「ブルーベルベット」
デヴィッド・リンチ監督の名作の一つ、「ブルーベルベット」(86年、Blue Velvet)を観た。2回目かな。
「She wore ブルゥ〜ヴェェルヴェット♪♫」という甘ったるい歌声がいつまでも耳に残る。
今、改めて観るとチョイ稚拙な感じがしないでもないが、リンチ節は満載だ。田舎町の野原で切断された人間の片耳を見つけたイケメン大学生が、これは事件だと好奇心を持って調べていくうちに、倒錯の裏世界を垣間見ることになるサスペンス・ミステリー。
…なんだが、この映画評でよく言われてるように、リンチ監督は、最初の方でキレイに整えられた芝生の下に、キモくうごめくイモ虫(?)がいたり、アリンコが這う片耳だったり、もしくは最後の虫を咥えて動かないコマドリだったり、明るい太陽が照らす表の世界があれば、紙一重でその下には、闇の裏の世界が存在してるということを象徴的に表現したのかもしれない。
おなじみ怪優デニス・ホッパーのFUCK連発の狂気の演技はちょっと冗長かなぁと思えるほどで、このオッサン、どこまでやるんだよ、と要らぬ心配をするくらいだ。性的倒錯者をやらせたら右に出るものはいないかもね。へへへ。
イケメン大学生は、気付かぬうちに自分でも不法侵入からたまたま覗いたサディスティック&マゾヒスティックな倒錯のSEX、人のGFを誘惑とアブナイ世界に足を突っ込んでいく。
表向きの見える世界の一方で、普段は目にしないものの、確実にある闇となってる裏の世界。それをリンチ監督は、ところどころに細々としたシーンを入れることで象徴的に表してる。最後の、立ったまま死んでる男や耳を削がれた夫、額を銃で撃たれるデニスなどはリンチ監督らしい演出だと思う。
リンチ作品は、一貫したテーマはあるのだが、ごちゃごちゃに何でも突っ込んで、難解にさせてる部分もある。時折、解決なしの疑問も含ませて。この映画もそうだ。なんか書きたいけど書けない。あっ、「ツイン・ピークス」もそんな感じだよね。