「世界残酷物語」

“モンド映画”の原点でもあるグァルティエロ・ヤコペッティ監督の「世界残酷物語(Mondo Cane/A Dog's World)」(イタリア・1962)シリーズがTSUTAYA発掘良品にあるなんて!

モンド映画とは、観客のゲスな興味に答える猟奇・見世物的なドキュメンタリー(ヤラセやフェイクも含む)映画のことだ。エクスプロイテーション・ムーヴィーだな。

保健所の捕獲された犬から始まり、ボーイハントをする土着の女、ニューギニアで豚に授乳する女、中国の犬肉レストラン、風習でオリに閉じ込めて太らさせる女、NYの虫のレストラン、ネパールの牛の首を切る祭り、飛行機を神と崇める未開人、米の原爆実験で方向感覚を失った亀…世界各地の風習、奇習、趣味、愛好家など、多数紹介される。

未開の現地人の風習と現代文明人のおかしな文化とが比較するように次々と映し出されていく。当時の未開人に対する文明人の搾取・差別的な視点がわかる。

日本でも、肉を柔らかくするために、ビールを飲ませられ全身をマッサージされる牛や、サラリーマン相手にいかがわしいマッサージを提供する温泉が出てくるが、本当なのかはわからない。

そう、一応、ドキュメンタリーとしてるが、実際にはヤラセ・捏造や過剰演出の題材が多数を占めてる実にいかがわしい映画なのだ。冗長な場面も多いし。

俺がガキの頃、最初に観たモンド映画は、「グレートハンティング」よりも、確か「カランバ」だったと思うが、話題になった男の腕が引っ張られてちぎれるシーンは、思いっきりニセモノとわかり、ガッカリしたのを覚えてる。

ヤコペッティ監督にとって厳密な真実などはどうでもいいことなのだ。作られたショッキングな映像を材料に観客を驚かすこと、引いては興行収入を上げることのみに力を注ぐ。真実よりも真実らしい映像を作ることで、誰しもが持ってるゲスな興味を引き出してみせる。肯定も否定も眉唾もドキュメンタリーと銘打って堂々と示すことで、人間そのものをおちょくってるのだな。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。