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生ける

一人暮らしを始めてからというもの、ずっと、部屋に花を生けている。

「生ける」と言っても、華道を習ったこともないので、ただ単に水を入れた花瓶に草花をさしているだけだ。「飾る」、というよりは、イキモノだから、「生ける」と言った方が、なんだか素敵な気がする。花がちゃんとひらいて、元気がなくなって枯れてたり色褪せていくまでがセットだと思う。いつまでも不自然に「咲いて」いる、ブリザーブドフラワーの類は好きではない。枯れることをいつまでも許されないなんて、なんだかちょっと可哀想だ。

生ける花は、商店街や駅の花屋で一通り買ったことがあるけれど、小洒落た高いフラワーショップより、近所の横断歩道の横にある花屋の方が花もちがよいため、ずっとそこで買っている。大体その日のおすすめをきくと教えてるれる。あんまり「気分」じゃない花をすすめられることもあるけれど、なんとなく参考にするようにしている。

茶色い紙で花を包んでもらいお金を払って店を出たあと、信号待ちをしながら、包み紙から覗く花を眺めるのが楽しい。お気に入りが買えた時は、歩きながらでもたびたび見てしまう。

今日は、もうすぐお正月だから、赤と黄の「せんりょう」を買った。

「花を生ける」ということが、私の生活を維持するための、ひとつの機能を果たしているのだと思う。

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