見出し画像

ヒプノセラピー:心の癖「人から大切にされないんじゃないかと思ってしまう」をやめる!

こんばんは、心理カウンセラーの今泉です。
先日、ヒプノセラピーセッションを行いました。クライアントさんの相談内容は「自分の心の癖をなおしたい」

※クライアントさんに了解いただいてますので、どんなセッションだったか書かせていただきます。

ヒプノセラピーを行う時は、まず最初に事前のカウンセリングを行います。
カウンセリングでは、今日、自分のどこを変えたいと思っているのか?それをしっかりと聞いていくんです。

今回のクライアントさん(以下Aさん)は、すごく誠実で真面目な方でした。いつも人のことを考えて行動できる素晴らしい人。
そんな彼女の悩みは、冒頭でも書いたように「自分の心の癖をなおしたい」ということでした。
「心の癖ってどういうことですか?」と僕が尋ねると
自分は人から大切にされないんじゃないか?と思ってしまう。そう言われました。

一人寂しげに川を眺める女性


人から大切にされないとはどういうことなのか??

ヒプノセラピーでは、先ほど書いた通りまず事前のカウンセリングを行います。そして、そこで、このヒプノセラピーを受けて自分がどうなりたいのか?それを決めていくのです。

僕らはこれを「契約」と呼んでいるのですが、ビジネスの世界ではいろんな契約がありますね。契約をした後は、その契約に則って取引が進んでく。
カウンセリングでも同じなんです。

例えば、自分はずっとこんなパターンで生きてきた。でも、もう繰り返すのは嫌。だから、そんな自分を変えたい。
そんなテーマが決まったら、その契約を果たすため、僕らはヒプノセラピーを行い、その方に変わってもらうんです。

繰り返しになりますが、今回の事前カウンセリングで決まったテーマは、「人に大切にされないんじゃないかと思ってしまう自分をやめたい。」

人に大切にされないんじゃないかと思ってしまうとは?

人に大切にされないとはどういうことなのか?話を聞いていてよくわからなかったため、さらに詳しく聞いていきました。
「最近、いつそう思いましたか?」

すると、Aさんはある仕事をされていたのですが、その会社へはヘッドハンティングではないですが、自分を見込んでいただき、呼んでもらって入ったそうです。
でも、仕事を続けていくと、自分を信頼して呼んでもらった上司の方の言っていることが変わってきた。そう感じた瞬間があったそうです。
自分の意見が優先されなくなってきた…

せっかく呼んでもらったのに、自分じゃダメなんだ。
そんな気持ちになったAさん。
それからいろいろあったそうですが、その会社を退職することになった時、その上司の方にものすごく引き止められたそうです。

「自分じゃダメなんだ」と思い、どうせ自分は人に大切にしてもらえない…
そう思っていたのに、本当はその上司はそんなこと思っていなかった。

Aさんは、そんなことをこれまで何度も繰り返してきたそうです。
自分に自信がなく、すぐに「私を大切にしてくれる人なんていないんだ…」そんな思いが浮かんでくる。
この心の癖を治したい。

潜在意識を書き換えるヒプノセラピー(年齢退行療法)

年齢退行療法とは?

僕が行なっているヒプノセラピーには、大きく二つのやり方が存在します。
一つは「年齢退行療法」と呼ばれるもの。そして、もう一つは「前世療法」と呼ばれるもの。

年齢退行療法とは、幼い頃のトラウマを解放するためのセッションです。今の悩みの原因となっている過去の記憶を取り戻し、再体験する。すると、そこでいろんな気づきが起こってくるんです。

今回のAさんは、この年齢退行療法を使って、その原因を見つけにいきました。

目を閉じ、ゆっくりと深呼吸をしていただき、催眠を深めていきます。そして、深いリラックス状態になった時、あなたが「自分は大切にされなんじゃないか?」という不安を最初に抱いたあの幼い日に帰りましょう」そんな声かけをしていきました。

「3つ数えると、あなたは今見るべき過去へと戻っていくよ」
そんな誘導と共に、三つ数えていきます。
1、2、3はい、スーッと
ほら着いたよ、見るべき過去。あの時へと戻ってきた。さあ、今どこにいるかな?

