「徳田秋声 日本文學全集」
実に、ゆ〜っくり読んでる新潮社版「日本文學全集(全72巻)」。11巻は徳田秋声。
事実を自然のままに書くという自然主義文学の大家だ。
映画(成瀬巳喜男監督)にもなった代表作「あらくれ」だけど、ある農家の養女として育てられた“お島”という女が、押し付けられた結婚を拒否して家を飛び出し、地方で缶詰屋や旅館の経営者らと関係を持ったりして、洋服屋の男と一緒になって共働きの生活に生き甲斐を感じるが、やる気のないつまらない男に愛想をつかして、独立することを決意する…といった話。
当時の、家や夫に左右されることを拒否して、シッカリと自立を目論む女性を描いたものだ。
18歳になり結婚することになったが、相手がちょっとバカな男で逃げ出して、勝手に缶詰屋と結婚したはいいが、妊娠で缶詰屋に「俺の子か?」と疑われるし、浮気はされるし、挙げ句の果てには流産。
田舎に帰るけど、兄の借金の担保に自分の身体が預けられることになって、仕方なく旅館の手伝いをしてたら、そこの主人とねんごろになったけど、世間体を気にした主人に、山奥の温泉宿にやられる。
父親に無理矢理、帰されて、叔母の家に預けられ、そこで裁縫師の男と出会う。
2人で始めた洋服屋は失敗を繰り返すが、やっとこさ軌道に乗って繁盛するようになる。
しかし、男か自分に“生理的な欠陥”(なんだろう?)があって、仲は上手くいかず…と、踏んだり蹴ったりの人生だけど、たくましく生きるお島。
当時の女性は、個人でも、家でも、社会でも、自分というものを持て辛い厳しい立場にあったのだねぇ。
この辺から、徐々に、価値観が変わっていくのかな。
次は、名前しか知らん正宗白鳥だ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。