「八つ墓村」

「タタリじゃあ、タタリなんじゃあ!八つ墓明神はお怒りじゃあ!辰弥がいると血の雨が降るぞ!」(by 濃茶の尼)ということで、YouTube公式松竹チャンネルで、現在、無料公開の「八つ墓村」(1977年)を観る。

監督は野村芳太郎。昔、DVDを持ってたし、何回も観てるけど、何回観ても面白いものは面白いのじゃあ。

小川真由美の森美也子と、萩原健一の寺田辰弥に比べると、金田一耕助の渥美清や、花沢徳衛の磯川警部らの影が薄いけど、血筋や古い因習を重んじる日本の寒村を舞台に、狂気(➕エロス)が爆発する、昭和の日本型のおどろおどろしいミステリー・ホラーだ。他の金田一シリーズとは全く別物だね。

なんといっても、村人が落武者となった尼子義孝(夏八木勲)ら8人を惨殺するシーンと、「津山30人殺し事件」がモデルとなった多治見要蔵(山崎努)の村人32人虐殺シーン、それに、洞窟で豹変した森美也子が血の涙を流しつつ、鬼の形相で寺田辰弥を追いかけるシーンに尽きるな。

落武者惨殺は、もしや“福田村事件”もこうだったのでは?と想像させる。

褒賞が貰えたとしても、異質な者に向ける凶暴性と暴力性と冷酷さは、日本の閉鎖的な共同体にはありがちなことだ。それによって共同体の秩序を守り維持を図るのだ。そして、唯一、隠れたエロスが自由の発散だったのだ。

血筋が絶対なのは横溝正史作品ではよくあること。自分の先祖の直系を遡って調べたくなる。もし遺伝子で何かが伝わってるとしたら、今の自分に影響を及ぼしているものはないかと。

清楚な井川鶴子(中野良子)と春代(山本陽子)のエロいことったら。子役の吉岡秀隆や無名時代の風間杜夫も出てたんだね。

ラスト、落武者八人が、村を見下ろして笑みを浮かべながら佇んでる姿はゾッとするね。

なぜ400年以上も経って?本当に恨まれているのは村人よりも毛利なんじゃ?とは思うけどね。

森美也子も寺田辰弥も、亀井陽一も井川鶴子も、皆、尼子の直系だったわけだ。

芥川也寸志 のBGMも雰囲気そのままで素晴らしい。

ロケ地を巡ってみたいなぁ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。