見出し画像

やけに最近、雨ばかり降っていると思ったら、そうか、今は梅雨なのだ。今日は、傘の話でもしよう。

私が持っている傘は、3本だ。1本はビニール製の雨傘、もう1本は晴雨兼用の折りたたみ傘、そしてもう1本は骨の短い日傘である。

子供の頃は家に何本も傘があった。家族それぞれの布製の傘と、その他にビニール傘が何本も。それに加え、母と私は日傘も持っていた。ビニール傘は突然雨に降られた時にコンビニで買ったものばかりだったので、溜まっていく一方で使うことがほとんどなかった。それなのに、年末の大掃除のときにも捨てられることはなく、同じように傘立てにさし直されていた。どう考えても、常時5本ほど余分な傘が存在していた。

そもそも、掃除の時に何かを捨てるという感覚が、我が家にはあまりなかったのかもしれない。ちびた鉛筆も、随分前に行った海外旅行で持ち帰った硬貨も、埃を払った後、また元の位置に戻された。だからいつまで経っても物が減らず、家は常に物で溢れ返っていた。大人になって「断捨離ブーム」が来た時に、私はやっと掃除という行為が物を並べ直すだけではないということを理解した気がする。

「捨てれば部屋が広くなる」ことを学んでから、私は躊躇なく物を捨てる人間になった。おかげで身の周りは気に入ったものばかりになったし、以前よりも快適な暮らしができていると思う。

しかし時々、傘が何本もささってパンパンになったあの傘立てを懐かしく思い出す。傘を間引くこともせず、何の疑問も持たずに傘立てに戻していた滑稽な感じが、私は嫌いじゃなかったのだとおもう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?