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6000ブレンドを前に

いよいよアロマブレンドが6000回目になります。
節目の前に、今の気持ちを綴っておこうと思います。

あらためて、自分自身でも、かなりの数のブレンド作ってきたなと思います。
でもその最初の一歩、はじめてブレンドした時の感動は今でもよく覚えています。
オレンジスイート、ラベンダー、サンダルウッド。
癒し、と言われる王道の3種。1本ずつでも好きな香りですが、3本をブレンドするとさらに深くいい香りになる!という発見。「アロマってすごい、こんなに気持ちが変わるなんて。」そう感じた組合せ、何度作ったことか。マイベーシックの大切な香りです。

同じ組み合わせでも混ぜる香りの割合によって香りが全く変わることや、精油のメーカーによっての違いなど、純粋に混ぜることを楽しんでいました。
その頃はアロマブレンドがまだまだ一般的ではなくて、わかりやすいテキストほとんどもなく、1滴多くするか、少なくするか、実験のようにブレンドを行っていた気がします。

ブレンドをするようになって1000回くらいまでは試行錯誤をしつつ、自分の中でも「調香」というものに対するルールが決まっていなかった時期でもありました。
その流れの中で、だんだんと香りをうまく組み合わせるためのコツ、のようなものができるようになりました。

基本的に早朝にブレンドをするとか、香りのチェックは作った翌日も行う、とか。1週間後、1ヶ月後の確認とかもその1つです。
他にも、香りの系統毎に調香してみたり、地域性を考えたりと、自分だけの考えに偏らないように、作ったものを色々な方に差し上げて、フィードバックをもらったりもしました。好きな香水の香りを天然精油で再現するのもやっていた時期があります。

深夜の調香は危険。笑
静まりかえった部屋で、香りをイメージする音楽をかけながら、あれこれ思いを巡らせて、ちょこちょこと足したり引いたり。
夜の手紙は情熱的、と言いますが、香りも同じかも。気持ちが盛り上がって、香りの実験は終わりがない。

そうしている間に、香りの熟成の予想ができるようになってきました。私自身、アロマを始めたばかりの頃よりも、明らかに嗅覚は優れている、そう感じます。人間の鼻は本当にすごいですね。

だんだんとブレンディングに迷いがなくなり、香りの組合せの幅を広げ始めた時期。

フランスの調香師のように「香りのオルガン」を作りたくて、ずらりと並べる精油棚を知り合いの大工さんにオーダーをしたのもこの頃です。
これがあると調香に必要な精油をカテゴリーごとに分けたり、また取り出しやすく、見た目以上に効率的に使うことができるのです。もちろん気持ちもアガル!

ブレンドが3000~5000の頃には全国規模のアロマブレンドコンテストで受賞したり、個人だけでなく、法人企業様からのご依頼で香り作りを行ったりと香りを作る仕事が増えてきた時期です。

ほとんどの仕事は初めての内容で、ドキドキの連続でしたが、多くの人に助けられてこれまで積み重ねてこれた気がします。

実は、5000回に到達したときに決めていたことが1つあります。

それは自分のやってきた調香を一度俯瞰して見て「これでいいのか?」と疑ってみる、ということでした。自分のやってきたことって本当に大丈夫なのか?
香りなんて、好みが分かれるものを、一つの香りに絞るということは正しいのか?
自分勝手になっていないか?
そんなことから、自分の作品をあえて否定的にも見つめてみました。

ですが、私の香りの特徴は?と考えたときに、はじめから変わらないのは、「本物の薫りは人を動かす」、という思いでした。

アロマだから、植物だからできること。
素材の力を最大限に生かす、ということでした。

私が作る香りは、風が流れてきたときに、「あれ?なんかいい匂い」、と思うくらいのささやかさでありたい。
そのあれ?で脳への信号は十分に伝わります。
だから、香りは押し付けてはいけない。

自分の好きな香りに無理やり組み合わせるものではなく、心地いい、を感じ、素材同士が手を繋ぐような、そんな香りを作っていきたい。

明日の6000回目を節目として、前から考えてきたこと、和の精油を使ったブレンドを公開していこうと思います。

西洋の香りと日本の植物との出会い。とてもいい香りです。
是非お楽しみに。

そして、これから初めてアロマに触れる、とか、アロマブレンドに興味があるという方へ。

私はアロマ調香を10年以上続けてきていますが、それは毎回素敵な景色に出会う旅のように、新しい香りの発見であり、忘れられない香りとの出会いでもあります。

まずはいくつかの精油を混ぜてみてください。
好きな香りがふわりと香る生活、きっと楽しいです。
ぜひご一緒に。

アロマ調香デザイナー® 齋藤智子

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