こんな声かけをすると、クライアントさんは、ちゃんと自分が見るべき過去を思い出していくのです。

この時は、Aさんは10歳のある日に戻っていきました。
「今どこにいるのかな?」
『家の中』
詳しく聞くと、外は真っ暗、もう夜になっていました。
そして、外が見える廊下にいる自分。

夜の家の中

イメージの中で過去の出来事を再体験していくヒプノセラピー

ヒプノセラピーで過去に戻ると言っても、当然ですが、タイムマシンに乗って過去に戻るなんてことはできません。
過去の自分を思い出してもらうという作業をしていくのです。

催眠状態になり過去を思い出していくと、その時の出来事がまさに今起こっているようにリアルに感じることができるのです。
そして、あの時感じた感情も蘇ってくる。

10歳のAちゃんは、夜一人で自分の家にいました。
みんな仕事で一人だけ残されている。

でも、そこには我慢している幼いAちゃんがいたんです。
何を我慢していたのかというと、彼女は熱がありました。
息がしんどい。そう言いながら、一人泣いているAちゃん。

お母さんは、Aちゃんが熱があるって知らないのかな?そう尋ねると、「知ってる」そう教えてくれました。
そして、今日は学校を休んだんだって。

ヒプノセラピーでは常に今ここの状態を作ります。

ヒプノセラピーでは、常に今ここの状態で話を聞いていきます。
今ここの状態で話を聞くとは、あの時こうだった。というような過去形で話をしないということです。
だから、もし過去の話が出てきたら、すぐその時へと戻っていくんです。
ヒプノセラピーでは、その人が見るべき時にいつでも移動ができるのです。

このAちゃんの場合も、朝熱があるのをお母さんは知っていました。そして、学校も休んだ。じゃあ、この時、お母さんとどんなやりとりがあったのか、僕はそれが気になりました。だから、その時に戻ってもらったのです。

Aちゃん、今から3つ数えると、学校を休むことになったあの日の朝に戻って、そこでお母さんとどんな会話をしたのか、それを見ていくよ。
では、3つ数えます。
1、2、3はいスーーっと、ほら戻ってきたよ。
学校を休むことになった朝に戻ってきた。さあ、今何をしてるのかな?

こんな感じで誘導していくと、その時へと戻っていってくれました。
朝の早い時間、Aちゃんは、お母さんを見ていました。

「お母さんどんな顔してるかな?」僕がそう尋ねると、『忙しそう』そう教えてくれました。
そして、『しんどいけど言えない…』
お母さんは、Aちゃんが風邪をひいていることは知っていました。そして、Aちゃんに「昼ごはん置いとくから、寝ときなさい」そう一言言ったのです。

「Aちゃん、お母さん、寝ときなさいって言ってるね。それを聞いてどう思う?」僕がそう聞くと『本当は居て欲しかった』そう教えてくれました。
じゃあ、それをお母さんには言わないの?僕がそう聞くと、『言わない』と一言。

「どうして言わないの?」
『言ったら嫌われるから。いい子にしてないと嫌われる。』

涙を流す子供

忘れていた記憶を思い出す。

ここからもっともっと深く、いろんなことを思い出してもらいました。
幼い頃、自分がどんなことを考えていたのか?何を思っていたのか??
そして、お母さんの中に入ってお母さんの気持ちやどんなことを考えていたのかも聞いていきました。
※ヒプノセラピーでは、「人格交代」という技法を使い、相手の中に入り、その人の思いを感じるということもやっていきます。

そんなヒプノセラピーセッションだったのですが、このセッションでAさんにとって一番大きな気づきはなんだったのか?
それは、最初に降り立ったあの熱があるのに一人でみんなが帰ってくるのを待っていた夜のこと。
実はあの話には続きがあったんです。
一人で息がしんどいと感じていたあの後、お父さん、お母さん、そして、お兄ちゃん、三人が笑いながら一緒に帰ってきたのです。

それを見たAちゃんは、大きなショックを受けました。
今回のヒプノセラピーのテーマは「人に大切にされないんじゃないかと思ってしまう自分」そんな自分をやめたいということでした。
大人になった今でも、ふとした瞬間「自分は大切にされない」そんな思いが浮かび上がっていたAさん。
実は、そんな思いが浮かび上がってくる時の感覚と、この熱が出て一人でみんなが帰ってくるのを待っていた幼い自分が感じた感覚が全く同じだったのです。

ヒプノセラピーで問題を解決するために必要なこと

ヒプノセラピーでは、こうして幼い頃の自分を見ていきます。なぜ、幼い頃の自分を見ていくのか?それは、僕らの潜在意識が幼い頃に作られるからなんです。

今回のこのAさんの事例で言うと、幼いAちゃんは、一人苦しみに耐えていた時、自分以外の家族の笑顔を見てショックを受けました。
「自分は大切にされないんだ」そんな思いを潜在意識に書き込んでしまったのです。
そして、大人になった今でも、この「自分は大切にされない」と言う思いがふとした瞬間浮かび上がってくる。
何度も何度も自分を襲ってくるこの感覚。

でも、よく考えてみてください。この「自分は大切にされない」という思いは、今の大人になったAさんの思いではないということがわかると思います。
そう、幼い頃の傷ついたAちゃんがずっと自分の中にいて、何かあるごとにその幼いAちゃんが出てきてしまっているのです。

ドリカムのNOCTURNE 001という歌の歌詞に、「出会った時の気持ちを冷凍保存できればいいのに。時々そっと取り出して、食べて補充できたらいいのに」という歌詞がありますね。

僕らの潜在意識は、まさにこの歌のように、傷ついた自分を冷凍保存しているような状態なんです。そして、何かあったら、もうあの時のように傷つきたくない。と先回りして、そんな思いを経験しないでいいように避けたり逃げ出したりするのです。

心の癖の正体

では、こうして何度も何度も感じる心の癖を治すにはどうすればいいでしょうか?

