安倍首相退陣表明を受けて

　安倍総理、お疲れ様でした。この時期に総理になったことが、貴方の最大の不運だったと言えるでしょう。

　かつて、近衛文麿という方がいました。

　彼が「悪人」だったのか、どうか、は私は知りません。近衛家の当主が悪人などとは、私は信じたくありません。

　しかし、彼のせいで外交面では支那事変が長引き、内政面では政府中枢に共産主義者が入り込み、そして「新体制運動」というファシズム体制樹立を目指す運動まで推進し、『大日本帝国憲法』は空文化、日独伊三国同盟締結により日米開戦の遠因まで作りました。

　仮に悪意が無かったとしても、彼はその時期に総理になるべきでは、無かったのです。善意でどうこうできる次元の問題では、ありませんでしたから。

　岸信介先生の孫である安倍首相が左翼であるとは、まだ思いたくない気持ちが、この期に及んでも私の中にはあります。

　しかし、人は果実を見て樹の良し悪しを判断します。

　超長期間の安倍政権の結果、「ポスト安倍」という果実として実ったのは、どういう面々でしょうか？

・菅義偉官房長官（元宏池会）

・河野太郎防衛大臣（志公会、宏池会の分派）
※河野洋平元官房長官の息子

・岸田文雄自民党政調会長（宏池会会長）

と、見事に自民党の中で一番左翼である、宏池会の面々が揃っています。

　安倍政権を「清和会内閣」だと言う人がいましたが、彼は岸信介先生や福田赳夫先生の志を引き継いだようには、見えませんでした。

　むしろ「宏池会内閣」を組閣したようでした。（清和会路線はむしろ維新の会が継承しているでしょう。）

　それにしても、安倍首相は近年稀にみる優秀な政治家でした。それは、安倍首相の実現されたことを見ると判ります。

・「自衛官４万人削減！」の片山さつき氏を総務大臣にした結果「中国と協力してスーパーシティ実現！」という、これまでの自民党ではあり得なかったレガシーを残す
・歴史上かつてない「上皇后」「生前退位」を実現させて、保守を名乗りながら美智子皇太后陛下に痛みを与える
・「日韓慰安婦合意」で村山富市以上の大謝罪をし、韓国の自称慰安婦に１０億円支払う
・「日台漁業取り決め」で「台北政府」に尖閣周辺の海を譲渡
・中共主導の「一帯一路」に参加し、アメリカが抜けても「TPP」を推進、「親中グローバリスト」路線を鮮明にした結果、アメリカ政府に「親中政権」認定される
・人間と動物の境界を曖昧にする「動物性集合胚」作成容認
・共産党と一緒に子宮頸がんワクチンを推奨

等々、これまでの自民党政権では絶対にできなかったことを、優秀な安倍総理は実現されました。

　宏池会の面々にいい様に利用されているように見えるのは私だけではないでしょうが。

　いずれにせよ、安倍総理が狙ってやったのかどうかは知りませんが、今後の日本は大きく左に寄ります。

　ポスト安倍には、保守派が一人もいません。オール左翼です。

　保守系野党についても、安倍信者の皆様が綺麗に潰してくれました。永田町は今や、オール左翼です。

　安倍政権の間に、日本は右に行く振りをして、どんどん左に寄っていきましたが、例えば「岸田文雄総理」になるともう、右に行く振りすらしないでしょう。

　堂々と、日本は左に寄っていくでしょう。

　終わりの始まりです。

　私は、国民民主党に期待していました。しかし、マスコミは情報統制でもされているかのように、国民民主党を無視しました。

　無論、維新政党・新風や日本国民党と言った、在野の愛国者も無視されています。

　日本は、左傾化しました。

　安倍時代、それは日本が、もはや後戻りできないレベルまで左に舵を切らされた時代、そう総括されることでしょう。

　安倍総理、貴方はもっと早く辞任するべきでした。

　「平成の近衛文麿、令和二年に辞任す」――岸信介先生の孫のことを、後世にこう伝えなければならないことは、本当に悲しいことです。