「ホテル・ルワンダ」

2004年制作の「ホテル・ルワンダ(Hotel Rwanda)」(テリー・ジョージ監督)。

あの「ルワンダ虐殺」を扱ったもので、日本では遅れて公開となったが、世界でも評価の高い作品だ。映画の良し悪しよりも、実話を元にした内容そのものが衝撃的で目が離せなかった。

ルワンダ虐殺は、前に、柳下毅一郎氏の翻訳本「ジェノサイドの丘(上・下)」で読んで知ってた。1994年4月にアフリカ・ルワンダで起こった民族間の大量虐殺だ。

内戦を下に、約100日間で、フツ族過激派と民兵が、多数のツチ族市民等、50万人から100万人(全国民の10〜20%)を殺害したとされている。カンボジアのポル・ポトと並ぶくらいのスゴい大量虐殺だ。

そんな状況の中、ツチ・フツ族ら合わせて1200名以上の難民や孤児を自分が働いていたホテルに匿ったというホテルの支配人、ポール・ルセサバギナ氏の自伝を元にしたストーリーで、フツ族過激派がツチ族反乱軍に排除されるまでの、ルセサバギナ氏の命辛辛の奮闘を描く。

ルセサバギナ氏はまず自分のファミリー(妻はツチ族)を守ることに奔走したが、虐殺を目にして、ホテルに難民を受け入れることを決断する。

ホテル支配人として培った人脈や人間関係をフルに利用して、フツ族過激派から難民を庇い続ける。力じゃなく頭で考えて策を練ったのだ。自分だったら、こんなことができるだろうかと考えてしまう。

過激派を先頭にフツ族の人々が斧などの武器を手に虐殺に走ったきっかけは、ラジオ放送や新聞・雑誌など、メディアが“ツチ族のゴキブリどもを殺せ!”と煽ったからだ。

もともと歴史的にフツ・ツチ両族の対立の構図もあって、大国の帝国主義的思惑もあったのだが。

メディア・リテラシーなどない大衆がメディアを鵜呑みにして、これ以上ない残酷な狂気に陥ってしまったわけだ。

皆同じくアフリカンで見た目にも違いなんかないのだが、フツ族の方が上品で肌の色が薄い、鼻の幅が狭いなどの全くの虚偽言説を信じていたりするから恐ろしい。

人間がここまで残虐になれるのかと思うけど、アフリカンは原始的だからとかそういう差別的な意味ではなく、先進国の人間であっても、普段はメディア等情報によって抑えられてるかもしれないが、環境やきっかけによって容易に狂気に陥ってしまうものだと思う。

それは歴史でも明らかだ。世界各国にジェノサイドはある。いくら高等な教育を受けても、人間とはそういうものなのだ。

これは、単なるヒューマニズムを優に超えた人間の真実にも迫った大作だと思う。

欲を言えば、虐殺など狂気のリアルな場面をもっと多く登場させてほしかった。R指定になるだろうけど。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。