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日本会議“習近平訪日”を「憂慮」するも「反対」はせず

 ネット上で「ついに安倍政権断固支持の日本会議が、習近平国賓招聘に反対した!」という情報が広まっていました。

山岡鉄秀
@jcn92977110
ついに日本会議が習近平国賓に公式に反対する声明を発表!コアの支持層に大変動か?しかし内容は極めて常識的だ。乗っ取られているのか安倍政権⁉️/
習近平国家主席の国賓としての招聘を憂慮する声明( 令和2年2月7日) « 日本会議 http://nipponkaigi.org/opinion/archives/12251
午後9:58 · 2020年2月7日

 私は日本会議には所属しておらず、むしろ対立関係のある団体に所属していますが、それでも日本会議にはお世話になっている方もいますし、日本会議が珍しく素晴らしい活動をしているならば称賛記事を書こうと思い、日本会議の声明を確認しました。

 しかし、残念ながら、日本会議の声明を見たところ、期待は裏切られました。

 この声明は次のパラグラフで始まります。

周知のように、日中両国の間には「4つのトゲ」と称される「尖閣諸島」「日本人拘束」「日本食品輸入規制」「香港・ウイグル」の外交問題があるが、中国は日本政府の要求を拒み続けており、改善の見通しは全く立っていない。

 「香港・ウイグル」と、中国の一部である香港と、中国が不法占拠しているのウイグル(東トルキスタン)を同列に並べているうえに、チベット・満洲・南モンゴル(東トルキスタン)を無視している日本会議の事実認識自体、大いにツッコミを入れたいところですが、政権中枢と関係の深い男系である以上、表現を抑えなければならない点があるのは承知しているつもりです。

 そう考えると、次の一文を入れることができたのは、日本会議にしては大英断なのでしょう。

一般に、隣国と諸課題を協議し、関係改善に向けた首脳外交を行うことは重要である。毎年あまたの国家元首級の要人が来日している。しかし、国賓としての招聘は別であり、僅かに1~2か国に限られる。現在の中国の国内外での振る舞いを見れば、中国が国賓待遇の国としてふさわしいと言えないことは明らかである。

 また、こうも言っています。

もしも政府が、国論が分かれている中で習主席の国賓招聘に固執するならば、「日本国及び日本国民統合の象徴」としての天皇陛下の御品位を傷つけることになる。

 素晴らしいです。ここまでは正論と言いますか、少なくとも問題は無い発言です。

 が、ここまで言った以上、明確に習近平国賓待遇に「反対」を言わないと文脈上オカシイのですが、最後の最後をこう結んでしまっています。

我らはここに習近平主席の国賓としての来日が我が国の国益を大きく損なうことを深く憂慮し、その前に政府があらゆる外交ルートを通じて、中国に対し両国間に横たわる重要課題の解決に尽力するよう働きかけることを強く求める。

 なんと、この期に及んで日本会議は「習近平主席の国賓としての来日」については「その前に政府が」「中国に対し」「重要課題の解決に尽力するよう働きかける」ことを要求するのみで、来日自体への反対は述べていません。

 無論、今さら国賓待遇での来日を撤回するのは、容易なことではないでしょう。しかし、日本会議は政府機関ではなく、民間団体です。

 それが自分から「国賓待遇の国としてふさわしいとはいえない」と言っておきながら、「深く憂慮」というのみで明確に「反対」と言っていないことは、大いに問題があると考えます。

 日本会議はもう既に保守・愛国団体の代表としての資格を失っていると、改めて感じた次第です。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。