【映画】「未来世紀ブラジル」

1985年公開の「未来世紀ブラジル(Brazil)」(英、テリー・ギリアム監督)。

ジョージ・オーウェルの「1984」みたく、近未来の、情報統制された全体主義国家(ブラジル?)を舞台にした映画だけど、監督がイギリスのコメディ・グループ、モンティ・パイソンのメンバーだけに、扱うテーマはデストピアだけど、たくさんのチープなガジェットで囲まれたユーモア溢れる内容で、多分、カルト・ムーヴィーに位置付けられてたと思う。前に観たと思うけど忘れてる。

国を統制してる“情報省”により国民は厳しく管理されているが、それに反発してるテロリストによる爆弾テロが頻発している。
情報省は爆弾テロの容疑者「タトル」を「バトル」と打ち間違えて、無関係な一般市民を逮捕・連行していくことに。
情報省に勤める主人公サムは、上司の、この誤認逮捕の責任を回避するために走り回るが、逮捕された一般市民の隣人の女性で情報省に抗議に来ていたトラック・ドライバーのジルに出会う。
彼女はサムが毎夜、見ていた、翼のあるナイトの格好で囚われの美女を助け出すという夢の美女にソックリ。
サムはジルに恋して彼女を追い求める…。

国民を徹底管理・統制する政治が、「1984」のように暗くて重いシリアスなものではなく、あちこちに綻びのある無様なもので、出て来る様々な近未来のメカも、まさにチープなオモチャ、ガジェットのようでごちゃごちゃしてて微笑ましい。

家やビルの壁の向こうにはチューブのようなたくさんダクトが詰め込まれていて、これが様々な役割を担っていて、映画に描かれた全体主義のモチーフになってるようだ。下流階級になるほどダクトが身近にある。

基本、「1984」と同様、全体主義における人間の狂気と、人間的な愛に目覚めて、そこから逃げ出す欲求を表してると思うが、全てが面白おかしくシニカルに描かれており、でも逆にそれが明るく突き抜けたような狂気を際立たせてもいる。

ただ、ラストが、サムはジルと逃亡に成功して田舎で2人で幸せに暮らす…というのはサムの夢で、現実は、ジルは情報省に殺されて、サムは拷問で発狂して夢を見ていたという絶望的な最後で終わる。これは悲しい。

サムの夢の中に、日本の戦国時代の甲冑を纏った巨大なサムライも登場する。

このカルト・ムーヴィーを観て、俺が考えたことは2つ。ひとつは、全てを統制するファシズムはどこかフェイクで安っぽいオモチャのように壊れやすいものではないかということ。もうひとつは、近未来とはいえ未来は今と繋がってなければ成立しないってことだ。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。