#18 心原性ショックでドパミンを使う理由
〈訳〉ドパミンが心原性ショックの治療に効果的な理由は:
a. 腎臓および腸管膜の血管を選択的に拡張するから
b. 末梢血管に影響を与えないから
c. 心筋収縮を減少させるから
d. AV伝導時間を遅らせるから
e. ECGのQT時間を延長するため
〈答え〉a.
〈解説〉
まずは、心原性ショックとは何かについておさらいしておきましょう。
Point 1.心原性ショックとは?
心原性ショックとは...
心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全が生じ、低酸素・アシドーシス・毛細血管透過性亢進をきたす重篤な状態を指す。
《参照》トーアエイヨーHP
Point 2.心原性ショックの治療とは?
ショックの場合は、ほとんどのケースで血圧が低下します。心臓の動きが悪くなることで、全身の臓器や細胞に必要な酸素を十分に届けられなくなるために起こります。
そのため、薬物治療や酸素投与が中心に行われます。
薬物治療では、全身の血管を収縮させるノルアドレナリンやドパミンの点滴や強心剤の点滴などを行います。
1973年に発表されたKarliner医師の論文によると、ドパミンは末梢血管の血管収縮も行います。腎臓と腸管膜の血管を直接拡張するというところがドパミンの特徴的なところです。また、Naの腎尿細管再吸収を阻害することを示していて、腎血流量と尿量を失うことなく、心筋を刺激することで全身の動脈圧を高めることができます。
《参照》Karliner. J.S. Dopamine for Cardiogenic Shock., 1973, JAMA.
だから、答えはa.は納得ですね。実はこのa.の答えの文章はほぼまるまる、この参照した論文のアブストラクトに記載されています。やはり論文を読むことは重要ですね。
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