もう一度お伝えしますが、大人の自分は頭で考えれば、いろんなことを理解できます。
でも、自分の中にいる幼い自分は、ただただ、もうあの苦しみは味わいたくない。と今も苦しんでいるのです。
この自分の中にいる傷ついた自分を僕らはインナーチャイルドと呼んでいますが、このインナーチャイルドは、大人の自分が考えるより先に出てきます。とにかく、スピードが速いのです。

またあの時と同じようなことが起こるのではないか??そんなことを感じとった瞬間、もうあの時のような目には遭いたくないと逃げたり、避けたりするのです。これが、大人になった今でも繰り返す心の癖の正体なのです。

母の膝の上で笑う女の子

インナーチャイルドを癒す方法

ヒプノセラピーでは、このインナーチャイルドを癒すため、もう一度、あの時へと戻っていきます。
辛かった時へと戻るのは、嫌だと思うかもしれませんが、潜在意識は、自分が耐えられないことは絶対に出してきません。だから、安心してもう一度あの時を思い出してみる。

例えば、幼い頃に母親から虐待を受けた過去があったとします。その頃の自分から見れば、なんでもできる母親。この人がいないと生きていけない。幼い自分からは神様のような存在なんです。
その母親が怒っている。考えただけでも苦しいと思います。

でも、ヒプノセラピーで幼い頃を体験する時は、あの時の本当の体験とは大きく違います。何が違うかと言うと、僕らはもう大人になっているのです。だから、あのまだ何も知らない幼い自分から見た世界と、大人になった自分が見る世界は全く違うのです。

例えば、幼い自分から見たら、大きな存在だった母親も、今の自分から見たら、自分よりもっと若いかもしれません。なぜ、あの時母親があんな状態だったのか?いろいろ理解できる部分も出てくるのです。

だから、その状態でもう一度過去の出来事を体験していくと、見えてくるものがたくさんあるんです。

最後に(癒し体験)

今回のヒプノセラピーでは、最終的には、大人の自分で幼い傷ついた自分を癒していきました。
目の前に傷ついた幼い自分がいる。そんなイメージをしてもらい、この子に今の自分からどんなことを言ってあげたいか、何をしてあげたいか。
いろんなことを聞き出しながら、イメージの中で実際にそれをやってもらいました。

あなたも少しイメージしてみてください。

目の前に傷ついたあの時の幼い自分がいるよ。さあ、そんなイメージをしてみてください。

その子は今どこにいますか?
そこで何をしていますか?
そして、どんな表情をしていますか?

そう聞かれたて。思い浮かぶシーンはありますか?

あなたは、その子の気持ちは全てわかります。
目の前にいる幼いあなたは、今どんな気持ちでそこにいますか?

もし、大人のあなたが今、目の前にいる傷ついた幼いこの子に声をかけるとしたらなんと言ってあげたいですか?

さあ、その言葉をかけてあげてください。
「もう大丈夫だよ」「無理しなくていいよ」「がんばらなくていいよ」
どんな言葉でも大丈夫です。

それを伝え、そして、その子をしっかりと抱きしめましょう。
頭をゆっくりと撫でてあげてください。

そして、その子にこう言ってあげましょう。

「もう大丈夫だよ。私があなたを守るから」
「もう頑張らなくていいよ」
「あなたはあなたのままで大丈夫だから」

そのあなたの言葉を聞いたその子は今どんな表情をしていますか?
もし、笑顔になっていたら、しっかりと抱きしめて、そして、笑顔のままあなたの中に戻してあげましょう。

この子が笑顔になった時、あなたの心のブレーキが外れ、現実が変わり始める。

いかがでしょうか?
繰り返しになりますが、僕らは心の奥底(潜在意識)に傷ついた幼い自分を抱えています。だから、しっかりと癒してあげるのです。それができた時、知らない間に大人になった自分が変わるのです。

ぜひ、あなたも心の中の傷ついた自分を癒してあげてくださいね。
そして一緒に笑顔になっていきましょう。

笑顔いっぱいの女の子

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。

心理カウンセラー 今泉智樹

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?