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「日本国憲法制定に関する質問」に正面から答えられなかった政府

 安倍晋三前首相や菅義偉首相が「噛み合わない答弁」をすることがよく話題になるが、これは実は昭和の時代からあった。
 それも「日本国憲法制定」という重要な問題について、である。

 昭和60年、「日本国憲法制定に関する質問主意書」と言うものが森清衆議院議員(当時)から政府に提出され、その第一項は

「一 日本国憲法(以下「新憲法」という。)は、形式的には大日本帝国憲法(以下「明治憲法」という。)の改正手続によつて、明治憲法の改正として成立したものであるが、」

から始まり、三点ほど『大日本帝国憲法』の改正手続きに違反しているのではないか、と言う点が示されていた。
 その中でも重要なのは、第三点の

「(三) 憲法改正案は、帝国議会において修正しているが、明治憲法においては、憲法改正案は、帝国議会において修正することは許されないので、この修正は憲法違反ではないか。
     もし、違反でないとすれば、その根拠を示されたい。」

と言うものであり、これは憲法学者がこぞって「憲法違反」と指摘しているものであり、だからこそ「八月革命説」のような屁理屈も生まれてきたのであるが、それに政府がどう回答するのかが注目された。
 ところが、これについての政府の答弁はこれであった。

「一について
 日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によつて有効に成立したものであつて、その間の経緯については、法理的に何ら問題はないものと考える。」

 三項目の質問の一つ一つに答えるべきところを、まとめて答弁したのである。
 しかも、質問第一項の三点目では「違反でないとすれば、その根拠を示されたい」と書いているのに、何ら根拠を示さず「考える」と言っているだけなのである。
 「考える」と言うが、そう思い込んでいるだけのことである。
 このように、憲法と言う国家の最高法規について「何の根拠も示さず、質問にも正面から答えない」のが政府の姿勢であり、如何なる憲法学者の主張も馬耳東風なのである。
 このような政府が、国民の訴えに誠実に答えないのは、至極当然なのである。


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