アフロビートなリズムが面白いです。

Mordechai / Khruangbin

「ボーカルアルバムになる」と聞いた時はどうなるかと思いましたが、むしろギターがリードからバッキングまで縦横無尽に動けるようになった良さが発揮されたアルバムでした。音色や機材はそこまで大きな変化はない(と思う)んですが、演奏や作曲/アレンジはより勘所をおさえた作りに。そういう意味ではしっかりとライブバンドなんでしょう。
チルアウト感よりもゆらゆらと踊る方向へシフトした、タフなバンド作。

Spiritual Sleaze Live / Rejoicer

Rejoicerのバンド編成のライブアルバム。(多分)シーケンス無しで生演奏に置き換わっているのですが、全体的な印象は大きく変わっておらず、さらにプレイヤーの演奏がカッコ良い良きライブアレンジです。ドラムのAmir Breslerが素晴らしく、ASMR的な気持ち良さのあるRejoicerのビートを上手くドラムで再現しています。

Chicago Waves / Carlos Niño & Miguel Atwood-Ferguson

極上アンビエント/ニューエイジ。久々に(?)Carlos Niñoのパーカッションが目立つアルバムで、リズムアプローチではない、音響的な演奏が素晴らしいです。

COLOR OF NOIZE / Derrick Hodge

とりあえず今年のジャズ作のベスト確定!基本ベースがリード、暴れまくりツインドラムという特殊編成で演奏されるジャズ/ビートミュージック/エレクトロです。「モダンなビートをジャズに導入」というパターンは今まで多くあったのですが、ついに元ネタが完全に溶け込み「なんだかよく分からないけれど凄まじい音楽」になったと思います。
リズムや音色のエッジーな要素がすべてむしろジャズに聴こえる不思議な世界観で、実験作ながら最終的にはスムースでメロウでソウルフルという奇跡!構築美というよりは高度な即興性を軸としたゆえの、そしてそこで芯をブラさず演奏できるDerrick Hodgeのベースゆえの作品でしょう。
ツインドラムはJustin TysonとMichael Mitchell。この二人がここまで相性良いというのも驚きました。従来のツインドラム像を超える共にオフェンシブなペアで、爆発力が凄まじいです。

Disleksikon / Hihats In Trees

STUFF., BeraadGeslagen, LABtrioなどで活躍する、ブリュッセルを拠点にするドラマー/プロデューサー Lander Gyselinckのソロ作。演奏からアプローチするクラブミュージックとエクペリメンタルの間という感じで、気持ち悪くて気持ち良いエレクトロとして聴いてました。

Glorious (Nídia Remix) / Sudan Archives

昨年聴いた時はそこまでしっくり来なかった『Athena』なんですが、このremixを聴き、改めてアルバムも聞き直したらよかった記念です。ドロドロremix。ヴァイオリンをサイケな音として使用しており、異世界密林感が最高。ドープ!

Madison Tapes / Yaya Bey

ブルックリンのシンガー。ギターやエレピの音色が気持ち良いネオソウル/ヒップホップで、ミックステープ的なラフさ/親密さが素晴らしかったです。

近況

①TAMATMで久々のダブver.出しました。

ユースケさん&Fukaiの良いダブver.です。

②Keleketla!の解説記事書きました。

「Future Toyi Toyi」のイントロ、ドラムが半拍食って入るのカッコ良いですね!

③Tony Allenの追悼記事書きました。

記事には書けなかったんですが、80年〜90年代のTony Allenが面白かったので、noteでいつか書こうと思います。

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