CLリヴァプールvsアトレティコマドリード 感想、分析、改善策

こんばんは。

2月20日の午前5時、いよいよ欧州王者を決める大会が再開しました。我らがリヴァプールはスペインのアトレティコマドリード(以下アトレティコ)との対戦でした。試合は0-1でアトレティコの勝利に終わり、アトレティコにアドバンテージを握られ2ndレグのホーム、アンフィールドでの一戦を強いられる結果となりました。そこで今回はリヴァプール視点に立って1stレグの個人的なマッチレポートを書いていこうと思います。

リヴァプールのスタメンはGK:アリソン右SB:アーノルド右CB:ゴメス左CB:ファンダイク左SB:ロバートソンDMF(アンカー):ファビーニョ右IH(CMF):ヘンダーソン左IH(CMF):ワイナルドゥムCF:フィルミーノ右ウイング:サラー左ウイング:マネという布陣でした(4-3-3)。

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守備時はマネを左サイドハーフとして4-4-2のブロックを形成して守備を行なっていました。いつもやっているウイングが敵DFの外側のパスコース+プレーエリアを奪うカバーシャドーでの中誘導からの人を中盤に集中させて激しいプレスに相手を晒し、ボールを奪う十八番のプレスは封印していました。

攻撃時は基本的に様々な形で3バックしてからのビルドアップから攻撃が始まります。ファビーニョを2CBの間に落とすサリーダ・ラボルピアーナやDFラインをサイドにスライドさせてSB1枚を高い位置に押し上げる形も存在します。またIH(インサイドハーフ)を2CBの脇に落として両SBに高い位置をとらせるという方法も存在していました。

このようなサリーダ・デ・バロンによりアトレティコの第一プレッシャーラインをはがした後はサイドからの攻撃が始まります。右サイドではサラーをハーフスペースに侵入させその分ヘンダーソンをアウトサイドレーンの高い位置に進出させ、一列低いところからアーノルドに精度の高いクロスをあげさせる形を作ろうとしていました。またアーノルドがアウトサイドレーンの高い位置にいる場合もありました。

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左サイドはマネがアウトサイドレーンで張って、ハーフスペースにワイナルドゥムが中盤から飛び出していくorフィルミーノが中央レーンから移動してくる形が多かったですが、ロバートソンがアウトサイドレーンで目一杯張ってマネがハーフスペースに侵入、フィルミーノは中央レーンでボールを呼び込むというような形もありました。

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またフィルミーノですが主には偽9番のような形で中盤に降りて中盤での数的優位を作ってボールを循環させようとした+アウトサイドレーン、ハーフスペースを空けようとした他、主に左サイドのハーフスペースに自ら侵入していました。

しかしアトレティコの整備された4-4-2の守備ブロックを前にリヴァプールは決定機をあまり作れず、枠内シュート0という結果に終わってしまいました。具体的にはディフェンシブ3rdに押し込まれた際にはペナルティエリアの幅で5-3-2になり、サイドにボールが出たら、下がっているサイドハーフの選手がスピードをもってアプローチにいきます。またSBの選手と共にボールホルダーをサンドしたりもしていました。さらにサイドハーフの選手は基本的にリヴァプールのSBに対しほぼマンツーマンと言っていいような徹底的なアプローチを行っていました。2枚のFWは間を締めて敵ボランチへのパスコースを消して、ボランチの選手はマネ、フィルミーノなどへのパスコースを消しながらスピードをもってアプローチを行えるようなセットをしていました。ゲームプランとしてはリヴァプールにボールを持たせ、自分たちの得意な組織的守備の局面に持っていくことでアトレティコは試合を優位に運んでいました。(ボール支配率が低いからと言って実際に不利なゲームだったかというとそんなことは全然ないです。)

このようなアトレティコの守備を崩すにはリヴァプールはどうすれば良かったのでしょうか?解決策を僕なりに考えたので皆様も是非考えてみてください。

それは菱形のサリーダ・デ・バロン+CBを低い位置でサリーダ・デ・バロンに関与させ、そこからマネ、サラーのスピードを生かして裏を狙わせるというものです。59分のシーンを見れば分かるのですが、後方での組み立てからロバートソンにボールがいき、オリギがハーフスペースから裏へ抜け出し、チャンスになりかけたという場面です。今回の試合ではこのようなスピードのあるサラー、マネを裏に走らせるシーンが少なかったと思います。なので59分のシーンのような攻撃を繰り返しできるようにサリーダ・デ・バロンを整備しようというのがこの戦術です。まずGK、2CB、アンカーでディフェンシブ3rdの低い位置で菱形を形成します。2CBはペナルティエリアの角あたりまで広がります。

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こうすることにより相手FWに中を絞るか、またCBにアプローチに行くかの判断を迫ることができます。また菱形の頂点にファビーニョがいることで相手FWはどちらがマーク、アプローチに行くかの迷いが生じます。仮にCBにアプローチに行った場合、インサイドハーフまたはSBのパスコースが空くのでうかつにアプローチに行けません。かと言ってアプローチに行かなければ今度はファンダイク、ゴメスの2CBから高い精度のロングパスが前線に供給されるので行かないわけにもいきません。つまり「行くも地獄、行かぬも地獄」というシチュエーションを作り出せます。そのためにペナルティエリアの角という低い位置にCBを置くのです。(引用・参考 坪井 健太郎氏)

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また図のようにインサイドハーフは相手の間のポジション、SBは敵FWの後ろ(少なくとも平行、味方CBと同一視できないポジション)かつ敵サイドハーフから離れた中間ポジションをとる必要があります。なぜなら相手がアプローチに行くか、行くとしても誰が行くのかという迷いが生じ、プレーするエリア、時間の確保が期待できるからです。

また敵FWが1枚CBにアプローチした際、空いたスペースをファビーニョが使うことでファビーニョからも精度の高いロングパスを前線に送ることができます。

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これにフィルミーノの偽9番とインサイドハーフの中への絞りをミックスしてみましょう。

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アトレティコの選手は中盤での数的不利を解消するために自然とピッチ中央に寄ります。すると赤丸をつけたようにウイング、SBつまりサラー、マネ、アーノルド、ロバートソンがフリーになります。こんな極端なことにはなることは少ないと思いますが少なくとも似たようなシチュエーションを作り出せます(ただしインサイドハーフの絞りはあくまでも中間ポジションを保った上で行いましょう)。SBにパスを出してそこから裏へボールを蹴るのも良し、ウイングに直接ロングパスを出し、アイソレーションの状態のウイングがボールを受けて、スピードを生かしたドリブルで敵守備陣を蹂躙するも良しです。(引用・参考 坪井 健太郎氏)

これはあくまでも僕が考えた戦術ですので欠陥などもあるかと思います。それを指摘してこうすればいいんじゃないかと議論していけば、きっとアトレティコを倒せる戦術が見つかるはずです。皆さんの意見をお待ちしております。

引用・参考文献一覧

『サッカー新しい攻撃の教科書 カウンターと組織的攻撃の正しい理解と活用』 2018 坪井 健太郎 小澤一郎


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