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正弦定理8

□理:長
「わたしに姉さんが?」
「ああ、お前の父親が一度言っておった。
しかし、7歳で別れ別れになったのだと」


はつがねのみは、秋月家だけしか扱えないはずだ。
はつがねのみを口に含んだ正弦は、【なんともなかった】


理は村の長にそれを確かめた。

秋月家…血?…

姉さん?

まさか、正弦様が自分の姉??

「この村に来たときにはお前とふたりきりじゃったから。わしも他に娘がおったなど初耳じゃったよ。なんでも急に神がかりになって連れて行かれたと言っておった」

神がかり?巫女?
すべてが当てはまる気がする。

しかしなぜ父はこのことを私に言わなかったのだろう?
姉がいたなど、ただの一度も聞かされていなかった。

「わしもそれ以上詳しいことは知らん。元(もと)(理の父:秋月元)が酔ってぼそっと言っただけじゃからな。なにやらいろいろ事情がありそうだったが」
長は気の毒そうな目をすると、付け加えた。
「どんな事情かわからんが、子の幸せを願った事情じゃろうな」

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