【古典邦画】「アナタハン」

1953年の日本映画「アナタハン(Anatahan)」(ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督)。Amazonプライムにて。

アナタハン島事件は昔、何かの本で知った。

太平洋戦争末期に、北マリアナ諸島のアナタハン島で、陸軍の兵士30名あまりと、日本の開発会社の社員1人と同僚の社員の妻が残されて、終戦を知らずに5年余りも自給自足の共同生活を送り、社員の妻である、たった独りの女を巡って、男らが殺し合いをした事件だ。

行方不明も含めて13人の男たちが死亡している。死んだ要因やその原因は、関係者が口を濁したこともあって不明とされている。

その社員の妻はまだ若いし(でも、キレイでもない)、逆ハーレムのような状況で、俺なんぞ、必ずいやらしいことを想像してしまうが、彼女は、“女王蜂”のように野郎どもの上に君臨してたらしい。

多分、若い肉体と色目を使って、自由に野郎どもを操っていたのではないか。

発見されて、残っていた全員が帰国したが、当時のマスコミが熱狂的にセンセーショナルに報じたらしい。アナタハンは“男を惑わす女”の代名詞となったという。

映画は、小規模だけど、概ね史実に沿って作られている。英語のナレーションが入ってて、アメリカでは好評を得たらしいが、日本ではヒットしなかった。

映画としてはイマイチ。島に墜落したB29から、拳銃を手に入れて、殺し合いが加速したのだ。妻を演じたのは根岸明美。

閉塞された空間における秩序や倫理、道徳の崩壊と、人間の初源的欲望の発散、真の人間性の開花は、映画でも文学でも、もちろん現実でもたくさんある。思い付くところでは、連合赤軍のリンチ虐殺もそうだろう。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。