【邦画】「野菊の墓」

松田聖子主演の「野菊の墓」(1981年、澤井信一郎監督)。YouTube公式東映チャンネルにて。

ガキの頃、友達と映画館で観たけど、確か真田広之の「吼えろ鉄拳」と同時上映だったと思う。

聖子ちゃんのダイコンっぷりは良いとして、加齢も脳障害もあって、まさに強制涙腺崩壊映画であった。

昔、木下惠介監督も映画にしてるけど、東映とサンミュージックのコラボで、当時のアイドルと日本文学の組み合わせはこの辺で最後だったのでは?

ラストはボロボロ泣いちゃったけど、映画はくだらない駄作だと思う。聖子ちゃんの民子は、“ぶりっ子”キャラそのもので、相手の政夫(桑原正、この後引退)もダイコン、聖子ちゃんの人気だけで持った日本らしいアイドル映画だ。やはり小百合さんとは違うね。

でも、聖子ちゃんの民子の、愛らしいデコはイイぞ。ちょっとエロスを感じるシーンもあるし。

「タミさんは野菊のような人だ。僕は野菊が大好きだ」から、「マサオさんはリンドウのような人だわ」「どうして?」「どうしてって私が決めたの」「タミさんはリンドウが好き?」「好きよ、大好き」の流れは、一瞬の幸福の後に来る悲劇を感じさせるね。

しかし、漱石ちゃんが絶賛した伊藤左千夫のこの小説、明治期の、従姉とはいえ旧家に奉公する若い女性(民子17、政夫15歳)の立場が、自分の意思は決して通じないこの通りであったら、一体何のために生きてきたのかなぁと今だったら思っちゃうね。民子は無理矢理の嫁入り先で、流産の末に死んじゃうし。

昭和の片麻痺ジジイには、こういう淡い、儚い、それでいて熱い恋(決して愛じゃない)の物語が、メッチャ胸を打つんだよなぁ。

あー、激しい胸を焦がすような恋がしたいっ。あ、してるかも。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。