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#4 岩下智子フルート塾 「楽譜を読む力」

こんにちは!フルーティストの岩下智子です。

岩下智子フルート塾 第2回、第3回では、「基礎練習に適した教則本」を2回にわけて数冊ご紹介しました。と同時に様々な基礎練習方法もご紹介しましたので、これで基礎練の習慣がついたことと思います。今回はそれらを発展し、「楽譜の読み方」について書きます。この記事が皆様のフルートの愉しみ、上達に、何かヒントになれば、幸いです。

■作曲家を知る
曲(エチュードを含む)をうまく演奏するには、「楽譜を読む力」が必要になってきます。楽譜に書いてある音だけをなぞって演奏しても、それらしい音楽に聴こえますが、楽譜読解力がないと一本調子のつまらない音楽になってしまいます。演奏は一種の人間の内的表現、パフォーマンスですから、演奏者は作曲家を最大限にリスペクトして楽譜に忠実に、作曲者が意図することを理解して表現しなければいけません。それには、楽譜を正確に読み解く力が必要になります。
楽譜に書いてあることは、作曲家からのメッセージですので全て大事ですが、同時に、作曲の背景を知ることも大切です。その曲のジャンル、作曲されたエポック(時代背景)、土地などが、楽譜の音符を読み解くと同じくらいが大事なポイントです。それを知らないまま演奏すると、バロック音楽をロマン派のように演奏してしまったり、また、ドイツ音楽をフランス風に演奏してしまったり(その逆も)、とんでもなく間違った方向の演奏になります。例えば、フランスのバロック音楽の作曲者ブラヴェをドイツのバッハの曲のように演奏したりと同じエポックでも国が違うと演奏スタイルが全く違うので気を付けなくてはいけません。つまり、作曲家とその時代のことを知っていれば、その曲の特徴、スタイルをある程度、理解でき、それを演奏に繋げていきましょう。

曲の構造を知る
次に、実践(演奏)方法について考察してみましょう。まずは初見でざっと最初から最後まで通して演奏してみるのをおすすめします。そのためには、まずは楽譜を俯瞰することからはじめます。まるで絵をみるように見てみてください。音符の密なところなど濃淡(難しいパッセージがわかります)、音符の構図(スケールなのか、アルペジオなのかなど)を見て、曲の構成を形で頭に入れます。そしてもちろん大切なのは、拍子記号、調性(長音階、短音階など)、速度記号、表情記号など楽語を見るのは言うまでもありません。続いて、音符、休符、リズム、音程(完全、長、短、減、増)、強弱、アーティキュレーション、移調、転調、和声、その他、臨時記号などの全体像を俯瞰します。これらの理解には、『楽典』をきっちりと頭に入れておく必要があります。趣味でフルートをやる方も、この知識がないと、音楽はいつまで経っても上辺だけのもので終わってしまいますので、できましたらお時間のあるのきに、『楽典』をしっかり学んでください。下記に参考書籍を5冊、挙げておきます。

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