私的ベスト・ミュージック10枚(2020年4月編) by 高橋アフィ

What Kinda Music / Tom Misch & Yussef Dayes

破茶滅茶良い!Yussef Dayesのドラムの素晴らしさであり、(勿論Tom Misch含め)演奏することのカッコ良さが最大限に詰まっているアルバムでした。アンサンブルとしては割とシンプルなんですが、それゆえにギターやドラムの音の魅力がわかりやすく、特にTom Mischのエフェクター使いが素晴らしいですね。
ポストプロダクションの技が冴えるこだわり抜いた作品ながら、ライブらしい開放的な良さもあり(こだわりあるドラムの録音素晴らしい)、文句なし最高です。

Live  / Ivan Dorn & Seven Davis Jr.

Seven Davis Jr.のトラックが最高ということです。こちらは逆にトラックじゃないと出来ない無茶苦茶さが魅力だと思います。映像も素晴らしい!

Heaven To A Tortured Mind / Yves Tumor

「音の刺激はまだまだあるんだぞ」ということです。エクスペリメンタルかつロックという異色作。楽器の音の区別が難しくて、それこそロックやヒップホップやジャズや…、様々な音楽を初めて聴いたときのびっくり感だなとも思いました。
その上で、なんだかんだメロがしっかりしている所が凄さでは。「コテコテでダサかっこ良いでしょ?」というシニカルさをOPNに感じる時あるんですが(僕のOPN評価はひん曲がっているので気にせず)、本作はそういう衒いが無く、突き抜けてかっこ良かったです。

Ring The Alarm / Shanique Marie

Equiknoxxによるモダンなアブストラクト・ダンスホールです。不穏&怖い&強い!!クラブ・ミュージックとしての強さとダンスホールのエグみが全開盛り盛りです。

It Is What It Is / Thundercat

かつてないほどボーカル・アルバムとして通用するポップな作品なんですが、同時にゲーム音楽的なカラフルでミニマルなサイケ感たっぷりだし、雷猫の演奏もエグくて素晴らしいという過去最高作です。個人的には作曲能力が(前から良かったけど)本格的に花開いた気がします。ヘンテコさをそのままポップさに繋げるルートを見つけたというか、ループとしてかっこ良いレシピを見つけたというか。
ビート・ミュージック的なごりっと感が徐々に減っていき、本作ではスムースなグルーヴの中弾きまくるサンダーキャットというバランスになった所も本作の良さでしょう。

ZFEX Vol.II / Zeitgeist Freedom Energy Exchange

ドラマーとして今一番センスが良いと思っているZiggy Zeitgeist(30/70 collectiveなど)のリーダーユニットの2nd。クラブのあの高揚感と気持ち良さを、ビートを真似るのでは無く、生演奏のグルーヴとして実現する異色作です。フレーズ自体はいうほどエレクトロに近くないんですが、印象としては近く聞こえるという技が光っています。音色やフィール、アレンジなど細かいこだわりの賜物ですね。
ヒップホップやR&Bやビートミュージックというより、アフロビートやサンバなど16分でアクセントの上げ下げではなく回していく(←ニュアンスで読んでください)リズムも特徴的で、ざっくりいうとパーカッション的な高揚感を目指しているということなんですが、そことハウシーなグルーヴによりクラブミュージック的な世界観を実現しているのかも?

Para Todos / Natalie Greffel

モザンビーク出身ベルリン拠点のアーティスト。MPB感あるんですが、ずっと軽やかにいるというか、良い意味でサイケ感の無い健康さというか、風通しの良いサウンドが素敵。

Time Out / Blaque Dynamite

ドラマーMike MitchellによるBlaque Dynamite。パワー溢れすぎてエクペリメンタルになってしまった音楽です。ドラマー的なグルーヴィーな気持ち良さではなく、情報過多も過多なエネルギーの圧!

Unfinished / Sans Soucis

音数の少なさが素晴らしい歌物。声が素晴らしいですね。

My Garden / John Carroll Kirby

ガチンコ・ニューエイジ!チルアウトだし、瞑想音楽でもあるんですが、どことない軽薄さというか、”エキゾチック”な感じの取り入れ加減とか、妖しさと気持ち良さが同時に来るニューエイジ感です。饒舌だけれど溶ける作曲がひたすら上手いとも言え、そういう意味では音色の探求や彫刻的なアンビエントとは一線を画してますね(とはいえ音色も素晴らしいですが)。
ビートがしっかり入っている所も面白さで、本人はアンビエントやニューエイジをどこまで意識しているかわからない雰囲気(しているとは思うけれど機能的には寄せようとしない意地というか)が、結果ニューエイジ感に繋がっているという不思議な作品です。なんだかんだ自分がどんな状態の時に聞いても素晴らしく愛聴中です。

お知らせ3件!

①TAMTAM、新譜出します!5/20『We Are the Sun!』配信開始!

②AWAで曲紹介始めました

③ミュージック・マガジン6月号に寄稿しました(「オーストラリア音楽ディスク・ガイド」)

まだ家に届いていないけれど、きっと良いと思います(KOHH表紙だし)


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