【映画】「マドモアゼル」

仏の犯罪者で、作家でもあったジャン・ジュネ原作、マルグリット・デュラス脚本の「マドモアゼル(Mademoiselle)」(英仏・1966年、トニー・リチャードソン監督)。

イヤー、全く俺好みの面白い映画だったね。

ジャンヌ・モロー演じる、マドモアゼルと呼ばれる中年女性が主人公。
村の小学校教師を務める彼女は30代、都会風のファッションに身を包むが、婚期を逃して未だ処女。
その鬱憤や不安を、密かに、村の納屋への放火や水源を壊して水浸しにしたりすることなどではらしてた。
彼女はある日、引越して来たイタリア人の流れ者の木こり、マヌーの働く、逞しい姿を見る。
そこで彼女の、“女の性”に火が付いてしまう。その欲情を、夜中に農家の納屋に火を付けることで鎮めていたのだ。
しかし、村の人たちは、余所者への差別から、放火の犯人を流れ者のイタリア人だと確信する。
マドモアゼルはマヌーの息子に、母親のように優しく接して勉強を教える。
逞しくイケメンなマヌーは、村の若い女たちにもよくモテる。
マドモアゼルは嫉妬に狂って、逆に、今度はマヌーの息子に辛くあたる。
満たされない彼女は、独り森を彷徨い、マヌーに会う。
そこから2人の欲情が爆発する。
森の中で、雨に降られて、泥だらけになっても、2人は激しく求め合う。
ボロボロになって村へ戻って来たマドモアゼルは、村人への問いかけに、マヌーにレイプされたと含みを持たせて答える。
怒った村人たちは、マヌーをリンチして殺してしまう。
マドモアゼルがパリへ行く日。
マヌーの息子は、マドモアゼルに向かって唾を吐く…。

これはジュネの修道院体験がベースになってるという。

マヌーが腹に巻いた蛇をマドモアゼルに触らせるシーン、マドモアゼルが水門を開けるシーン、そして、ウズラの卵を手で握り潰すシーン、マヌーの息子が野ウサギを叩きつけて殺すシーン、授業で語られるジル・ド・レとジャンヌ・ダルクのこと…全てが抑圧された性衝動を象徴するものとなっている。

教会の規律・秩序と歯止めのきかない性欲、愛する一方で激しい嫉妬と憎しみ、人間の、隠されたアンビバレントな面を上手く演出してみせた監督の手腕に、マジで脱帽!

時に、こういう映画に当たるから映画を観るのをやめられない。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。