「世界が土曜の夜の夢なら」
大嫌いなこともあって、有名なツッパリ、ヤンキー、DQN論はけっこう読んできたと思うけど、この本も大多数の日本人の心性を理解するのに大きく役立つ一流のテキストになるね。
日本独自の大衆文化であり、また国民ウケする人物に共通の要素、それが“ヤンキー的”であることだという。
つまり、行動のベースに、「気合とアゲアゲのノリさえあれば、まあなんとかなるべ」があって、「考えるより、感じろ」という感性を重んじる反知性主義に、結果よりもその過程に惹かれ「ヤンチャしてた」が大きな魅力の一つで、家族(特に母親)、ダチ・先輩との絆、地元を異様に大事にする習性と精神構造を持つ連中のことだ。EXILE、Xジャパン、金八先生、ジャニーズ、橋下徹、高橋歩、白洲次郎…etc。
日本最古のヤンキーは、なんとスサノオだという。めちゃくちゃマザコンだけど乱暴狼藉の不良行為をはたらいて追放されるが、最終的にはヤマタノオロチを退治して英雄に返り咲く。ケガレを清めるミソギを通して落ち着く。ヤンチャしてた過去は決してマイナスではなくキャラ立ちに大きく役立ってるのだ。
俺にとっては、反吐が出るほどムカつく(笑)相田みつをもヤンキー的な感性を持ってるとあって大いに納得した。つまり、特別な詩でも何でもなく、誰でも思うフツーのことを書いてる没個性なだけだけど、強いキャラ立ちによって特別なものだと思わせてる感性がヤンキー的なのだ。バッドテイストだね。
今や日本人の日常のかなりの部分で、多くの人がそれとは意識せずに、ヤンキー的な価値観や感性に深く影響を受けて行動してるという。まあ、多くの元ヤンが政治家になったり、バリバリの保守・ネトウヨになってる時代だからねぇ。
ゴチャゴチャ考えるよりも、気合い入れてマジで感じろ!…ベストテンに初めて横浜銀蠅が登場した翌日、クラス中のほとんどの男子がツッパリに変身してた光景に強い違和感を感じた俺は、反知性・感性的行動主義の世界はやっぱり苦手だなぁ。つまり、極端に言えば、ヤンキー=日本であるから、そういう意味でも俺は中華の反日なんだねー。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。