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尚侯爵家(元琉球王家)当主・尚衛氏の新年メッセージを読む

 琉球王国の王家の末裔である尚侯爵家の当主・尚衛琉球歴史文化継承振興会代表理事が、令和4年(西暦2022年、皇暦2682年)に『八重山日報』へ新年メッセージを出していた。その内容は所謂「琉球処分」や沖縄の祖国復帰にも触れるもので、華族制度廃止以降政治から遠ざかっていた尚侯爵家の当主のメッセージとしては異例のもの。

「琉球民族のアイデンティティーを大切に」

 メッセージでは、まず冒頭で尚衛氏自身が「元王家」の当主と言うことから慕われていることに触れ「アイデンティティーの拠り所と思って頂けること」について感謝の意を表明。一方、琉球王家が「琉球國を捨てる選択をした」と評価されることもあるとした。

 全体を通じて、琉球国が日本に併合されたことは当時の国王が「琉球の民が争いにより苦しむ事を何としてでも回避したい」と言う気持ちで行ったものと推察する一方、「琉球民族としてのアイデンティティーを大切にしたい」という姿勢も見せている。

 琉球民族としてのアイデンティティーと日本国民として生きることが両立すると言う考えは、至極当然のものではあるが、今の日本では「日本国民は単一民族だ!」と主張するネトウヨや一部保守派がいる一方、「琉球独立論」を唱える左翼勢力も少なくないため、尚衛氏のバランスの取れた態度は貴重である。

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